売り先行スタートも36000円割れでは押し目待ちの買い【クロージング】
31日の日経平均は3日続伸。220.85円高の36286.71円(出来高概算17億1000万株)で取引を終えた。前日の米国市場でハイテク株中心に売られた流れを映して、東京市場でも半導体関連株など値がさ株中心に値を消す銘柄が増え、日経平均は取引開始直後に35704.58円まで水準を切り下げ、心理的な節目の36000円台を割り込む場面があった。また、日本時間のあす未明に判明する米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を前にした持ち高調整の売りが出たことも重しになった。ただ、節目を割り込んだことで買い遅れている向きからの押し目買いが入ったほか、海外年金などの買いも入り始めたとの声も聞かれ、後場中盤以降にはプラスに転じ、大引け間際には36292.53円まで上昇した。
東証プライムの騰落銘柄は、値上がり銘柄が1200を超え、全体の7割超を占めた。セクター別では、銀行、電気ガス、不動産、その他金融など29業種が上昇。一方、石油石炭、鉱業、海運、金属製品の4業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、ファーストリテ<9983>、キヤノン<7751>、TDK<6762>、コマツ<6301>、テルモ<4543>が堅調だった半面、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、ファナック<6954>、ダイキン、<6367>、アドバンテス<6857>が軟調だった。
前日の米国市場では、主要ハイテク企業の決算発表前に利益確定売りが先行し、ナスダック指数やSOX指数は下落した。また、取引終了後に決算を発表したグーグルの親会社アルファベットや半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズが時間外取引で急落したことも響き、値がさハイテク株中心に売り先行で始まり、日経平均の下げ幅は一時350円を超えた。
また、取引開始前に発表された1月開催の日銀金融政策決定会合の主な意見で、早期のマイナス金利政策の解除に対する思惑が台頭したことも相場の重荷になったようだ。一方、政策修正への思惑から国内長期金利が上昇しているため、銀行株などに値を上げる銘柄が増えたほか、好決算銘柄にも投資資金がシフトした。加えて、取引終盤には海外勢とみられるインデックス買いなども観測されていたようだ。
投資家の関心はFOMCの結果と、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見内容に移っている。その上で、声明文から利上げバイアスが取り除かれるのか、パウエル議長の会見で利下げ開始時期についてどこまで踏み込んだ発言があるのか、米景気がソフトランディングに向かう自信をさらに深めているのかなどが焦点となろう。また、国内主要企業の決算発表も本格化しており、業績動向を確認したいと考える投資家も多い。目先は決算を受けた選別色の強い展開が続くことになりそうだ。
《CS》
提供:フィスコ