アルプス技研 Research Memo(4):2023年新卒289名を採用。新規事業(農業及び介護関連分野)も堅調
■主な活動実績
1. 採用実績
アルプス技研<4641>成長のドライバーとなる人材の採用については、2023年新卒採用(単体)として289名(前期は330名)が入社した。2024年新卒採用についても300名程度を計画しているようだ。なお、4月12日付の日本経済新聞(朝刊)に掲載された「2024年卒大学生就職企業人気ランキング」(日経・マイナビ共同調査)によると、理系総合32位(前年は37位)にランクアップするとともに、業種別では人材サービス(派遣・紹介)で前年に続き1位に選ばれた。派遣技術者に対する認知や理解が進んできたことに加え、質の高い人材を生み出す企業組織文化や、独自の教育・研修体系※など同社自身の取り組みが就活生に評価された結果と見ることができ、ここ数年注力してきた広告宣伝効果(テレビCM等)によるところも大きいと言える。また、人材獲得競争が厳しさを増すなか、キャリア採用については通年で約100名を計画するとともに、入国制限が緩和された外国人材(エンジニア)も約40名が入社予定である。
※「能力開発教育体系」と「キャリア開発支援」の2つに大別され、レベルやニーズに応じた教育やキャリアサポーター(先輩技術者)によるフォローなど、高度な技術力や専門性を持った人材を育成するための教育・研修体系を確立している。また、無期雇用(正社員)であるところも、長期的な育成プランを可能としている。
2. 新規事業の進捗
(1) 農業関連分野
アルプスアグリキャリアについては、国内における農業人材不足は顕著であり、コロナ禍に伴う入国制限の緩和ととともに体制を整え、成長軌道へと乗せていく考えだ。特にアグリテック※から就農(派遣)まで幅広い人材サービスを提供することにより課題解決を図る方向性を描いている。2022年秋に外国人材(アグリ人材)約130名を受け入れると、2023年も約60名(国内新卒採用を含めると約100名)が入社しており、事業拡大とともに単月黒字化も視野に入ってきたようだ。今後は子会社DONKEYとの連携などによりロボット等を活用したアグリテック分野へも展開していく計画である。
※農業領域でIoTやドローンなど情報通信技術を活用すること。
(2) 介護関連分野
介護関連事業サービスを行うアルプスケアハートについては、まずは国内人材の活用による訪問介護サービスを相模原市から開始し、神奈川県、首都圏、そして全国へと事業所を拡充する計画である。2023年に入ってからは、3月に5号店(相模大野)、5月に6号店(元住吉)、8月に7号店(成瀬)を開設し、着々と店舗数を増やしている。
3. サステナビリティへの取り組み
同社は創業以来、人材を大切な経営資源と捉え、企業の持続的かつ健全な発展のためには、社員とその家族の健康維持が不可欠との前提に立ったうえで、2018年に「健康経営宣言」を制定するなど、積極的に健康増進活動を推進してきた。そうした取り組みが評価され、2023年3月8日には「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」※1に認定された。また、2023年3月31日には、指定審査機関(厚生労働省から委託を受けた認定機関が指定した審査機関)により「優良派遣事業者」※2にも認定されている。
※1 地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みを基に、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度。
※2 「法令遵守」だけでなく、「派遣社員のキャリア形成支援」や、「より良い労働環境の確保」及び「派遣先でのトラブル予防」など、「派遣社員と派遣先の双方に安心できるサービスを提供しているか」という観点から81項目の基準が設定され、そのすべてを満たした派遣事業者を「優良派遣事業者」として認定するもの。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《SI》
提供:フィスコ