サンマルクHD Research Memo(3):主力のサンマルクカフェ、鎌倉パスタなど魅力ある業態の開発力が強み(1)
■事業内容
1. レストラン事業の概要
サンマルクホールディングス<3395>のレストラン事業は、創業来の業態である「ベーカリーレストラン・サンマルク」を礎としつつ、料理や内装などの異なる新業態を開発し育成してきた。レストラン事業の中で、現在最も店舗数が多い主力業態は、「生麺専門鎌倉パスタ」であり、全国200店舗を数える(詳細は後述)。近年勢いのある業態としては、ドリア専門店「神戸元町ドリア」があり、ショッピングセンター(以下、SC)中心に出店依頼が多い。毎朝店内仕込みのオリジナルドリアライスと相性の良い各種ソースによる30種類以上のドリア、焼きオムドリア、グラタンを提供する世界に1つしかないドリア専門店である。その他にも、和食では回転ずし店「すし処函館市場」、中華では「台湾小籠包」など和洋中の業態が充実する。ロードサイドから駅前、SCなど立地のタイプや大小の店舗サイズに合わせて、多様な提案ができる点が多業態の強みである。
2. レストラン事業の主力業態:鎌倉パスタ
レストラン事業の主力業態は鎌倉パスタである。SCを中心に駅ビル・駅前・商店街・オフィスのビルインなどの立地に全国に200店舗を展開する。もちもち食感の生麺を注文後に丁寧に茹で上げる生麺専門店であり、「和」を基調にした落ち着きあるシックな空間でゆっくりとお食事を楽しめる。人気が高い定番メニューとして各種カルボナーラがある。お店で焼き上げる「焼き立てパン」も健在でありファンが多い。連結子会社の株式会社鎌倉パスタが運営を行う。
3. レストラン事業の業績推移
レストラン事業はコロナ禍以前は、スパゲティ専門店「生麺専門鎌倉パスタ」、ドリア専門店「神戸元町ドリア」、ベーカリーレストラン「サンマルク」、ならびにベーカリーレストラン「バケット」などの業態が成功し、安定的に成長した。特筆すべきはその収益性の高さである。2019年3月期のレストラン事業の営業利益率は11.2%であり、業界の利益水準を超える収益を安定して稼いできた。コロナ禍によりダメージを受けたことは間違いないが、相対的に回復が早く2023年4月期には、既存店売上でコロナ禍以前の90%前後、2024年3月期上半期には約100%まで戻っている。同社のレストラン業態に固定的なファンが多く存在し、“目的来店”の比率が多いことが一因であろう。
4. 喫茶事業
同社の喫茶事業は、1999年に進出したコーヒーショップ「サンマルクカフェ」からスタートした。サンマルクカフェはその後順調に店舗数を増やし、2006年3月期には売上高で100億円を突破し、その後も同社最大の業態となっている(詳細は後述)。もう一つの業態として、フルサービス喫茶「倉式珈琲店」があり、厳選されたコーヒー豆をサイフォンで1杯ずつ抽出して提供するフルサービスの本格的珈琲店である。その他にも、2022年12月には老舗名店の味を受け継いだ京都の人気喫茶「マドラグ((株)La Madrague)」を子会社化しており、今後同社が培ってきたチェーン展開ノウハウや経営資源を融合して成長業態となる可能性を秘める。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《SO》
提供:フィスコ