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東証P
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【杉村富生の短期相場観測】 ─世界的な株高の流れに乗ろうじゃないか!


「世界的な株高の流れに乗ろうじゃないか!」

●日銀の金融正常化は日本の構造転換を反映!

 世界的な株高である。ECB(欧州中央銀行)、FRB(米連邦準備制度理事会)、イングランド銀行は利下げの方向を示し、スイス国立銀行は25ベーシスポイントの利下げ(政策金利を1.50%)に踏み切った。半面、アメリカ景気は予想外に堅調だ。しかし、パウエルFRB議長は年内に3回の利下げを示唆している。

 これを好感し、NYダウナスダック指数S&P500指数、STOXX欧州600種指数は史上最高値を更新中だ。もちろん、日経平均株価は負けていない。連日の大幅高となっている。TOPIXは1989年12月18日の高値(2884.8ポイント)を抜いていないが、全般カサ上げの動きを受け、史上最高値奪回は時間の問題だろう。

 日銀は3月18~19日の金融政策決定会合において、異次元の金融緩和の転換を行った。17年ぶりの利上げ(ゼロ金利政策の解除)、YCC(イールドカーブ・コントロール→長短金利操作)の撤廃、ETF(上場投資信託)、J-REIT(不動産投資信託)の買い入れ終了、などである。

 政策金利は0~0.1%となった。今後の利上げペース、幅はきわめて緩やかなものになろう。マーケット、および産業界はこの措置を歓迎している。日米の金利差は相変わらず、大きい。10年物国債利回りは日本が0.740%、アメリカが4.261%だ。この金利差では外債投資は活発化する。

 もちろん、金利差だけではない。アメリカは利下げ→債券価格上昇、日本は利上げ→債券価格下落トレンドだ。国内機関投資家がどちらを選択するか、答えは明白だろう。さらに、最近の円安傾向には株高を背景とした外国人の為替ヘッジ(円売り)の影響がある(外国人は300兆円の日本株保有のうち、約3割の100兆円がヘッジ付き)と思う。

●金融、および“国策”銘柄に狙いを!

 日銀が政策変更を断行できたのは日本経済の長年のデフレからの脱却、構造転換が本格的に始まったとの認識があろう。その切り札は賃上げだ。春闘ではトヨタ自動車 <7203> [東証P]が「4年連続の満額回答」、日本製鉄 <5401> [東証P]が「労組要求を上回る額を回答」などのニュースがあった。賃上げができない企業は淘汰される。

 金融政策の正常化は利ザヤの拡大を通じ、金融セクターに対する投資意欲を高めるだろう。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]、九州フィナンシャルグループ <7180> [東証P]、オリックス <8591> [東証P]などは一段高が期待できる。

 PBR1倍割れの野村ホールディングス <8604> [東証P]は業界の“雄”として情けない。収益力はとみに高まっている。資産管理ビジネスにシフト、4月には「営業」の部門呼称をやめるという。ドラスチックな転換だ。1000億円の自社株買いを行っている。1株純資産(1088円)の水準クリアは最低目標となろう。

 小物では“国策”(国産化の流れ)に乗るガバメントクラウドのさくらインターネット <3778> [東証P]、 ドローンのACSL <6232> [東証G]、衛星システムのQPS研究所 <5595> [東証G]、衛星、ドローン、ロボット向けの超小型電源の大日光・エンジニアリング <6635> [東証S]に妙味がある。

 同様の感覚では世界最大の埋蔵量を誇る日本で ヨウ素(新型太陽光発電パネル「ペロブスカイト」向けに需要急増の気配)生産を手掛ける伊勢化学工業 <4107> [東証S]、K&Oエナジーグループ <1663> [東証P]が面白い。資源の乏しい日本だが、ヨウ素は別だ。最近、新用途の開発が進んでいる。

2024年3月22日 記

株探ニュース

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