大塚竜太氏【日経平均バブル後最高値更新、ここからの展望は】 <相場観特集>
―リスクオン相場で3万4000円台を指呼の間にとらえる―
3連休明け9日の東京株式市場は日経平均株価が急速に上値を追う形となり、一時600円を超える上昇で3万3990円と3万4000円大台替え目前まで上昇した。その後は伸び悩んだものの、終値は3万3763円と昨年7月3日につけたバブル崩壊後の高値3万3753円を更新した。新局面入りの様相をみせるなか、ここは追撃のチャンスなのか、それともいったん利益を確定して様子をみるところか。今後の相場展望について東洋証券の大塚竜太氏に意見を聞いた。
●「日経平均3万4000円ラインは通過点」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
東京市場は足もと米株高の流れを引き継いで上げ足を強めたが、日本株への海外投資家の買いはこれからも続く可能性がある。米国株市場の値動きは米長期金利の動向に左右されているようだが、FRB(米連邦準備制度理事会)のスタンスそのものに変化はなく、思惑先行の部分が強い。
直近はダラス連銀のローガン総裁がハト派的スタンスとは言えないまでも、QT(量的引き締め)についてペースを落とす必要があると発言したことなどは、株式市場にはポジティブに作用しやすい。前週末に発表された12月の米雇用統計で雇用者数の伸びがコンセンサスを上回るなど米景気減速への警戒感は遠のいているが、利下げが後ずれすることで相場が崩れることは実際のところ考えにくく、過度に警戒する必要はないと考えている。
結果として金利も経済もほどほどに心地良い「ゴルディロックス相場」が続く公算が大きい。米国株が堅調な値動きを維持すれば、相対的に出遅れている東京市場は上値余地が意識されやすい。海外投資家の立場では、東証による企業への経営改善要請や低金利環境が当面続くことへの期待が日本株優位論につながっている。日米金利差縮小に伴う円高傾向を懸念する向きもあるが、日銀が急速に金融引き締め方向に舵を切るようなことはなく、緩やかな円高であれば輸出企業に与える影響は限定的で、株式市場にとっても必ずしもマイナスとはいえない。
日経平均の向こう1ヵ月のレンジとしては、上値は3万4000円大台ラインを通過点に3万5000円を目指す動きが期待できる。一方、下値リスクは乏しく3万3000円ラインを下限と見ておきたい。仮にここを下回れば絶好の買い場提供となる。
物色対象としては引き続き半導体関連株に着目。関連銘柄では半導体研磨装置などを手掛ける荏原 <6361> [東証P]をマークしたい。また、内需関連ではここにきて富裕層の消費意欲に火が付き百貨店株に追い風が感じられるようになった。三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]などに注目しておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース