TOKAI Research Memo(4):2024年3月期第2四半期累計の売上高は3期連続で過去最高を更新(1)
■業績動向
1. 2024年3月期第2四半期累計の業績概要
TOKAIホールディングス<3167>の2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比1.1%増の105,226百万円、営業利益で同0.0%増の4,254百万円、経常利益で同79.1%増の4,355百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同1403.4%増の2,219百万円となった。売上高はエネルギー事業や建築設備不動産事業が減少したものの、情報通信事業やCATV事業の増加でカバーし、3期連続で過去最高を更新した。営業利益はエネルギー事業の減益分を情報通信事業やCATV、アクア事業等の増益でカバーし若干ながら増益を確保した。また、前年同期はベトナムの持分法適用関連会社ののれんの減損を実施したことで持分法による投資損失1,963百万円を計上したが、2024年3月期第2四半期累計では37百万円と持分法による投資損失が大幅に縮小した結果、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益ともに大幅増益となった。なお、第2四半期末における継続取引顧客件数は3,328千件となり、前年同期比で85千件増、前期末比で28千件増と着実に積み上がった。LPガスやCATV、情報通信では光コラボやLIBMOが増加した。
会社計画に対する進捗状況は、エネルギー事業や建築設備不動産事業が弱含んだことで売上高が数十億円程度下振れたものの、営業利益は計画どおりとなった。高気温による家庭用LPガス販売量の減少が響いてエネルギー事業で下振れとなったが、情報通信事業やCATV事業の上振れでカバーした。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前年同期比2.5%減の42,952百万円、営業利益(間接費用等配賦前営業利益で決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同34.7%減の869百万円となった。営業利益の増減要因を見ると、顧客件数の積み上げによる月次課金収入の増加により1.8億円の増益となった一方で、高気温に伴う家庭用ガス販売量の減少により4.9億円の減益となったほか、賃上げによる人件費の増加1.5億円が減益要因となった。計画比では高気温による販売量減少の影響により下回ったようだ。夏場に猛暑が続いたことにより、前年よりも平均気温が約1?2℃高く推移した。
LPガス事業の売上高は前年同期比4.3%減の34,417百万円となった。第2四半期末の顧客件数は前年同期比31千件増加の762千件と順調に増加したものの、高気温の影響により家庭用の販売量が同3%減少したほか、仕入価格に連動した販売価格が2~3%下落したことが減収要因となった。LPガス全体の販売量は産業用の増加により前年同期比横ばい水準であった。なお、顧客獲得件数は前期末比で16千件の増加と前年同期と同様のペースとなった。内訳を見ると新規獲得で17千件、M&A・アライアンスによる獲得で9千件、中止・解約で10千件となり、エリア別では既存エリア(関東、静岡)で9千件増、新規エリアで7千件増とそれぞれ着実に増加した。新規拠点として2023年8月に三重県内で3拠点目となる営業所を伊勢市に開設した。
都市ガス事業の売上高は同5.3%増の8,535百万円となり、顧客件数は同3千件増加の75千件となった。売上高は原料費調整制度による販売単価の上昇で増収となったが、第2四半期だけでみると同6.2%減の3,906百万円と減収に転じており、販売単価上昇の効果も一巡したと見られる。なお、顧客件数の増加分の大半は、持分法適用関連会社であるT&Tエナジー(株)における東海エリアでの契約件数増加※によるもので(販売手数料のみ売上計上)、収益に与える影響は軽微となっている。
※T&Tエナジーは東京電力エナジーパートナー(株)との合弁(出資比率50%)で2019年10月に設立し、愛知県、岐阜県、三重県の東海3県で都市ガスの小売事業等を行っている。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前年同期比5.3%増の27,457百万円、営業利益は同21.9%増の2,828百万円となり、売上高は過去最高を連続更新し、営業利益も2期ぶりに過去最高を更新した。計画に対しても売上高、営業利益ともに超過した。
コンシューマー向け事業については、売上高で同0.6%増の12,100百万円と微増収にとどまったものの、営業利益は前年同期の30百万円から512百万円と大幅増益となった。光コラボ等のブロードバンドサービスの顧客件数増加で1.9億円、LIBMOの顧客件数増加で1.4億円、顧客獲得ルートの見直し等で1.5億円の増益要因となった。顧客ルートに関しては、光コラボの新規獲得において大手携帯キャリア経由の獲得比率で上昇傾向が続いているが、光コラボのARPUが低下し売上高が伸び悩む要因となっている。とは言っても、売上総利益への影響はなく、顧客獲得コストが低減することで利益面ではプラスに効いている。LIBMOについてはサービスメニューの拡充や固定回線とのセットプラン導入等の効果が件数増加につながったようだ。第2四半期末の顧客件数を見ると、従来型ISP等が前年同期比14千件減少の400千件となったのに対して、光コラボが同10千件増加の368千件、LIBMOが同13千件増加の75千件となり、合計で同9千件増加の843千件となった。
法人向け事業の売上高は同9.3%増の15,356百万円と好調を持続した。ストックビジネスとなる通信回線サービスやクラウドサービスの売上が順調に拡大したことが増収要因となった。また、システム受託開発部門も旺盛な受注を背景に順調に推移した。一方、営業利益は同30百万円増加の2,316百万円と小幅な増益にとどまった。クラウドサービス等の増収で2.1億円の増益となったが、電力料金値上げの影響で電気代が0.8億円増加したほか、賃金改定により人件費が1.0億円増加したことが要因だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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提供:フィスコ