クリレスHD Research Memo(5):2024年2月期の業績予想を増額修正し、大幅な増収増益を見込む
■業績見通し
1. 2024年2月期の業績予想
2024年2月期の業績予想についてクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は、好調な足元業績等を踏まえ、期初予想を増額修正した。売上収益を前期比20.9%増の143,000百万円(修正幅+2,000百万円)、営業利益を同45.6%増の7,400百万円(修正幅+900百万円)、税引き前利益は同51.1%増の6,900百万円(修正幅+900百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益を同47.7%増の5,000百万円(修正幅+800百万円)と、大幅な増収増益を見込んでいる。協力金がはく落するものの、高い利益水準を維持するとともに、調整EBITDAも24,700百万円を確保する見通しである。
全国旅行支援による観光客増やインバウンド需要の回復、新型コロナウイルス感染症の5類への移行などが追い風となるほか、サンジェルマン等の連結効果(9ヶ月分の上乗せ)も増収に寄与する前提である。実質既存店売上高はコロナ禍前比91.1%(前期は79.5%)を想定している。新規出店は30店舗を計画するとともに、既存店のさらなる質の向上を含め、成長回帰に向けた投資を再開する方針である。
損益面では、厳しい収益環境(原材料価格の高止まり、人手不足による人件費上昇や電気・ガスといった光熱費の高騰等)が続くなか、協力金のはく落による影響があるものの、売上収益の伸びや筋肉質なコスト構造への転換等により大幅な増益を確保する見通しである。
2. 弊社の注目点
弊社では、先行き不透明感のある経済情勢等については慎重に判断する必要があるものの、好調な足元業績やインバウンド需要の回復、繁忙期となる年末年始の季節要因等を勘案すれば、同社の業績予想(増額修正後)の実現は十分に可能であると見ている。注目すべきは、来期以降の業績の伸び(計画への上積み)、そして新たな成長ステージに向けた動きである。一方、懸念材料としては、収益環境の悪化(原材料価格や光熱費の高騰、人件費の上昇等)や人手不足の問題が同社の収益性や中長期的な成長性にどのような影響を及ぼすかについても引き続き注意したい。特に中長期的なボトルネックとなり得る人手不足への対応については、人的資本の強化(採用及び育成)とDX推進の両面から今後の取り組みをフォローする必要があるだろう。また、ロケーションビジネスからブランドビジネスへの転換(ポートフォリオの見直し)に向けてはこれまでと違った価値をどのように生み出すのか、その進捗を見守りたい。重要な成長戦略の1つとして位置付けているM&Aについても、様々な案件打診が活発化しているようで、今後の動向が気になるところである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《SI》
提供:フィスコ