橋本総業HD Research Memo(11):SDGsをベースに独自の「HSDGCG活動」に取り組む
■中期経営計画
6. 「ESG活動」
従来より橋本総業ホールディングス<7570>はESGやSDGs※への対応を重視していたが、「7つのみらい」を見据えて活動をさらに強化している。なかでも、独自の取り組みである「HSDGCG活動」は、Health、Society、Digital、Green、Comfortable、Globalの6つの分野に注力している。「Health」では、健康企業(ホワイト500)を取得し、健康(「金の認定」(健康企業宣言東京推進協議会)の取得など、健康企業を目指した各種取り組み)、医療(みらいクリニックとの連携)、スポーツ(テニス、ゴルフを中心としたCSR活動・育成活動)をテーマに取り組んでいる。「Society」では、地域貢献(地方自治体との協業事業)、産学連携(教育機関との共同研究の推進)、業界貢献(関連団体との取り組み)、市場選択(上場企業の社会的責任を全うするためスタンダード市場を選択)を推進している。
※SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標。
「Digital」では、社内(社内業務効率化、生産性向上)、取引先間(自社開発システムを通じた取引先との連携強化)、業界全体(業界プラットフォームによる業務標準化)などのDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでおり、2022年に経済産業省が定める「DX認定」を取得した。「Green」では、環境・設備機材の販売はもとより、社内のゼロエネ化(エネルギー、水、ごみの見える化と削減)、RE100※に向けた再生可能エネルギー活用など、新しいビジネスモデルの構築を目指す。また、「Comfortable」では、新しい生活や快適生活を創造する企業として社会に貢献する。「Global」では、タイなど海外で積極的に事業を展開することを目指している。次期中期経営計画では、特に取引先の「Digital」化と環境関連の「Green」が中心テーマになると思われる。
※RE100(Renewable Energy 100%):再生可能エネルギー100%。
新たな分野への取り組みが成長と進化を促進
7. 中長期成長イメージ
中期成長に向けて同社は、130年以上の歴史を支えてきた「正直、親切、熱心、感謝」という変わらぬ基本精神に加え、「3つのフル」「みらい活動」「進化活動」「ESG活動」という取り組みを進める方針である。そのうえで、卸機能の強化や事業領域の拡大などを積極的に推進し、取引先とともに成長と進化の両立を図る考えだ。少子高齢化を背景に新築住宅市場は中長期的に厳しくなっていくことが予想されるものの、新しい生活様式を背景とした新商材に加え、リフォーム需要や公共施設・高齢者施設へのエアコン設置、都心再開発や自然災害による被害への対応、宿泊施設に対するインバウンドニーズの再拡大などに向けて、管材を深掘りするとともに、建材や電材の周辺商材へ領域を拡大する方針だ。
また、新規出店やM&Aを通じて西日本エリアでの営業を強化するほか、東南アジアでの展開も加速しており、中長期的に成長を継続する可能性は大きいと思われる。一方、同社は事業領域を幅広く考えており、産官学と連携し「みらいイノベーション」を立ち上げ、AIや再生可能エネルギー、ロボット、ドローン、給排水といった新分野での共同開発やベンチャー投資を開始した。なかでも山梨県北杜市にある清里ロッジでの再生可能エネルギー及び給排水の実験は、将来的にHASHIMOTO SOGYO (THAILAND) CO.,LTD.を通じて東南アジアでの展開を目指しているようだ。また、タイで乗り出した積算・設計事業は、中期的に想定される環境変化に対応するなかで、大きなビジネスになる可能性を秘めていると弊社では考える。こうした新たな分野への取り組みは、引き続き同社の成長と進化を促進すると思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