【杉村富生の短期相場観測】 ─"もしトラ"、円高圧力に備えたポートフォリオを!
「“もしトラ”、円高圧力に備えたポートフォリオを!」
●JR東日本、野村ホールディングスなどに妙味!
全般相場(日経平均株価、TOPIXなどの株価指標)は“高値しぐれ”商状に陥っている。これはやむを得ない。急騰の反動だろう。なにしろ、日経平均株価(ザラバベース)は1月4日の3万2693円を安値に、1月23日には3万6984円の高値まで買われた。上昇幅は4291円、上昇率は13.1%となる。
しかし、個別株物色機運は極めて旺盛だ。宇宙関連のQPS研究所 <5595> [東証G]は連日の大商いを演じ急騰している。2月1日の出来高は4416万株、売買代金は859億円だった。これは発行済み株式数3633万株、時価総額683億円を上回る。株価は2093円と、瞬間2000円の大台に乗せた。抜群の強さである。
もちろん、主軸株も負けていない。JR東日本 <9020> [東証P]、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、野村ホールディングス <8604> [東証P]、日本M&Aセンターホールディングス <2127> [東証P]はジリ高だ。JR東日本は3月末に1対3の株式分割を行う。業績は好調だし、2024年3月期の配当は125円(前期は100円)とする。三菱UFJは4000億円、野村は1000億円、日本M&Aは1000万株の自社株買いを発表している。これらの企業が株価を意識しているのは明白だろう。
会社側が株価を気にするのにはわけがある。新NISA(少額投資非課税制度)の導入、PBR1倍奪回作戦だ。三菱UFJ、野村はPBR1倍を割り込んでいる。日本M&Aは「キャッシュ・リッチ」だが、資金の活用が課題になっている。
●トランプ大統領再登板の可能性が濃厚!
外部要因では東京市場は円高圧力、アメリカ市場は“もしトラ”がリスクとして浮上している。日銀は金融政策転換のタイミングを探っている。政策委員の声を集約すると、4~6月にはYCC(イールドカーブ・コントロール→長短金利操作)を撤廃、マイナス金利政策を解除する方向にある。
半面、FRB(米連邦準備制度理事会)は早い段階での利下げに進む。これは日米金利差の縮小を通じ円高・ドル安につながる。すでに、1ドル=146円台の円高に振れている。ちなみに、輸出企業の今年度の平均想定為替レートは1ドル=135円67銭だ。中・長期的にはこの水準がターゲット(円高のメド)になろう。
“もしトラ”とは「イフ・トランプ・プレジデント」のこと。ウォール街ではトランプ氏が「もし、大統領選挙において勝利した場合のシナリオ」が囁かれている。彼は大幅な減税を断行、パリ協定からの離脱、EV(電気自動車)普及促進策の廃止、エネルギー規制の緩和、ドル安政策、中国に対してはより強硬な姿勢などを決断する、と言われている。
2024年の株式投資では円高圧力、“もしトラ”を念頭に置いたポートフォリオの構築が必要になる。もちろん、主役はテック系セクターだが……。具体的には前述の銘柄群がそうだし、オリエンタルランド <4661> [東証P]、鹿島建設 <1812> [東証P]、九州フィナンシャルグループ <7180> [東証P]などが狙い目だろう。
このほか、熊本での住宅事業に注力中のLAホールディングス <2986> [東証G]、株価が売られ過ぎゾーンにあるゲームカード・ジョイコホールディングス <6249> [東証S]、オセアニア地域向け中古車輸出を手掛けるオプティマスグループ <9268> [東証S]、業績が急浮上し、みずほ銀行と提携のココナラ <4176> [東証G]に妙味がある。
2024年2月2日 記
株探ニュース