明日の株式相場に向けて=新春相場は「半導体祭り」に
きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比375円高の3万3681円と続伸。今週は手掛かり材料不足でなおかつ海外投資家のクリスマス休暇も絡み、閑散に売りなしとはいえ、上値も重いという見方が市場関係者の間に多かった。しかし、相場はなかなかアマノジャクである。週初から根強い買いでジリ高が続き、きょうは吹っ切れたような上昇パフォーマンスをみせた。
東京市場はここに来てにわかに半導体祭りの様相を呈してきた。レーザーテック<6920>は最高値圏で破竹の快進撃だが、きょうで8連騰となり3万8000円台に歩を進めた。朝高後はいったん買い疲れ感を垣間見せたが、売り物をこなし切り4万円大台も視界に入る位置まで来た。3万円台回復で市場の話題を集めたのはほんの1カ月ちょっと前の話で、この短い期間で時価総額を7300億円あまりも増加させた。比べることに意味はないが、レーザーテクの年間売上高は前期実績ベースで1528億円だ。株高による資産効果は強烈で、ここで回転が利いた資金が他の銘柄を買うという好循環が発生する。
きょうは日経平均構成比で第4位に位置するソフトバンクグループ<9984>が一時400円を超える上昇を示し日経平均を押し上げた。ちなみ日経平均構成比の第3位がアドバンテスト<6857>で第2位が東京エレクトロン<8035>である。そして、ソフトバンクGのすぐ後ろの第5位にシリコンウエハー世界トップの信越化学工業<4063>が控える。 半導体関連が総花的に買われれば、日経平均は突風に煽られたように浮き上がる。23年相場のゴール目前にきて約半年ぶりの年初来高値更新を果たすことの現実味が高まってきたが、これは同時に1990年3月以来33年9カ月ぶりの歴史的高値更新を意味する。
半導体関連はレーザーテクが代表的だが空売りが溜まっている銘柄が多い。東証信用残や証金残では見えない貸株市場経由の空売りも高水準で、踏み上げ相場のスイッチが入ると打ち上げ花火のように株価が中空を舞うというようなケースが相次ぐ。また、中小型株は流通株式が少ない分だけ需給がタイトになり、想定以上の上昇パフォーマンスを示すことも多くなる。レーザーテクの順張りで青空圏飛翔を堪能するのもひとつの立派なストラテジーだが、やはり全体底上げ局面で恩恵を享受しやすいのは、相対的に出遅れている中小型株の方で、ここに照準を合わせるのがより実践的ではある。
例えばスペーサーテープなど半導体保護資材で世界首位の実力を有するアテクト<4241>はグローバルニッチトップとしての存在感が株式市場でもっと前面に押し出されて不思議はない。また、メモリー製品の製造・販売を手掛け、米エヌビディア<NVDA>製品も取り扱うAKIBAホールディングス<6840>も時価は十分にディスカウントの利いた株価水準にあるといえる。一方、レーザーテクの株高の根拠となっているEUV露光装置向けマスク検査装置は独占供給だが需要先も限られている。これを製造する唯一の企業がオランダに本拠を置くASML<ASML>であり、いわばレーザーテクの成長シナリオはASMLがキーカンパニーとなっていることが分かる。これを念頭に置くとニッチなハイスペック商品を手掛けるジェイテックコーポレーション<3446>の人気素地が浮かび上がる。ASMLの次世代EUV装置向けにJテック・Cのオンリーワン商品である高精度X線ミラーの需要が発現する可能性があるからだ。そして、微細化・積層化ニーズに対応した半導体パッケージ関連装置を手掛けるAIメカテック<6227>は3次元実装で重要な役割を担うウエハハンドリングシステムで海外大手から大口受注を獲得、受注先は明らかにされていないが、今後の飛躍的な収益成長に向けた入り口に立った可能性がある。
小型株から離れ、もう少し安定感のある時価総額の大きい半導体関連企業では菱洋エレクトロ<8068>をマーク。半導体部品とシステムソリューションを両輪とする三菱系のエレクトロニクス商社で、好業績かつ配当利回りが4.4%台と高いことで新NISA関連の切り口でも面白い存在。更に、半導体製造の成膜プロセスで抜群の実績を持つKOKUSAI ELECTRIC<6525>もそろそろ本領を発揮する気配があり注目しておきたい。
