キューブ Research Memo(5):2023年12月期は韓国卸が減収、成長投資継続で営業利益は大幅減だが想定内
■業績動向
1. 2023年12月期の業績概要
キューブ<7112>の2023年12月期の業績は、売上高4,857百万円(前期比12.6%減)、営業利益289百万円(同68.1%減)、経常利益292百万円(同67.5%減)、当期純利益190百万円(同68.7%減)となった。
コロナ禍の影響で前期に大きく増加した韓国卸がその反動で大幅な減収となったことに加え、国内リテール及び国内卸で猛暑の影響により秋冬商材の立ち上がりが遅れ、計画を下回った。韓国卸の売上高比率が低下したことで、売上総利益率は56.7%(前期は52.9%)と上昇したが、減収により売上総利益は前期比6.2%減となった。経費においては、業容拡大による人件費増加や青山店開店に伴う経費増などから販管費が同21.5%増となり、結果として営業利益は前期比で大幅減となった。ただし、既に上期の時点で大幅な下方修正を行っていたので、想定内の結果だったと言える。
営業利益の増減要因を分析すると、減収に伴う売上総利益の減少で182百万円減、一部商品における商品不良が発生し、該当商品の自主回収に伴って発生する回収費用や売上減少を見込み、商品保証引当金を計上し36百万円減、業容拡大に伴う従業員増加などによる人件費増で109百万円減、2023年1月に米国で開催された合同展示会(PGA SHOW 2023)に初出展したこと、青山店オープン時のレセプション費用などによる広告宣伝費の増加で100百万円減、青山店オープンに伴う地代家賃の増加で74百万円減、同店オープンに伴う内装投資に係る減価償却費の増加で27百万円減、諸経費や租税公課負担増によるその他経費の増加で90百万円減であった。
2. 販売チャネル別売上高
(1) 国内リテール
売上高は前期比7.5%増の1,583百万円となった。2023年4月にオープンした青山店の寄与などにより前期比ではプラスとなったが、夏の猛暑で秋冬商材の立ち上がりが遅れたことから、2023年8月から11月の既存店売上げが落ち込み、全体としては計画に対してやや下回った。ただし、「MARK&LONA」ブランドは着実に浸透しており、足元ではインバウンドも回復していることから、今後については悲観する必要はないようだ。
(2) 国内EC、海外EC
国内ECの売上高は前期比0.2%減の1,013百万円、海外ECの売上高は同8.5%減の115百万円となった。国内ECは前期比で微減であったが、広告配信自粛の中で健闘したとも言える。アクセス数は増加しつつあるが、国内リテールと同様の理由で売上高は伸び悩んだ。海外ECもブランドは着実に浸透しているが、コロナ禍の反動もあり減収となった。ただし、両チャネルともに成長余力は大きく、今後も拡大を目指す。
(3) 韓国卸、海外卸、国内卸
コロナ禍によるゴルフブームの過熱感が落ち着き、韓国卸の売上高は前期比32.2%減の1,421百万円となったが、既に2022年12月期下期から受注が減少していたので、ある程度想定内であった。一方で、2022年12月期から開始した海外卸(イタリア・米国等向け)の売上高は同2.7%減の202百万円とほぼ横ばいとなったが、計画に対してはやや下回った。海外卸については、今後は東アジアやASEAN諸国の展開にも注力する(詳細は後述)。国内卸の売上高は同19.4%減の490百万円となった。韓国卸と同様に、ゴルフブームの落ち着きの影響で卸先の在庫が一時的に膨れ、計画値を下回った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
《SI》
提供:フィスコ