サクシード Research Memo(8):教育人材・福祉人材の支援事業と学習塾が2ケタ増収をけん引
■業績動向
1. 2024年3月期第2四半期の業績動向
サクシード<9256>の2024年3月期第2四半期の業績は、売上高が1,663百万円(前年同期比11.9%増)、営業利益が248百万円(同0.6%増)、経常利益が249百万円(同1.0%増)、四半期純利益が156百万円(同0.8%増)と2ケタ増収となったが、利益面では微増に留まった。売上高は教育人材支援事業と福祉人材支援事業、個別指導教室事業がけん引し、教育人材支援事業と福祉人材支援事業が増益、個別指導教室事業と家庭教師事業が減益となった。また、期初想定との比較では、家庭教師事業以外の事業はおおむね計画線どおりの動きとなっている。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症への各種政策の効果などにより経済活動は回復基調にあるものの、ウクライナ情勢の長期化や為替の急速な変動など、先行きについては依然として不透明な状況が続いている。教育業界においては、文部科学省が全国の高校の2~3割に当たる1,000校超をデジタル教育の拠点校とする、いわゆる「DXハイスクール」に指定する方針を固めており、今後もデジタル教育を担う人材の需要が高まると予想されている。ICT支援員も、文部科学省が掲げる教育のICT化に向けた環境整備5ヶ年計画(2018~2022年度)で目標とする水準「4校1人配置」に届いておらず、今後も必要数に向けてさらなる配置が求められる状況である。また、教育現場での教員の長時間労働の問題は依然として深刻さを増しており、部活動の地域移行や外部人材の活用も進められるようになってきた。
福祉業界においては、父母の声を受けて保育施設は増えたが、これによりかえって保育士不足や保育の質の低下が懸念されている。また、学童保育では、共働き世帯の増加に加え、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の分類において2類相当から5類に移行したことで在宅勤務から出社への回帰が強まったこともあり、「小1の壁」と言われる学童保育の待機児童問題が深刻さを増しており、施設不足に伴う定員数を超えた生徒の受け入れや、支援員不足や支援員の質の確保といった課題が生じている。また、2012年4月に児童福祉法に基づく福祉サービスとして開始された放課後等デイサービスの施設は毎年増加し続けており、それに伴い人材の獲得競争も激しくなっている。このため、同社のような子育て支援事業者の社会的役割は一段と重要となっており、必然的に同社サービスに対する需要も増加している。以上のような外部環境の下、同社は「教育や福祉の社会課題を解決し、より良い未来を創造する」ことをミッションに掲げ、教育及び福祉の領域で成長戦略に沿って事業を推進した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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提供:フィスコ