テリロジーHD Research Memo(3):セキュリティ部門とソリューションサービス部門が拡大基調
■事業概要
1. 事業概要
テリロジーホールディングス<5133>は事業区分(2024年3月期より区分変更、従来のモニタリング部門をネットワーク部門及びセキュリティ部門に振り分け)を、ネットワーク関連製品の販売・保守などを展開するネットワーク部門、ネットワークセキュリティ関連製品の販売・保守などを展開するセキュリティ部門、自社開発ソフトウェアの販売・保守、ITサービス、インバウンド関連プロモーション事業などを展開するソリューションサービス部門としている。
過去5期(2019年3月期~2023年3月期)及び2024年3月期第2四半期累計の部門別推移は以下のとおりである。売上高で見ると、セキュリティ部門とソリューションサービス部門が需要拡大、新製品拡販、M&Aなどの効果により拡大基調となっている。ネットワーク部門では2021年3月期以降にIPアドレス管理サーバの新モデルへのリプレース需要が売上高押し上げ要因となったが、リプレース需要は2023年3月期におおむね一巡した。そして2024年3月期第2四半期累計の売上高構成比はネットワーク部門が25.6%、セキュリティ部門が46.1%、ソリューションサービス部門が28.3%となっている。
なお同社の直近のM&A・アライアンス戦略として、2022年8月に、セキュリティ事業を中心とした取引拡大と次世代事業開発を目的として、兼松エレクトロニクスと資本業務提携した。2023年2月に、製造業向けDXソリューションなど新規事業領域開拓に向けて次世代先進・先端技術を持つ企業を発掘するため、イスラエルのベンチャー投資ファンド「IL Ventures」に出資した。同年5月に、クラウドセキュリティマネージドサービス提供、OT分野の業界特化型クラウド基盤構築、ソリューション開発を加速させるため、さくらインターネット<3778>の子会社であるアイティーエムと資本業務提携(持分法適用関連会社化)した。同年6月にテリロジーワークスが、日本の安全保障に貢献していく目的で日本サイバーディフェンス(2022年3月に資本業務提携)の株式を追加取得(出資比率を10.18%に引き上げ)して関係を強化した。さらに同年8月には連結子会社クレシードを簡易株式交換により完全子会社化し、同年10月には大手製造業向けを中心にソフトウェア開発等を展開するエフェステップの全株式を取得して連結子会社化している。
ネットワーク部門はネットワーク関連製品の販売・保守などを展開
2. ネットワーク部門
ネットワーク部門は主にテリロジーが、ネットワーク関連製品(スイッチ、ルータ、無線LAN、DNS/DHCPなど)の販売・保守、企業内情報通信システムやインフラの設計・構築、テレビ会議システムの販売・保守などを展開している。なお売上高(旧 モニタリング部門の一部を含む)の内訳としては、おおむね製品(サブスク含む)が5割、保守が5割となっている。
主要商材としては、IPアドレス管理サーバ製品の「Infoblox」(米国Infoblox製)、企業内ネットワークが抱える課題解決でDDoS(Distributed Denial of Service Attack)攻撃対策やWAN回線負荷分散などを得意とする「Radware」(イスラエルRadware製)、ネットワーク構築関連のクラウド型無線LAN「Extreme(旧 Aerohive)」(米国Extreme Networks製)のほか、テリロジーグループ開発のネットワークパケットキャプチャ製品「momentum」(旧 モニタリング部門)、ITシステム運用監視クラウドサービス「CloudTriage」(旧 モニタリング部門)などがある。なお「Infoblox」については、2021年3月期にIPアドレス管理サーバの新モデルへのリプレース需要が売上高押し上げ要因となった。その後はサブスクリプションモデルへの転換を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《SO》
提供:フィスコ