明日の株式相場に向けて=半導体セクターは「急騰株」確変モードに
きょう(22日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比97円高の3万3451円と3日ぶり反発。欧米株安を引き継いで安く始まったが思いのほか下値は固く、寄り後ほどなくして上昇に転じた。後場は上値も重かったが、望外のプラス圏着地といえる。
そうしたなか、半導体関連株はレーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>をツートップに怒涛の行進となってきた。東エレクは11月に入って上げ足を一気に強め週明け20日に上場来高値を更新したばかり。レーザーテクは最高値圏ではないものの年初来高値近辺で頑強だ。両銘柄とも足もと上値が重くなっているのは仕方のないところで、現状で買われ過ぎているように見えてしまうのは、投資家として至って普通の感覚である。半導体市況はようやく光明が見えたかどうかという時間軸で、そうそう強気には構えられない。実態面を吟味すると、いかに半導体関連の人気銘柄といえども上値を買い進む根拠は不足している。レーザーテクの予想PERは60倍、東エレクでも36倍に達している。
しかし、だからといって株価が下がるかというと意外に下がらないのが株の不思議なところでもあり、その答えは需給関係にある。レーザーテクの信用倍率は直近データで0.57倍とかなりの売り長であり、日証金では逆日歩がついた状態が長く続いている。東エレクも売り残が買い残を上回り信用倍率は0.91倍、日証金では同じく逆日歩がついている。簡単に言ってしまえば、買いたい投資家というよりも、株価が下がったら買い戻したい投資家が多いということだ。これにヘッジファンドによる貸株市場で調達した空売りも積まれていることを考えると、需給関係はまさに乾ききった木片のような状態といえ、マッチ1本で踏み上げ相場に火がつく状況ともなり得る。
スマートフォンの在庫調整が長引き、半導体市況の回復は想定より遅れていたが、ここにきて再び光が差してきた。今度こそ夜明けを迎えた可能性が高いという認識が広がっている。今、“半導体王国”である台湾にマーケットの視線が向いている。半導体受託生産世界トップのTSMCの10月の売上高は前年比15.7%増と回復色が鮮明。また、週明け20日に発表された10月の台湾の輸出受注は前年比4.6%減だったが、これは減少幅としては過去1年で最小で、プラス転換前夜を想起させる状況にある。ちなみに今年3月時点では29.4%減と大幅な落ち込みをみせていたのだが、直近は様変わりといってよい。同国の輸出受注の動向は当然ながら半導体需要とリンクしたもので、また米国のISM製造業景況感指数との連動性が高いことでも知られている。
ともあれ、東京市場でも半導体関連株へ流れ込む投資マネーはもはや止めようがない。その際、レーザーテクや東エレクは観賞用のシンボルストックとして置いておき、マーケットの視線があまり向いていない半導体中小型株に照準を合わせる方が投資作戦的に有効性が高い。半導体関連に限ったことではないが、主力どころがウネリをあげるような資金潮流が発生している場合、同じ範疇にある銘柄群に底上げ圧力が働く。程よい流動性が担保されるのであれば、流通株式が少ない銘柄ほど株価の上昇パフォーマンスは高くなる。
実際、中小型株で大きく動兆する銘柄が相次いでおり、日経平均やTOPIXなど全体指数とは関係なく半導体セクターは“確変モード”となっている。当欄で取り上げた銘柄ではAIメカテック<6227>、ミナトホールディングス<6862>、ジェイ・イー・ティ<6228>などが先駆して人気化し、直近では今日はひと押し入れているもののオキサイド<6521>が急動意で大底圏からのテイクオフを果たし、前日に穴株として取り上げたテクニスコ<2962>はストップ高に買われる人気となった。この流れに乗って、引き続き上値の期待できそうな銘柄を丁寧に探していきたい。半導体のファブレスメーカーであるザインエレクトロニクス<6769>は「理外の理」の典型。業績予想減額で下値を探ったが、ここ動きを一変させ浮上気配をみせている。このほかでは、大阪有機化学工業<4187>、RS Technologies<3445>、テラプローブ<6627>などに着目してみたい。
あすのスケジュールでは、勤労感謝の日の祝日に伴い東京市場は休場となる。海外ではインドネシア中銀、スウェーデン中銀、トルコ中銀、南アフリカ中銀が政策金利を発表する。このほか、11月の仏購買担当者景気指数(PMI)速報値、11月のユーロ圏PMI速報値、11月の英PMI速報値など。なお、米国株市場も感謝祭の祝日に伴い休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年11月22日 17時33分
