貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7911 TOPPAN

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医療業界もDX革命が加速、オンライン診療で開花する銘柄群を追え <株探トップ特集>


―年々強まる人手不足の問題、政策支援バックに医療の効率化が待ったなしの局面に―

 「人口減少が進行している日本だからこそ、デジタルの力を借りて、必要であれば、国と地方の行財政の仕組みを変えていく」というのが、現政権が「デジタル行財政改革会議」のなかで主張する骨子である。視野に入れている分野は多岐にわたるが、 「オンライン診療」はその重要な一項目である。

●オンライン診療拡充に向け政権動く
 
 「デジタル行財政改革会議」の初会合が10月11日に開催された。岸田首相は「デジタル行財政改革の3本柱は、一つ目としてデジタルによる質の高い公共サービスの提供、二つ目として、デジタル活用を阻害している規制・制度の徹底した改革、三つ目として、EBPM(証拠に基づく政策立案)を活用した予算の見える化による事業・基金の見直し、この3点である」と説明を加えている。

 司令塔として任命した河野太郎デジタル大臣と関係大臣に対して、それぞれ具体的な取り組みを検討していくことを指示した。どれも今後の日本にとって重要な課題ばかりだが、例えば武見敬三厚生労働大臣に対しては、介護事業者向けのデジタルトランスフォーメーション(DX)支援のほか、年末の介護報酬の改定の機会も活用し、生産性の抜本向上のための適切なKPI(重要業績評価指数)の設定などを具体化すること、そして、オンライン診療拡充などの検討を急ぐように指示している。

●医療業界に浸透していくオンライン

 根本的な問題として、日本の2022年の出生数は7年連続で減少、過去最少だった21年を更に下回る初の80万人台割れという深刻な状況に陥っている。当然、労働力人口も減少が続くなか、人手不足感は年々強まっている。DXやリスキリングといった流れを上手く活用しながら、従業員の旧態依然とした働き方を見直し、必要人員自体を削減することで最適化することができているのは、一部の大企業のみにとどまることは言うまでもない。

 さて、こうした状況のなかで、効率化が急務となっている業界の一つとしてたびたび議論の的になるのが「医療」の世界だ。そういった意味で、「オンライン診療」にかかる期待は大きい。もちろん、本人の体調や最寄りの医療施設の立地などの要因で通院困難な高齢者の利用が期待される一方、当人にとってはデジタル化に対応できないという大きな問題も横たわっており、一足飛びで社会に浸透するようなイメージは絵空事だと思う投資家も多いかもしれない。

 だが、例えばケーブルテレビ大手のJCOMは、テレビとリモコン操作で診察・服薬指導が受けられるサービスを提供している。こうした利用者のアクセスのしやすさを意識した、いわば「現実的」な取り組みが生まれているのも事実だ。アイデア一つで、爆発的に商品やサービスが社会に広がる事例は枚挙にいとまがない。その本来的な実用性という意味では、株式市場が評価する未来の医療技術よりも、この「オンライン診療」が近いうちに社会に浸透していく可能性の方がよほど大きいのかもしれない。今後の河野大臣と武見大臣の動向に注目したいところだ。

●対応する有望株をピックアップ

 中東情勢で世界が混乱するなか、国内政治も先行き不透明な状態となっている。気は抜けない局面とはいえ、国内外の政治経済の行方とは関係なく、日本全体の課題と言える医療の効率化に向けた「オンライン診療」に対する国策の追い風が止むことはないだろう。

 オンライン診療システムを提供している銘柄はもとより、服薬指導サービスや処方薬を自宅で受け取れるサービスの市場が拡大しているなか、同サービスを手掛けている企業なども関連銘柄の一角として位置付けられる。同サービスの利便性が向上することによって、オンライン診療サービスの利用も広がることにつながりそうだ。今回はオンライン診療のニーズに対応した事業を手掛けている企業を個別にピックアップしてみる。

◆ソフトバンク <9434> [東証P]~子会社ヘルスケアテクノロジーズでは、オンライン健康医療相談や病院検索、一般用医薬品などの購入、オンライン診療の受診などをワンストップでできるヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」を提供する。10月に伊藤忠テクノソリューションズ <4739> [東証P]経由による販売を開始したほか、住友生命保険とウェルビーイング領域(心身と社会的な健康)における新事業・新サービスの創出などで資本・業務提携契約を締結。

◆アルフレッサ ホールディングス <2784> [東証P]~医療スタートアップのMICIN(マイシン、東京都千代田区)と、9月に資本・業務提携契約を締結。MICINはオンライン診療サービスやデジタルセラピューティクスなどの開発・提供に取り組んでおり、事業パートナーとして、新たな事業・サービスを検討する。また、同業の東邦ホールディングス <8129> [東証P]も、同日にMICINとの資本・業務提携を締結。

◆MRT <6034> [東証G]~医療人材紹介サービスのほかに、医療機関の経営支援や医師のライフサポート支援、医療情報提供やオンライン診療・遠隔健康相談のアプリケーションをグループ全体で提供する。ASEANにおいて医療DXサービスを展開するグループ会社のメドリングは、ASEANクリニック向けクラウド電子カルテ「MEDi」を、ベトナム・インドネシアに続きカンボジアにおいてもリリースした。

◆メドレー <4480> [東証P]~医療ヘルスケア分野における国内最大級の人材採用システム「ジョブメドレー」を運営するほか、オンライン診療システムである「CLINICS オンライン診療」を中核として、クラウド電子カルテ、かかりつけ薬局支援システム、クラウド歯科業務支援システムなどを手掛ける。また、オンライン診療・服薬指導アプリを手掛け、処方された薬は自宅に直接届けられる。病院での待ち時間などの負担も減らし、需要加速が見込まれる。

◆トヨタ紡織 <3116> [東証P]~大型ワンボックスカー1台で多様な医療サービスをサポートできる車室空間の提案を進めている。医療現場で使用されている車両は、移送用、検診用など、車両ごとに用途が限定されている。車両のシートなどをアレンジすることで、オンライン診療などのニーズに対応した医療サービスの提供が可能となる。

 このほか、日本調剤 <3341> [東証P]は全国の店舗で導入しているオンライン服薬指導サービス「NiCOMS(ニコムス)」の登録者数が、今年の5月に10万人を突破。また、マツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]では、全国の店舗網を生かしたデリバリーサービスを導入しており、23年3月時点で配送エリアは77だが、24年3月には170に拡大させる計画にあり、処方薬を受け取る利便性が向上することでオンライン診療の利用も広がる可能性がある。アインホールディングス <9627> [東証P]は、LINEアプリ上で診療の予約、無料ビデオ通話での診療、決済を完結することができるオンライン診療「LINEドクター」と連携している。

 オンライン診療では相手の顔色や患部などを確認する上で、正確な色が伝わることも重要である。TOPPANホールディングス <7911> [東証P]では、一般的なモニター上に正確な色を再現できる「カラーマネジメントシステム」を手掛けているほか、大日本印刷 <7912> [東証P]も、オンライン診療時の画像の色を補正するサービスを提供している。

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