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2998 クリアル

東証G
3,860円
前日比
-15
-0.39%
PTS
3,915円
09:04 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
27.0 5.10
時価総額 230億円
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クリアル Research Memo(1):高成長を続けるオンライン不動産投資市場のリーディングカンパニー


■要約

クリアル<2998>は、不動産投資クラウドファンディングのリーディングカンパニーとして、オンライン不動産投資市場で事業を展開している。「株式会社ブリッジ・シー」の社名で2011年に設立された。不動産特定共同事業法※が2017年に規制緩和されたことを契機に、インターネットを通じた不動産投資クラウドファンディングサービスの提供が可能になる第1号及び第2号不動産特定共同事業者許可(電子取引業務)を2018年10月に取得した。また同年11月に「CREAL」のブランド名で、インターネットを利用した不動産ファンドオンラインマーケットサービスを開始している。

※不動産投資家の利益の保護を図ることを目的に1994年に制定。2017年の法改正により、小規模不動産特定共同事業を創設するとともに、クラウドファンディングに対応した環境が整備された。


業界の閉鎖性や資金、専門知識の不足などを背景に、個人投資家にとってハードルが高いものであった不動産投資について、資産運用プロセスのデジタルトランスフォーメーション(DX)によって「情報の透明性」と「オンライン投資の利便性」を追求している。独自開発の人工知能(AI)を活用し、個人を含むすべての投資家に幅広く投資機会を提供することで高成長を遂げ、2022年4月に東京証券取引所(以下、東証)グロース市場へ上場を果たした。

1. 事業概要
事業構成は、資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントとなっており、1) 1万円から資産運用ができる、クラウドファンディングを活用した、個人投資家向けの不動産オンラインマーケットサービス「CREAL」、2) 個人投資家向けに実物不動産を対象とした、中長期の資産運用サービス「CREAL PB」※、3) 機関投資家及び超富裕層向けに大型不動産を対象とした資産運用サービス「CREAL PRO」の3つを展開している。

※2023年4月1日付の吸収分割に伴い、「CREAL PARTNERS」から「CREAL PB」にサービス名を変更。


2. 業績動向
2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高9,335百万円(前年同期比0.1%減)、売上総利益1,739百万円(同41.9%増)、営業利益589百万円(同17.0%増)、経常利益566百万円(同19.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益349百万円(同6.6%増)と、売上高は前年同期並みであったものの、各利益は増益を確保した。特に、同社が最重要視するKPIである売上総利益は大幅伸長し、進捗率も53.5%と順調だ。これは、利益率の高い「CREAL」案件が多かったこと、「CREAL PRO」の取引規模の拡大による。この結果、広告宣伝費や人件費といった積極的な成長投資を吸収し、各利益においても増益を確保した。その他のKPIも順調で、累計投資家数は52,679人(同55.2%増)、累計GMVは377.3億円(同87.1%増)であった。

3. 2024年3月期の業績予想
2024年3月期の連結業績予想は、売上高26,000百万円(前期比58.2%増)、売上総利益3,250百万円(同47.3%増)、営業利益770百万円(同40.7%増)、経常利益720百万円(同45.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益480百万円(同42.8%増)とする期初予想を据え置いた。前期に続き加速度的な増収増益を見込んでいる。第2四半期の進捗率については売上高が35.9%であるものの、「CREAL」で運用中の残高(今期売上の源泉となる見込み)が14,600百万円であることを考慮すれば、達成に懸念はないと弊社では見ている。なお、各利益の進捗率は50%超と順調に推移している。同社の好調な予想にはいくつか理由がある。1つ目は足元の不動産市況が好調なことだ。新型コロナウィルス感染症に対する各種行動制限の解除を受けて、ホテルや商業施設の稼働率が回復しているほか、日本国内の低金利や円安を背景とした海外投資家からの国内不動産への投資需要が増加していることが挙げられよう。2つ目は2023年1月に資本業務提携したSBIホールディングス<8473>との効果である。同年4月からSBI証券(株)のホームページに、同社のサービスサイトへの導線を配置した。継続的なプロモーションの効率化により月間投資家登録数が増加傾向であることに加え、8月には投資家登録手続きを省力化したこともあり、9月の月間投資家登録数は前月比1.5倍に伸長した。こうした顧客の裾野の拡大に加え、高いリピート投資率※(2024年3月期第2四半期で85.5%)も相まって、同社は引き続き強気の姿勢で業績予想を行っている。

※過去1年間に投資実績がある投資家の投資金額が該当四半期のGMVに占める割合。


4. 成長戦略
同社は、オンライン不動産投資市場の高度な成長ポテンシャルを背景に、主力の「CREAL」を成長戦略のメインドライバーと位置付け、その発展のため、現在は第3号及び第4号の不動産特定共同事業者許可取得の準備を進めている。同許可取得により、SPC(特別目的会社)を活用したクラウドファンディングが可能となる。SPCの活用により、物件のオフバランスと金融機関からの借り入れを活用した大型物件への投資、レバレッジ効果による収益の獲得が期待できる。

第3号及び第4号の不動産特定共同事業者許可取得によるSPCを活用した事業スキームの整備や、SBIホールディングスとの資本業務提携を大きな原動力として「CREAL」を飛躍的に成長させることを今後の経営計画の中核に位置付け、2026年3月期に年間GMVを600億円(2023年3月期比4.9倍)、累計投資家数を14万人(同3.4倍)、単年度AIPU(Average Investment Per User:投資家1人当たりの投資金額)を428,000円(同1.4倍)にそれぞれ拡大する計画を策定した。計画を強力に支援するIT投資や新機能のリリースを積極的に行う方針である。

■Key Points
・資産運用プロセスのDX推進と独自開発のAI活用により、個人投資家に不動産投資の機会を創出
・2024年3月期第2四半期の売上高は前年同期並み、各段階利益は増益で着地
・2024年3月期は売上高で前期比50%超、各段階利益で40%超と加速度的な成長を計画
・シンガポールに子会社を設立
・「CREAL」を経営戦略の中核に位置付け、2026年3月期に年間GMVを600億円に伸長させる計画

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《SO》

 提供:フィスコ

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