日プロ Research Memo(9):2024年5月期通期は小幅増収増益予想だが上振れ余地あり
■今後の見通し
1. 2024年5月期通期連結業績予想の概要
日本プロセス<9651>の2024年5月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比1.9%増の9,090百万円、営業利益が同0.8%増の915百万円、経常利益が同0.3%増の970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.1%増の690百万円としている。受注が高水準に推移して増収増益予想だが、前期の高い伸び率の反動に加えて、社員の待遇維持と競争力維持に向けた2年連続の賃上げ、戦略的技術習得と社員の自律的なスキルアップの環境整備としてのオンライン学習プラットフォームの導入など、持続的成長に向けた先行投資を考慮して小幅な伸び率に留まる見込みとしている。第2四半期累計の進捗率は売上高が50.0%、営業利益が50.5%、経常利益が49.1%、親会社株主に帰属する当期純利益が49.3%とおおむね順調である。弊社では、全体として受注環境が良好であり、特に制御システムの交通関連分野の回復が想定以上であること、自動車システムのAD/ADAS関連が順調に拡大していること、産業・ICTソリューションの駅務機器関連が想定以上であること、さらに生産性向上やサービス価値向上の効果なども勘案すれば、会社予想に上振れ余地があるだろうと考えている。
2. セグメント別の見通しと重点取組テーマ
制御システムはおおむね前期並みを見込んでいる。エネルギー関連分野では再生可能エネルギー関連の次期大規模システム案件の受注、交通関連分野ではATOSの更新案件での担当規模拡大、在来線関連のJR各社の業績回復に伴う更新案件受注を推進する。
自動車システムは引き続きAD/ADAS関連を中心に成長を見込んでいる。AD/ADAS関連では基本ソフトの車種展開時の一括受注を予定している。車載情報関連では大型案件収束後の次期大型案件獲得を推進する。
特定情報システムは大型案件の端境期だが、全体として小幅な成長を見込んでいる。航空宇宙分野では次期大規模請負案件の受注・立ち上げを推進する。危機管理分野では大規模請負案件が次期より本格化するため、主要機能の一括受注を推進する。画像認識・識別分野では衛星画像の大規模案件請負を推進する。
組込システムは全体として小幅な成長を見込んでいる。メモリ市況の悪化により既存のストレージ開発の回復は来期以降にズレ込む見込みだが、新ストレージのSEF関連の試作開発で売上確保と技術者育成を推進する。IoT建設機械関連はコントローラ開発に続く次期案件の受注を推進する。
産業・ICTソリューションはおおむね順調な推移を見込んでいる。公共分野では自動券売機など駅務機器関連が想定以上に好調に推移しており、道路設備関連ではETC試験装置に続く関連開発受注を推進する。官公庁分野ではe-Gov関連の次期案件獲得を推進する。また、民間分野のシステム構築では来季に向けて大規模請負案件の受注を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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提供:フィスコ