クオールHD Research Memo(5):2024年3月期第2四半期累計業績は増収減益となり概ね会社計画通りに進捗
■業績の動向
1. 2024年3月期第2四半期累計の業績概要
クオールホールディングス<3034>の2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比7.4%増の88,540百万円、営業利益で同11.5%減の3,559百万円、経常利益で同11.9%減の3,675百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同20.2%減の1,888百万円と増収減益となったが、売上高、各利益とも概ね会社計画通りの進捗となった。売上総利益率は保険医薬事業における仕入マージンがやや悪化したことを主因に前年同期比0.7ポイント低下し、売上総利益は同1.6%増にとどまった。また、処方箋応需枚数の増加に対応すべく薬剤師を増員したため人件費や募集費が増加したほか、のれん償却額やシステム関連の支払手数料が増加したことなどにより販管費が同9.3%増加し、営業利益の減益要因となった。本来の収益力を示すEBITDAについても同4.3%減の6,110百万円となった。
事業セグメント別の業績を見ると、保険薬局事業は売上高で前年同期比7.2%増の80,966百万円、営業利益で同6.8%減の4,714百万円となった。売上高は薬価改定や調剤報酬改定の影響による処方箋単価の下落を店舗数の増加や在宅・施設調剤の推進などによる既存店舗での処方箋応需枚数の増加で吸収し、計画を若干上回る増収となった。利益面では、医薬品の仕入マージンがやや悪化したことや、処方箋単価の低下並びに薬剤師の人件費や募集費の増加が減益要因となった。
なお、四半期ベースの営業利益の推移を見ると、第1四半期が前年同期比13.2%増の2,422百万円、営業利益率で6.1%だったのに対して、第2四半期は同21.4%減の2,292百万円、営業利益率で5.5%と収益性が低下した。例年だと技術料単価引き上げの取り組みにより、第2四半期の利益率は前四半期比で上昇するケースが多い。今回収益性が低下した理由としては、第2四半期に妥結した仕入価格が高い水準となったためと考えられ、一時的な要因と見ることができる。また、処方箋応需枚数が想定以上に増加したことで薬剤師の募集を強化したが、適材配置による人件費のコントロールが上手くいかなかった点もコスト増要因となった。同社は第3四半期以降、薬剤師の最適配置により人件費、募集費をコントロールしていくこと、また、地域支援体制加算の取得店舗数を増やしていくことで利益率の回復を図る。
一方、医療関連事業は売上高で前年同期比9.7%増の7,573百万円、営業利益で同1.9%増の658百万円となった。旺盛なCMR需要を背景にCSO事業が増収増益となったほか、薬剤師などの派遣需要の回復等により医療系人材紹介派遣事業も増収増益となった。一方、医薬品製造販売事業については薬価改定や原材料コスト上昇の影響があったものの、2022年12月に発売した新型コロナウイルス感染症向け抗原検査キットの寄与もあり前年同期並みの収益水準を確保した。増益幅が小幅にとどまったのは、オンコールのM&A費用やそのほか子会社の費用増が影響したものと見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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提供:フィスコ