あすのスケジュールでは、11月の鉱工業生産速報値、11月の商業動態統計、11月の自動車輸出実績などが開示される。海外では週間の米新規失業保険申請件数、11月の米仮契約住宅販売指数などが注目される。また、米7年国債の入札も予定される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
東京市場はここに来てにわかに半導体祭りの様相を呈してきた。レーザーテック<6920>は最高値圏で破竹の快進撃だが、きょうで8連騰となり3万8000円台に歩を進めた。朝高後はいったん買い疲れ感を垣間見せたが、売り物をこなし切り4万円大台も視界に入る位置まで来た。3万円台回復で市場の話題を集めたのはほんの1カ月ちょっと前の話で、この短い期間で時価総額を7300億円あまりも増加させた。比べることに意味はないが、レーザーテクの年間売上高は前期実績ベースで1528億円だ。株高による資産効果は強烈で、ここで回転が利いた資金が他の銘柄を買うという好循環が発生する。
きょうは日経平均構成比で第4位に位置するソフトバンクグループ<9984>が一時400円を超える上昇を示し日経平均を押し上げた。ちなみ日経平均構成比の第3位がアドバンテスト<6857>で第2位が東京エレクトロン<8035>である。そして、ソフトバンクGのすぐ後ろの第5位にシリコンウエハー世界トップの信越化学工業<4063>が控える。 半導体関連が総花的に買われれば、日経平均は突風に煽られたように浮き上がる。23年相場のゴール目前にきて約半年ぶりの年初来高値更新を果たすことの現実味が高まってきたが、これは同時に1990年3月以来33年9カ月ぶりの歴史的高値更新を意味する。
半導体関連はレーザーテクが代表的だが空売りが溜まっている銘柄が多い。東証信用残や証金残では見えない貸株市場経由の空売りも高水準で、踏み上げ相場のスイッチが入ると打ち上げ花火のように株価が中空を舞うというようなケースが相次ぐ。また、中小型株は流通株式が少ない分だけ需給がタイトになり、想定以上の上昇パフォーマンスを示すことも多くなる。レーザーテクの順張りで青空圏飛翔を堪能するのもひとつの立派なストラテジーだが、やはり全体底上げ局面で恩恵を享受しやすいのは、相対的に出遅れている中小型株の方で、ここに照準を合わせるのがより実践的ではある。
例えばスペーサーテープなど半導体保護資材で世界首位の実力を有するアテクト<4241>はグローバルニッチトップとしての存在感が株式市場でもっと前面に押し出されて不思議はない。また、メモリー製品の製造・販売を手掛け、米エヌビディア<NVDA>製品も取り扱うAKIBAホールディングス<6840>も時価は十分にディスカウントの利いた株価水準にあるといえる。一方、レーザーテクの株高の根拠となっているEUV露光装置向けマスク検査装置は独占供給だが需要先も限られている。これを製造する唯一の企業がオランダに本拠を置くASML<ASML>であり、いわばレーザーテクの成長シナリオはASMLがキーカンパニーとなっていることが分かる。これを念頭に置くとニッチなハイスペック商品を手掛けるジェイテックコーポレーション<3446>の人気素地が浮かび上がる。ASMLの次世代EUV装置向けにJテック・Cのオンリーワン商品である高精度X線ミラーの需要が発現する可能性があるからだ。そして、微細化・積層化ニーズに対応した半導体パッケージ関連装置を手掛けるAIメカテック<6227>は3次元実装で重要な役割を担うウエハハンドリングシステムで海外大手から大口受注を獲得、受注先は明らかにされていないが、今後の飛躍的な収益成長に向けた入り口に立った可能性がある。
小型株から離れ、もう少し安定感のある時価総額の大きい半導体関連企業では菱洋エレクトロ<8068>をマーク。半導体部品とシステムソリューションを両輪とする三菱系のエレクトロニクス商社で、好業績かつ配当利回りが4.4%台と高いことで新NISA関連の切り口でも面白い存在。更に、半導体製造の成膜プロセスで抜群の実績を持つKOKUSAI ELECTRIC<6525>もそろそろ本領を発揮する気配があり注目しておきたい。
あすのスケジュールでは、11月の鉱工業生産速報値、11月の商業動態統計、11月の自動車輸出実績などが開示される。海外では週間の米新規失業保険申請件数、11月の米仮契約住宅販売指数などが注目される。また、米7年国債の入札も予定される。(銀)
出所:MINKABU PRESS