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次世代通信網「IOWN」が描く未来、ゲームチェンジ担う関連株総チェック <株探トップ特集>


―みえてきた新しいネットワークのかたち、経産省は中核の光電融合技術開発を支援―

 経済産業省は1月30日、半導体・デジタル産業戦略における中核事業の一つに位置付けられている光電融合技術について、NTT <9432> [東証P]を中心にデバイス、メモリー、材料、ソフトウェアに関する主要企業が参加する共同開発プロジェクトを支援すると発表した。これはデバイス間の情報伝達を電気ではなく光が担う技術で、通信の高速化や消費電力の削減につながることから情報通信市場にゲームチェンジを起こす可能性がある。同社が進める最先端の光技術を使った次世代通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network:アイオン)」構想の実現に向けて前進したことになり、関連銘柄に目を配っておきたい。

●低消費電力化につながる光電融合技術

 光電融合技術とは、電気信号を扱う回路と光信号を扱う回路を融合する技術で、NTTは新中期経営戦略「IOWNによる新たな価値創造(構想から実現へ)」の一環として電力負荷問題を提起しており、それにつながる解決策として「光電融合技術」の研究・開発に取り組んでいる。

 背景には人工知能(AI)の活用などデジタル化の進展に伴って情報処理が増大していることが挙げられ、今後も自動運転の開発などが進んでいくことを考えればデータ処理量が更に増加することが予想される。こうしたデジタル化を支える仕組みとして欠かせないのがデータセンターだが、電力負荷による電力消費の増加が問題になっており、コンピューター内の処理を熱が発生する電気から光に置き換えることが求められている。

 経産省が発表した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による支援は、IOWNの中核となる光電融合技術に関わるもので、公募された「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発」の「光電融合に係る実装技術及び確定遅延コンピューティング基盤技術開発」を受託したのがNTT、古河電気工業 <5801> [東証P]、新光電気工業 <6967> [東証P]など。古河電は光と電子の融合を実現するための光半導体デバイスの実現、新光電工は光チップレットの実装技術・製造プロセスの開発を担当するという。

 また、「光電融合インターフェイスメモリーモジュール技術」の開発はNTTとともにキオクシア(東京都港区)が採択され、「確定遅延コンピューティング基盤技術」ではNTT、NEC <6701> [東証P]、富士通 <6702> [東証P]が開発を行うとしている。

●NTT東が「IOWN Lab」開設

 NTTは光電融合技術を核とする「IOWN」の実用化を目指しており、1月24日にはNTT東日本がIOWN技術を活用したユースケース創出に向けて、さまざまなパートナーと共同実証を行う「IOWN Lab」を開設した。

 ユースケースの一つとして、フジクラ <5803> [東証P]はNTT東日本などと高速な映像伝送環境構築に向けてオール・フォトニクス・ネットワーク(APN:通信ネットワークの全区間で光波長を専有する通信サービス)とミリ波技術を組み合わせた低遅延・大容量伝送実証実験を実施したと発表。データセンター自動巡回ロボットの映像を伝送することができたという。

 このほかでは、三菱電機 <6503> [東証P]が産業用ロボットとAPNプロトタイプ機を接続することで、産業用ロボットの遠隔研修の実現に向けた実証を実施。NECは自社の顔認証技術を活用し、多数の顔データを同時に遠隔からリアルタイムで認証する取り組みを行ったとしている。

●IOWN GFメンバーにも注目

 これ以外の関連銘柄としては、昨年12月にIOWNの発展を目的にNTTと資本・業務提携したACCESS <4813> [東証P]に注目したい。具体的には、NTTがこれまで培ってきたユーザインターフェース・ユーザエクスペリエンス(UI/UX)技術とACCESSのブラウザ技術・IoT技術を活用したIOWNに必要とされるUI/UXを実現するための研究開発の推進などを掲げている。

 スカパーJSATホールディングス <9412> [東証P]は同月、NTTなどと成層圏を飛行する高高度プラットフォームであるHAPSを介した携帯端末向け直接通信システムの早期実用化に向けた開発の加速と実用化後の利用拡大を見据えた高速大容量化技術の研究開発を開始したと発表。IOWN戦略として宇宙空間の情報通信技術(ICT)インフラ基盤の実現に向けて、地上網と統合したNTN(非地上系ネットワーク:地上、海、空にある移動体を多層的につなげる通信ネットワークシステム)の技術を確立したい考えだ。

 JTOWER <4485> [東証G]は昨年11月、次世代情報通信基盤の実現・普及をめざす団体「IOWN Global Forum(IOWN GF)」に参加したと発表。インフラシェアリングの領域で、基地局装置などの共用化に関する仕様策定や標準化に向けた提言などを通じてIOWN構想の実現に貢献するという。

 IOWN GFはNTTとソニーグループ <6758> [東証P]、米半導体大手のインテル<INTC>が発起人となって2020年1月に設立された組織で、メンバーにはミライト・ワン <1417> [東証P]、安藤・間 <1719> [東証P]、エクシオグループ <1951> [東証P]、日揮ホールディングス <1963> [東証P]、日東紡績 <3110> [東証P]、日産化学 <4021> [東証P]、イビデン <4062> [東証P]、住友ベークライト <4203> [東証P]、AGC <5201> [東証P]、日本ガイシ <5333> [東証P]、住友電気工業 <5802> [東証P]、ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]、アンリツ <6754> [東証P]、santec Holdings <6777> [東証S]、村田製作所 <6981> [東証P]、ピアズ <7066> [東証G]、ネットワンシステムズ <7518> [東証P]、SCSK <9719> [東証P]などが名を連ねている。



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