キャスター Research Memo(6):2024年8月期も引き続き増収増益を見込む
■業績見通し
1. 2024年8月期の業績予想
2024年8月期の業績予想についてキャスター<9331>は、売上高を前期比13.7%増の4,750百万円、営業利益を111百万円(前期は2百万円の利益)、経常利益を同447.7%増の101百万円、当期純利益を同330.6%増の125百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。
売上高は、前期同様、稼働社数とARPUの拡大が「WaaS事業」及び「その他事業」の伸びに寄与する。稼働社数は1,290社(前期比122社増)、ARPUは309千円(同10千円増)を見込んでいる。また、解約率は値上げによる影響が沈静化することで3.2%(前期は4.0%)に改善するとともに、MRRも3.9億円(前期は3.3億円)に底上げされる想定となっている。特に、事業セグメント間のシナジー(問い合わせの一元化やより最適なサービスへのシフトなど)を活用することで各KPIの向上・改善を図る方針である。
損益面では、引き続き海外事業等への先行費用が見込まれるものの、増収による収益の押し上げや、業務効率化及びコストコントロールの継続により営業増益を実現し、営業利益は2.4%に改善する想定である。
2. 弊社アナリストの見方
弊社でも、好調な外部要因(中小企業における人手不足問題など)や内部要因(各KPIの改善傾向や株式上場による認知度向上など)を勘案すれば、同社の業績予想の前提に無理はなく、十分に達成できる水準であると判断している。注目すべきは、1) 株式上場が顧客獲得などにどのような影響があるか(ブランディング効果など)、2) 株式上場に伴って調達した資金をどのように活用するか、3) 損益分岐点を超えた後の利益成長をどのように描けば良いか、4) 今後の先行費用のかけ方に対する考え方、5) 海外事業による業績貢献のタイミングやインパクト、6) M&Aを含む、セグメント拡大に向けた動き(特にコンサルティングやエンジニアリング領域)などである。特に1) 、5) 、6) については業績の変動要因となる可能性にも注意が必要である。上場後1年目ということもあり、これらの材料を丁寧にフォローしていくことが、今後の成長性や方向性を確認するうえでもポイントになると言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《SI》
提供:フィスコ