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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9501 東電HD

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再生可能エネの切り札、脱炭素の潮流に乗る「洋上風力発電」関連・総点検 <株探トップ特集>


―海に浮かぶ発電所に高まる期待、経産省は浮体式の実証候補エリアを選定―

 経済産業省は今月3日、グリーンイノベーション基金(GI基金)事業で行う浮体式洋上風力発電 の実施候補区域として北海道など4地区を選定したことを明らかにした。政府は2030年度に 再生可能エネルギーで国内電力の36~38%分をまかなう計画を掲げ、洋上風力については30年までに10ギガワット、40年までに30~45ギガワットの案件を形成することを目標としている。浮体式の普及が進めばより広い地域で洋上風力が展開できることから関連銘柄に目を向けてみたい。

●アジアなど海外市場展開も視野

 経産省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、今年2月13日から3月13日にかけて都道府県から提出された4道県5区域の情報をもとに、有識者による第三者委員会の意見を踏まえ、このほど「北海道石狩市浜益沖」「北海道岩宇・南後志地区沖」「秋田県南部沖」「愛知県田原市・豊橋市沖」の4区域を選んだ。今回の実証事業では、1基当たり10メガワット以上の風車を用いて高いコストや大量生産に係る技術の確立といった課題を解決するための目標などを設定するとともに、アジアなどの海外市場への展開も見据えたプロジェクトが採択される見通し。今後NEDOが事業者を公募し、今年度中に2件程度に絞り込むとしている。

 また、同日には洋上風力の普及を後押しするため事業者に代わって事前に国が調査する「セントラル方式」の24年度の対象区域として「北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)」「北海道島牧沖(浮体)」「山形県酒田市沖」の3区域が選定されたほか、洋上風力の開発に向け事業者の公募など具体的な手続きに移る「促進区域」に「青森県沖日本海(南側)」と「山形県遊佐町沖」が指定された。西村康稔経産相は6日の閣議後の記者会見で「この事業を通じて浮体式洋上風力の開発、そして早期の社会実装を進めていくというなかで、国内の風力発電の産業競争力も強化していきたい」と述べた。政府が24日、デンマークと浮体式洋上風力発電の技術協力で基本合意したこともあり、関連企業のビジネス機会が更に増えそうだ。

●浮体式の普及見据えた動き着々

 こうしたなか、商船三井 <9104> [東証P]が浮体式洋上風力発電の設備メーカーや事業者との連携を加速させている。9月に次世代型浮体式洋上風車を開発するオランダのタッチウインドに出資したことを明らかにしたほか、今月4日には浮体式の技術開発に強みを持つフランスのEDFリニューアブルズと協業を促進するための覚書を締結したと発表。また、5日には浮体式洋上風力発電技術及び浮体式洋上風力プロジェクトを開発するノルウェーのオドフェル オーシャンウィンドASに出資することを決定し、株式割当契約を締結したと発表している。

 丸紅 <8002> [東証P]は12日、英国政府のビジネス・通商省と洋上風力発電、水素、スマートエネルギーなどのクリーンエネルギー事業の促進に向けた包括的な協力に関する覚書を締結したと発表した。同国は50年に温室効果ガスの排出量をネットゼロにすることを目標に掲げており、洋上風力発電では30年までに最大50ギガワット(うち浮体式洋上風力発電を最大5ギガワット)の製造能力確保を目指している。この覚書では同社が事業パートナーとともに今後10年間で約100億ポンド(約1兆8300億円)をクリーンエネルギー分野に投資する方針を同国政府が支援することが示されている。

 西松建設 <1820> [東証P]、戸田建設 <1860> [東証P]、熊谷組 <1861> [東証P]、若築建設 <1888> [東証P]、岩田地崎建設(札幌市中央区)、吉田組(兵庫県姫路市)の6社は3日、大型風車の基礎施工などが可能な自己昇降式作業台船(SEP船)について、シンガポールのテラス・サンライズと調達契約を結んだと発表した。調達するSEP船は、1万5000キロワット級の大型洋上風車の建設に対応でき、着床式及び浮体式洋上風力発電施設建設ともに対応可能。1300トン吊クレーンを搭載する計画で、25年にクレーン搭載工事を完了させたあと日本にえい航する予定だという。

 このほかでは、日立造船 <7004> [東証P]が6月に日本精工 <6471> [東証P]や東芝エネルギーシステムズ(川崎市幸区)、九州大学とともに「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」に採択されたことを明らかにしている。研究開発のテーマは「大型風洞設備による浮体式風車ウエイク現象の評価技術の研究開発」で、浮体式風車特有のウエイク現象(前方からの風が風車の後ろに流れる際に、風速が落ちたり、風の流れが乱れたりする現象)とその相互干渉現象の正確な理解、それらの予測評価技術開発の実施を産学連携で取り組み、将来的に必要な技術開発方針の提案を目指すもの。大規模浮体式洋上風力ウィンドファームの技術的課題を順次解決し、導入拡大につなげたい考えだ。

 川崎汽船 <9107> [東証P]と東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、中部電力 <9502> [東証P]、Jパワー <9513> [東証P]、アルバトロス・テクノロジー(東京都中央区)は5月、次世代(浮遊軸型)風車の海上小型実証研究に関する共同研究契約を締結したことを発表している。低コスト化及び国産化率向上が期待できる次世代の風車として、浮遊軸型風車の小型実験機(20キロワット級)を5社共同で製作するとしており、浮体式洋上風力発電のゲームチェンジャーとなる可能性がある。

●富山で北陸初の洋上風力が稼働

 ただ、浮体の上に風車を載せて発電する「浮体式」はコストが高く、大量生産に係る技術を確立していないという課題があることから、現在主流となっているのは海底に杭などの基礎構造物を設置してその上に風車を載せる「着床式」だ。

 直近ではJFEホールディングス <5411> [東証P]傘下のJFEエンジニアリング、北陸電力 <9505> [東証P]、ウェンティ・ジャパン(秋田市)が出資・参画する入善マリンウィンドが、富山県入善町沖で建設工事を進めてきた入善洋上風力発電所の運転を開始。これは国内初の民間資金による一般海域洋上風力発電事業で、北陸初の洋上風力発電所となることから注目度が高い。また、住友商事 <8053> [東証P]は北海道石狩湾沖で最大出力100万キロワットの洋上風力発電計画を公表し、12日から環境影響評価の手続きを開始している。

 脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネの需要が高まるなか、その他の洋上風力発電の関連銘柄もマークしておきたい。このほど風力発電施設の大口受注を獲得したETSホールディングス <1789> [東証S]、5月下旬から6月上旬にかけて風力発電設備の建設現場となる沿岸部で「遠隔臨場」を実現する実証試験を行ったセーフィー <4375> [東証G]、洋上風力発電市場向けの海上作業支援サービス「ANEMOI(アネモイ)」を提供するウェザーニューズ <4825> [東証P]、産業総合技術研究所の福島再生可能エネルギー研究所と分子接着・接合技術を応用した風車のプラズマ気流制御電極の特性評価を行っている朝日ラバー <5162> [東証S]、洋上風力発電用ケーブルを扱うJMACS <5817> [東証S]、浮体式洋上風力発電市場への参入に向けた事業開発を進めている三井海洋開発 <6269> [東証P]、風力発電用ディスクブレーキを手掛ける曙ブレーキ工業 <7238> [東証P]などの動向が注目される。

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