貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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4543 テルモ

東証P
3,073.0円
前日比
+35.0
+1.15%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
36.5 3.46 0.85 1.42
時価総額 45,809億円
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三洋化成 Research Memo(9):ブルーオーシャン戦略で新製品開発・新規事業創出に注力(1)


■三洋化成工業<4471>の成長戦略

2. 新製品開発・新規事業創出
中期成長に向けた戦略としては、独自技術やアライアンスを活用し、機能性タンパク質「シルクエラスチン(R)」、外科用止血材、アグリ・ニュートリション、匂いセンサーなどの新製品開発・新規事業創出を推進している。事業を通じて持続可能な経済成長と社会的課題の解決に貢献するスペシャリティ・ケミカル企業として、ブルーオーシャン戦略で新規事業を創出する方針だ。

(1) バイオ・メディカル事業分野
バイオ・メディカル事業分野については、QOL向上の実現に向けて事業拡大を図っていく方針だ。生体組織の修復・再生促進の足場として高い可能性のある新規治療材料「シルクエラスチン(R)」を開発。創傷治癒用途では、京都大学大学院医学研究科形成外科学講座森本尚樹教授らと共同開発しており、有効性確認を目的として、同社が中心となり、京都大学及び広陵化学工業(株)とともに、2021年7月に企業治験を開始(国内5医療機関で実施)した。現在企業治験を終え、2024年3月期内に製造販売の承認を行い、2025年3月期の販売を目指している。また、2022年8月に開始した広島大学との半月板損傷患者(半月板縫合術)を対象にした新たな治療法の医師主導治験は2023年5月に終了した。今後、企業治験を2025年3月期に開始し、2028年3月期の販売を目指している。

外科用止血材「Hydrofit(R)」は、水と反応して柔軟な皮膜をつくるウレタン素材の外科手術用止血材である。胸部大動脈や弓部分岐動脈の人工血管への置換手術の際の吻合部に使用される。同社が製造し、テルモ<4543>に販売委託している。2014年2月に同社初の医療機器として国内で発売開始、2019年7月にCEマーキングを取得して欧州市場への展開を開始、2020年3月に脳血管を除く血管全体吻合部の止血材へ適応拡大した。2021年7月には香港での発売を開始したほか、台湾でも医療機器の薬事承認を取得して同年12月に臨床使用を開始した。

2022年1月には、エクソソームを含む細胞外小胞(Extracellular Vesicles)の高回収率な精製技術「EXORPTION(R)法」を徳島大学大学院医歯薬学研究部保健学域の冨永辰也准教授、および同大学院社会産業理工学研究部理工学域の右手浩一教授らの研究グループと共同開発した。本精製法は、従来の精製法と比べて迅速、簡便で、高純度なエクソソームを比較的短時間に多量に回収・精製できるという特長を有する。医療従事者・研究者を対象とした精製キット「EXORPTION(R)」の販売を準備中だ。

2022年6月には富士フイルム(株)と共同で富士フイルム三洋化成ヘルスケア(株)を設立し、同年10月に富士フイルム和光純薬(株)の自動化学発光酵素免疫分析装置「Accuraseed(R)(アキュラシード)」の専用試薬として使用される体外診断用医薬品の製造を開始した。また、これに伴い富士フイルム三洋化成ヘルスケアに製造を集約する体制に変更した。

(2) アグリ・ニュートリション事業分野
アグリ・ニュートリション分野への事業展開としては、ペプチドの活用(ペプチド農業)を研究開発している。2021年3月にファーマフーズと資本業務提携したほか、同年6月には持続可能な農業を目指して宮崎県新富町と連携協定を締結した。ペプチド技術を農作物の育成に活用し、持続可能な農業に貢献できる技術の実用化を目指す。なお同年9月にファーマフーズと「アグリ・ニュートリション基本計画」を策定している。新たなペプチド農業を確立し、宮崎県新富町において農業支援を本格展開する計画だ。

2022年8月には、卵由来の液体肥料の開発を行うENEGGOと資本業務提携した。ENEGGOは、廃棄物である卵殻及び卵殻膜に含まれているタンパク質を独自の技術で可溶化させ、植物の成長に重要なアミノ酸を抽出し、世界初の卵由来有機アミノ酸を配合した液体肥料を開発している。「アグリ・ニュートリション基本計画」の中核であるペプチド技術との融合やパイプライン拡充により、ペプチド農業の早期確立を目指す。

(3) 匂いセンサー
AI技術を応用した「匂いセンサー」については、2021年7月に長瀬産業<8012>と共同事業化に合意した。「匂いセンサー」の特徴は、界面制御技術を織り込んだ樹脂材料で構成されていることである。匂いの検知材料に先端AI技術を融合し、特定の匂いをデジタルで識別、定量化するデジタル嗅覚技術は医療分野、食品・飲料などの生活関連分野での応用が期待されている。2023年11月に販売を開始した匂いセンサー「FlavoTone(フラボトーン)」は、特定の匂いだけでなく複雑な匂いを可視化できるため、匂いによる品質管理、特性比較、モニタリングといったソリューションを提供できる。また、販売だけでなくレンタルや受託分析に加え、個別の課題に対するソリューション提案などのサービス提供も行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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