貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6098 リクルート

東証P
9,995円
前日比
+171
+1.74%
PTS
9,989.9円
09:29 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
38.6 9.06 0.24 1.11
時価総額 164,902億円

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24年春闘が本格始動、怒涛の賃上げ効果波及で騰勢加速の6銘柄 <株探トップ特集>


―経済界にかつてない圧力、転職支援や「プチ贅沢」消費、子育て支援関連にフォローの風―

 2024年の春季労使交渉(春闘)がいよいよ始まる。持続的な物価上昇と賃金上昇を伴う「好循環」の実現に向け、政府による経済界への賃上げ圧力はかつてない強さとなっている。物価上昇率を上回る水準の賃上げが実施された場合には、消費活動へのプラス効果はもちろん、低賃金環境から脱却するための転職ニーズの拡大なども期待され、事業環境に追い風が吹く銘柄群への投資妙味が強まっている。

●前年上回る賃上げ率に期待膨らむ

 今年の春闘は、日本経済にとって大きな分岐点となると考えられている。インフレ環境下で物価の伸びを上回る水準での賃上げが実現できなければ、国内消費の腰折れリスクが高まり、岸田政権が重視する「成長と分配の好循環」の実現に黄信号が灯ることとなる。

 個別の企業業績の面で賃上げに伴う人件費の上昇はマイナス要因となるが、経済全体ではプラスの効果をもたらす。厚生労働省が昨年9月にまとめた23年版の労働経済白書によると、全労働者の賃金が1%増加した場合の経済効果は、生産額で約2兆2000億円、雇用者報酬で約5000億円と見込まれている。23年の春闘における民間主要企業の賃上げ率は3.60%だった。日本経済研究センターのまとめでは、今年の春闘における賃上げ率の民間調査機関による予測平均値は3.85%と、前年を上回る水準となるとの見方が優勢だ。

●老後不安根強く一部は資産運用に充当か

 ところで現役世代には社会保障費の負担が重くのしかかっている。節約を強いられた現役世代の賃上げ分がダイレクトに消費の活発化につながるか、不透明感が漂っているのも事実だ。もちろん、老後の生活資金を確保するために、賃上げ額の一部を資産運用に充てる動きが加速すれば、野村ホールディングス <8604> [東証P]や大和証券グループ本社 <8601> [東証P]、SBIホールディングス <8473> [東証P]などの事業にプラス効果をもたらすこととなるに違いない。

 その半面、老後不安を抱える現役世代の所得増加分が、すべて貯蓄や資産形成に回るというわけでもないはずだ。マクロ面で消費活動が力強く伸びることがなくても、普段は買わないような商品を自分へのご褒美として購入するといった「プチ贅沢」的な消費行動は十分、起こり得る。また、賃上げ率の格差が企業間で広がれば、給与増の見込みの乏しい企業から、好待遇の企業への人材シフトを促すこととなる。リクルートホールディングス <6098> [東証P]や「ビズリーチ」のビジョナル <4194> [東証P]といった人材紹介サービス関連は「賃上げメリット」株に加わるはずだ。

 更に、昨年12月に閣議決定された24年度の税制改正大綱では、賃上げ促進税制の拡充が打ち出された。7%以上の賃上げを実施した大企業・中堅企業に対し、給与総額の増加分の税額控除率を25%とする仕組みを新設するほか、厚労省が女性活躍企業と認定する「えるぼし」と、子育て支援策が充実した企業と認定する「くるみん」を取得した企業を対象に、税額控除率を5%上乗せする仕組みも導入する。

 大企業・中堅企業で最大35%、中小企業で最大45%、賃上げ額から税額控除を受けられるようになるわけだが、例えば税制面での恩恵を受けられる「くるみん」の認定取得に向け、従業員のベビーシッター利用費を企業が負担したり、事業所内に保育所を構えたりする取り組みが今後、一段と広がることも想定できる。これらの観点から、賃上げ機運の高まりが株価に浮揚力を与えそうな銘柄をピックアップしていく。

