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2929 ファーマフーズ

東証P
854円
前日比
-7
-0.81%
PTS
853.1円
11:25 05/27
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.3 2.61 2.34 1.88
時価総額 248億円
比較される銘柄
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東洋糖
決算発表予定日

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ファーマF Research Memo(1):医薬と食の融合で「ファーマフーズ」を目指すバイオテクノロジー企業


■要約

ファーマフーズ<2929>は、人々の健康に貢献することを経営の基本方針に掲げ、「医薬」(Pharmaceuticals)と「食」(Foods)の融合からなる「ファーマフーズ」(Pharma Foods)を目指すバイオテクノロジー企業である。天然由来の原料にこだわり、科学的根拠に基づいた独自の技術により、健康維持と生活の質(Quality of Life)の向上に役立つ機能を明確に持つ食品素材を創造している。

1. 事業内容
同社は「医食の研究を進化させ、人々のために貢献する」というミッションを掲げ、人々の持続可能な健康的で幸せな社会の実現を目指している。その実現に向けて「免疫」「老化」「神経」に作用する機能性素材や医薬品等の研究開発を行い、独自の研究成果及び製品をBtoB事業、BtoC事業、バイオメディカル事業の3事業において広く社会に提供している。BtoB事業は「ファーマギャバ(R)」などの機能性素材製品等の製造販売のほか、2021年8月に子会社化した明治薬品(株)の医薬品・医薬部外品製造販売を行っている。BtoC事業は、育毛・発毛促進剤「ニューモ(R)育毛剤」など同社独自の機能性素材を配合した医薬部外品・サプリメント・化粧品を通信販売及び卸販売している。バイオメディカル事業は、同社独自のニワトリ由来抗体作製技術「ALAgene(R) technology(アラジンテクノロジー)」を用いた創薬のほか、プロテオーム解析サービスも行っている。さらに新規領域として、卵殻膜素材の高度利用による新市場創造も目指している。なお同社は製品の生産を社外の協力工場に委託する研究開発型のファブレス企業である。

2. 2023年7月期は大幅増収増益で着地
2023年7月期の連結業績は売上高が前期比13.9%増の68,572百万円、営業利益が同234.1%増の3,610百万円、経常利益が同179.9%増の3,540百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が3,081百万円(前期は374百万円の損失)と、大幅増収増益だった。売上面では主力の「ファーマギャバ(R)」や「ニューモ(R)育毛剤」が牽引し、全セグメントが増収と好調に推移した。利益面では、積極的な研究開発投資や広告投資を継続しているが、増収効果に加えて、BtoB事業のCMO(医薬品製造受託)における受注単価見直し、BtoC事業における広告投資の適正化なども寄与した。販管費のうち広告宣伝費は38,865百万円で同8.7%増加したが、広告宣伝費比率は同2.7ポイント低下して56.7%となった。

3. 2024年7月期は小幅減益予想だが上振れ余地
2024年7月期の連結業績予想は売上高が前期比5.1%増の72,047百万円、営業利益が同7.5%減の3,338百万円、経常利益が同6.8%減の3,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.6%減の2,784百万円としている。売上面では主力製品が好調に推移し、新製品も寄与して増収だが、各利益は小幅減益を見込んでいる。広告宣伝費の増加(同2.9%増の40,000百万円)のほか、成長戦略で掲げている新価値創造の社会実装に向けて本格的な研究開発投資及び設備投資を開始することに伴う費用増加なども考慮している。ただし全体として会社予想は保守的な印象が強く、新製品の伸長や広告投資のコントロール効果などを勘案すれば、会社予想には上振れ余地があると弊社では考えている。

4. 成長戦略として新価値(新製品、新市場、新組織)創造を推進
同社は「中期経営計画2026」(2022年7月期?2026年7月期)において「新価値創造1K」を掲げ、新価値(新製品、新市場、新組織)創造への取り組みにより2026年7月期に売上高1,000億円を目指している。利益水準については、2026年7月期までは単年度における利益率低下を恐れずに事業展開を行い、大胆にリスクを取りながら規模を拡大する方針である。新製品創造では、BtoB事業の自社ブランド(以下、NB)製品(「明晰ラボ」や「筋肉ラボ」など)や、BtoC事業の新製品(まつ毛美容液「まつ毛デラックスWMOA(ウモア)」や薬用ホワイトニングジェル「DRcula(キュラ)」シリーズなど)が成長している。新市場創造では、未利用資源のアップサイクル市場創造として「アグリ・ニュートリション基本計画」を推進しているほか、卵殻膜ナノファイバーを原料とした電子材料など幅広い産業利用に適した特性を持つ「卵殻膜素材」の開発・量産化に向けて、研究開発投資及び設備投資を行う計画である。

5. 創薬や卵殻膜素材などにより中長期成長ポテンシャル高い
同社はヒット商品となった「ニューモ(R)育毛剤」が牽引して収益水準が大きく変化したこともあり、市場の一部には「BtoC事業のヒット商品と広告宣伝費によって業績が変動する企業」といった声がある。しかし、BtoB事業では「ファーマギャバ(R)」の採用が拡大基調であること、明治薬品のCMOの収益貢献度が増していること、さらにBtoB事業で「明晰ラボ」や「筋肉ラボ」などのNB製品、BtoC事業で「まつ毛デラックスWMOA」や「DRcula」シリーズなど新製品が成長していることなども勘案すれば、特定ヒット商品への依存度リスク低減が進捗していると弊社では高く評価している。中長期的には、バイオメディカル事業での創薬開発や、卵殻膜素材を高度利用した新規事業に対する期待も高まる。当面の業績は広告投資によって変動する可能性があるものの、新製品・新市場創造により中長期的な成長ポテンシャルは高いと弊社では注目している。

■Key Points
・「医薬」と「食」の融合からなる「ファーマフーズ」を目指すバイオテクノロジー企業
・2023年7月期は大幅増収増益で着地
・2024年7月期は小幅減益予想だが上振れ余地
・成長戦略として新価値(新製品、新市場、新組織)創造を推進
・創薬や卵殻膜素材などにより中長期的な成長ポテンシャルは高い

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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