橋本総業HD Research Memo(7):販管費の増加により、2024年3月期第2四半期は減益
■業績動向
2. 2024年3月期第2四半期の業績動向
橋本総業ホールディングス<7570>の2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が73,753百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益が1,183百万円(同14.6%減)、経常利益が1,780百万円(同7.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,139百万円(同14.9%減)となった。期初予想に対しては、売上高で1,753百万円の超過達成、営業利益で217百万円、経常利益で170百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で261百万円の未達となった。なお、投資有価証券売却益を特別利益に、立退補償金等を特別損失に計上した。
売上面では、重点施策を着実に推進するとともに、積極的な営業活動を展開したことで増収を確保した。「みらい市」は、2023年5月に北海道、6月に宮城県と三重県、10月に東京都、12月に広島県と福岡県で開催した。延べ動員数は30,782名(うちWeb参加9,500名)、「みらい市」に関連した売上高は400億円を超え、いずれも想定を上回る結果となった。一方、同年4月に設立した橋本総業ファシリティーズは、賃上げなど固定費が増加して減益となったが、認知度が向上するとともに売上が拡大傾向となり、大手ディベロッパーと共同で大型地域再開発案件を受注したようだ。今後は経費コントロールを進め、前期並みの利益を確保する方針である。M&Aにより同年7月から連結した山陰セキスイ商事は、第2四半期の3ヶ月のみだが、利益貢献しているようである。神戸営業所を新規開設し、開拓余地の大きい西日本エリア、特に兵庫県西部の深掘りが進んでいる。
利益面では、仕入価格の上昇を販売価格の改定で対応したが、商品供給不足のなかで在庫商品の採算が向上した前年同期と比較すると売上総利益率は0.1ポイント低下した。また、「みらい市」を2024年3月期上期に3ヶ所で開催するなど、販管費がコロナ禍前の水準に戻ったこと、ベースアップを行ったことなどから販管費率が上昇した。このため営業利益は期初予想に届かず、減益となった。人件費の増加傾向は続くものの、販売数量の確保や販管費の抑制など、営業利益率の回復に向けた施策を推進している。
セグメント別の業績は以下のとおり。
管材類は、新築・リフォーム需要の低迷により住宅分野の需要が減少したものの、商品価格の改定が行われたこと、非住宅分野で半導体やプラント分野などの設備投資が活性化したことにより、売上高は21,843百万円(前年同期比8.1%増)となった。
衛生陶器・金具類は、住宅・非住宅ともに新築需要が減少したものの、リフォーム需要が堅調に推移したことに加え、素材価格高騰による商品価格の改定を前に需要が増加したことにより、売上高は21,728百万円(同5.9%増)となった。
住宅設備機器類は、前年同期に商品供給不足が解消した給湯器・エコキュートなどの需要増加の反動減に加え、生活必需品の値上げに伴い住宅設備の取替需要が減少したことにより、売上高は12,446百万円(同4.4%減)となった。
空調・ポンプは、非住宅分野の業務用空調機器類の需要が好調であったこと、2023年7月後半から猛暑の影響で家庭用空調機器類の需要が増加したこと、ポンプ類の需要が前年同期に引き続き増加したことにより、売上高は17,022百万円(同11.8%増)となった。
なお、2024年3月期第2四半期のトピックとして、2023年8月に本社を移転した。現在の本社ビルは老朽化が進行しており、耐震性やセキュリティ強化、職場環境改善による効率性などを総合的に勘案して移転を行うことに決定した。本社移転に伴う費用については精査中としている。現在の本社ビルについては、建て替えによる経営資源の有効活用を図る方針で、この点からも本社移転のメリットが享受できると考える。また、橋本社長が(一社)全国管工機材商業連合会の会長として「旭日小綬章」を受章した。連合会の基盤拡充や「管工機材の将来を考える研究会」の発足、委員会の設置と運営、災害協定締結と具体的な活動など、管工機材の将来を築く施策を積極的に展開した実績が評価された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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提供:フィスコ