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需要爆発へ、3次元革命「メタバース」領域で活躍する銘柄群 <株探トップ特集>


―「東京ゲームショウ」が映し出した近未来、社会への浸透に向けて着実に歩み続く―

 混沌とした相場環境のなか、先進的な投資テーマに対する物色は下火になっているように見える。しかし、投資家の目には映りにくくとも、時代の変化は着実に起きている。今回は、直近開催された「東京ゲームショウ」からその兆しを読み取り、将来的な需要爆発に期待が膨らむ メタバース関連にスポットライトを当てた。

●クラスターへの注目度高まる

 “世界中が注目している ゲームの全てが集結する”イベントとして毎年関心が高い「東京ゲームショウ2023」が、9月21日から24日まで幕張メッセで開催された。「ゲームは今や単なるエンターテインメントコンテンツの枠にとどまらず、その技術がゲーム産業以外でも注目され、実装されるようになってきた。ゲームのエコシステムやテクノロジーが世界を牽引する時代がすぐそこにやってきている」というのは、イベントを主催するコンピュータエンターテインメント協会(CESA)が出展案内資料の中で述べている言葉だ。これに違和感を覚える人はもはやいないはずだ。

 今回も見どころが目白押しだったが、特に「cluster(クラスター)」を巡る状況から、変化の兆しを読み取りたい。クラスターとは、「スマートフォンやパソコン、 VR機器などさまざまな環境からバーチャル空間に集ってイベントに参加したり、友達とコンテンツを楽しめるメタバースプラットフォーム」である。仮に同プラットフォームを知らずとも、ポケモン、横浜DeNAベイスターズ、ソニー・ミュージックエンタテインメント、KDDI <9433> [東証P]、小学館などさまざまな企業と取り組みを行っていると補足すれば、メタバース領域で存在感のあるプラットフォームだと十分想像できるであろう。

 東京ゲームショウで開催された発表会では、2020年9月~21年8月に1842件だったクラスターでの公開イベント数が21年9月~22年8月に3814件、22年9月~23年8月に1万751件と急拡大していることが公表された。また、さまざまなビジネスシーンで利用され、その数は年間200社以上にもなっているようだ。ある意味でそうした勢いある状況を裏付けるかのように、運営するクラスター(東京都品川区)は、スズキ <7269> [東証P]、SUBARU <7270> [東証P]、ダイハツ工業、トヨタ自動車 <7203> [東証P]、日産自動車 <7201> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、マツダ <7261> [東証P]、三菱自動車工業 <7211> [東証P]との共同プロジェクトであるメタバースゲーム「爆創クラブ」をリリースしたことを足もとで発表している。これらの公開イベント数の推移が物語っているように、メタバースは社会への浸透に向けた歩みを着実に進めている。

●「メタバース区役所」の実証実験開始

 東京ゲームショウから話は変わるが、東京都江戸川区は「メタバース区役所」を開設するための実証実験を9月20日から始めている。実際に区役所に来庁しなくても、各種申請手続きや相談などができることを目指したもので、報道によると5年後をメドに全庁で導入したい考えのようだ。冒頭で紹介したCESAの言葉通り、メタバースはゲーム産業以外でも注目され、実装に向けた取り組みが加速している。これが全国的に実現すれば、出張所なども不要になるほか、高齢化・人口減少に伴う人手不足など構造的な問題に直面している日本は、社会参画の新たな効率的手段を獲得することになる。

 メタバース関連株としてはゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」がきっかけとなった任天堂 <7974> [東証P]のほか、ソニーグループ <6758> [東証P]、凸版印刷 <7911> [東証P]、パナソニック ホールディングス <6752> [東証P]、グリー <3632> [東証P]、KDDIなどが代表的な銘柄となる。今回は昨年以降、同サービスに本格参入している中小型株を中心に有望株6銘柄を選定した。

●メタバースで飛躍が期待される6銘柄

◆ストリームメディアコーポレーション <4772> [東証G]~エンターテインメント事業及びライツ&メディア事業を展開。所属アーティストのメタバースグループ「aespa(エスパ)」の初となる東京ドーム公演を今年8月に開催。同社が実施する「aespa_TOKYO DOME QUEST.xr」の一つとして、ARコンテンツを提供する「Meet & Greet with ae」を実施し、同社では今回のaespa/ae-aespaのメタバース展開を始めとしたXRへの取り組みを本格化させる計画だ。

◆KLab <3656> [東証P]~これまでに培ってきたゲーム開発の知見を生かし、今月19日にFortnite(フォートナイト)を皮切りにメタバース向けコンテンツ事業に参入すると発表。Fortniteでは、作成したマップが遊ばれた人数・時間に応じて収益を得ることが可能であり、メタバースプラットフォーム向けのコンテンツを、自社で企画・制作・提供していく。

◆オープンハウスグループ <3288> [東証P]~メタバース事業を主として行う戦略子会社のモンドリアンは、5月から本格的にメタバース事業へ参入している。これまで複数のメタバースプラットフォームにおいて、クリエイター支援やコンテストへの協賛を行ってきたが、一段とメタバースに特化した新規事業に注力する。

◆アダストリア <2685> [東証P]~ティーンズブランドrepipi armario(レピピアルマリオ)は、8月から韓国NAVER Zが運営するメタバースプラットフォーム「ZEPETO(ゼペット)」において、アプリ内で楽しめるアバター用ファッションアイテムを展開している。ZEPETOは全世界で4億6000万人のユーザーが参加するアジア最大規模のメタバースプラットフォームであり、人気クリエイターと共同でファッションアイテムを制作する。

◆ピー・ビーシステムズ <4447> [東証G]~体験共有型VRシアター「MetaWalkers」を製造販売する。22年1月にメタバース推進部を設置し、仮想空間構築用のクラウド基盤設計からVRコンテンツ制作、システム運用までを一貫してサポートしている。企業向けメタバースとして、初号機(大英産業案件)が完成したことを直近の決算補足資料の中で明らかにしている。

◆カヤック <3904> [東証G]~プロモーション企画やゲーム・エンタメ関連、eスポーツ関連事業などを手掛ける。22年2月にメタバース専門部隊を立ち上げ、本格的に関連事業に参入した。今年3月にKDDIが正式ローンチしたメタバース「αU metaverse」の開発を行ったほか、同メタバース内で生成AIを活用して開催するゲームの企画・開発を担当した。

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