●「賃上げメリット」6銘柄

◎ビューティガレージ <3180> [東証P]

 理美容店やエステ、ネイルサロンなどへの商材卸を手掛ける。24年4月期第2四半期累計(5~10月)の売上高は前年同期比13.4%増の143億4100万円、営業利益は同50.3%増の7億6600万円と業況は絶好調。12月に入り株価は2000円を割り込む局面があったが、200日移動平均を下回る価格帯での滞留期間は長くはなく、値頃感も意識され下げ渋った。過去1年間に6回以上購入したユーザー数は2ケタ増と、リピーターは拡大の一途をたどる。現役世代の所得増加そのものは、理美容業界にとってはプラスとなることから、業績上振れシナリオに期待が膨らむ。

◎MS-Japan <6539> [東証P]

 企業の管理部門や会計・法律領域の士業に特化した転職サービスを展開。24年3月期の売上高と最終利益はともに前期比2ケタの伸びで過去最高を更新する計画だ。人材紹介事業の新規の登録者数・求人数は大幅に伸長する見込み。昨年9月には新たに金融専門職の人材集客も本格的に開始し、更なる事業拡大を目指す。配当利回りは4.59%と高水準にある。昨年来高値の1305円を上抜ければ、上昇指向を一段と強めそうだ。

◎テノ.ホールディングス <7037> [東証S]

 保育所運営事業が主力。賃上げ促進税制における子育て支援を進める「くるみん」認定企業への控除新設は、同社の企業内保育所へのニーズを拡大させる格好となりそうだ。政府による企業向け家事支援サービスの導入支援報道があった昨年12月に株価は動意づいた後、足もとでは500円台での推移にとどまっている。今期の業績予想の開示などを通じ、成長軌道が不変で利益回復の道筋が鮮明との見方が広がれば、持続的な反騰力を発揮することとなるだろう。

◎cotta <3359> [東証G]

 コロナ禍明けのリベンジ消費の対象として、ケーキへの出費が増えたことは記憶に新しい。インフレ環境下で節約志向を強めた現役世代のリベンジ的な「プチ贅沢」消費の一部がスイーツに回るとのシナリオに立つと、製菓・製パン用食材・包装資材の仕入れサイトを運営する同社の事業にポジティブな効果をもたらすこととなる。24年9月期の営業利益は前期比4.8%増の8億3600万円と、4期連続で過去最高を更新する見通し。中期経営計画で示した26年9月期までの営業利益の年平均成長率目標(11%)と比べると物足りなさもあるが、株価の上値が圧迫された分、投資家にエントリーポイントを提供する形となったと受け止めることが可能だ。

◎アドベンチャー <6030> [東証G]

 旅行予約サイト「スカイチケット」を展開。24年6月期第1四半期(7~9月)時点の収益構成のうち国内航空券関連は57%に上る。台風の影響による国内航空券でのキャンセル発生や先行投資の影響で、第1四半期の最終利益は前年同期比50.2%減の4億1900万円と低迷。今年1月に発生した羽田空港での航空機衝突事故で、滑走路が閉鎖された影響を株価は織り込み、75日移動平均線を割り込んだ。もっとも昨年10月以降は5000円を下回る水準で押し目買いに支えられ、下値の堅い展開を続けている。昨年3月に東証プライム市場への区分変更申請に向けた準備の開始を発表している点も留意すべきだ。

◎アイスタイル <3660> [東証P]

 コスメ・美容総合サイトの「@cosme(アットコスメ)」を運営。大阪にオープンした大型旗艦店「@cosme OSAKA」やECが好調で、24年6月期第1四半期(7~9月)の売上高は四半期で過去最高。営業利益も前年同期比55.4%増の3億6800万円と成長力は健在だ。昨年11月にはAmazon.co.jpにおけるサイトのオープンを発表した。物価高で節約志向を強めていたビジネスパーソンの財布の紐が少しでも緩み化粧品消費の拡大につながった場合、400円台にとどまる株価に大きな浮揚力を与えそうだ。

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