そうしたなか、半導体関連株はレーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>をツートップに怒涛の行進となってきた。東エレクは11月に入って上げ足を一気に強め週明け20日に上場来高値を更新したばかり。レーザーテクは最高値圏ではないものの年初来高値近辺で頑強だ。両銘柄とも足もと上値が重くなっているのは仕方のないところで、現状で買われ過ぎているように見えてしまうのは、投資家として至って普通の感覚である。半導体市況はようやく光明が見えたかどうかという時間軸で、そうそう強気には構えられない。実態面を吟味すると、いかに半導体関連の人気銘柄といえども上値を買い進む根拠は不足している。レーザーテクの予想PERは60倍、東エレクでも36倍に達している。
しかし、だからといって株価が下がるかというと意外に下がらないのが株の不思議なところでもあり、その答えは需給関係にある。レーザーテクの信用倍率は直近データで0.57倍とかなりの売り長であり、日証金では逆日歩がついた状態が長く続いている。東エレクも売り残が買い残を上回り信用倍率は0.91倍、日証金では同じく逆日歩がついている。簡単に言ってしまえば、買いたい投資家というよりも、株価が下がったら買い戻したい投資家が多いということだ。これにヘッジファンドによる貸株市場で調達した空売りも積まれていることを考えると、需給関係はまさに乾ききった木片のような状態といえ、マッチ1本で踏み上げ相場に火がつく状況ともなり得る。
スマートフォンの在庫調整が長引き、半導体市況の回復は想定より遅れていたが、ここにきて再び光が差してきた。今度こそ夜明けを迎えた可能性が高いという認識が広がっている。今、“半導体王国”である台湾にマーケットの視線が向いている。半導体受託生産世界トップのTSMCの10月の売上高は前年比15.7%増と回復色が鮮明。また、週明け20日に発表された10月の台湾の輸出受注は前年比4.6%減だったが、これは減少幅としては過去1年で最小で、プラス転換前夜を想起させる状況にある。ちなみに今年3月時点では29.4%減と大幅な落ち込みをみせていたのだが、直近は様変わりといってよい。同国の輸出受注の動向は当然ながら半導体需要とリンクしたもので、また米国のISM製造業景況感指数との連動性が高いことでも知られている。
ともあれ、東京市場でも半導体関連株へ流れ込む投資マネーはもはや止めようがない。その際、レーザーテクや東エレクは観賞用のシンボルストックとして置いておき、マーケットの視線があまり向いていない半導体中小型株に照準を合わせる方が投資作戦的に有効性が高い。半導体関連に限ったことではないが、主力どころがウネリをあげるような資金潮流が発生している場合、同じ範疇にある銘柄群に底上げ圧力が働く。程よい流動性が担保されるのであれば、流通株式が少ない銘柄ほど株価の上昇パフォーマンスは高くなる。
実際、中小型株で大きく動兆する銘柄が相次いでおり、日経平均やTOPIXなど全体指数とは関係なく半導体セクターは“確変モード”となっている。当欄で取り上げた銘柄ではAIメカテック<6227>、ミナトホールディングス<6862>、ジェイ・イー・ティ<6228>などが先駆して人気化し、直近では今日はひと押し入れているもののオキサイド<6521>が急動意で大底圏からのテイクオフを果たし、前日に穴株として取り上げたテクニスコ<2962>はストップ高に買われる人気となった。この流れに乗って、引き続き上値の期待できそうな銘柄を丁寧に探していきたい。半導体のファブレスメーカーであるザインエレクトロニクス<6769>は「理外の理」の典型。業績予想減額で下値を探ったが、ここ動きを一変させ浮上気配をみせている。このほかでは、大阪有機化学工業<4187>、RS Technologies<3445>、テラプローブ<6627>などに着目してみたい。
あすのスケジュールでは、勤労感謝の日の祝日に伴い東京市場は休場となる。海外ではインドネシア中銀、スウェーデン中銀、トルコ中銀、南アフリカ中銀が政策金利を発表する。このほか、11月の仏購買担当者景気指数(PMI)速報値、11月のユーロ圏PMI速報値、11月の英PMI速報値など。なお、米国株市場も感謝祭の祝日に伴い休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年11月22日 17時33分