サイバネット Research Memo（3）：シミュレーションソリューションサービスとITソリューションサービスを展開

■会社概要

2. 事業内容
同社グループは、ソフトウェア及び技術サービス（技術サポート、コンサルティング等）によるソリューションサービス事業を国内外で展開しており、その事業領域の違いからシミュレーションソリューションサービス事業とITソリューションサービス事業の2つの事業セグメントで開示している。シミュレーションソリューションサービス事業は、サイバネットシステム<4312>及びサイバネットMBSEのほか、海外で自社開発製品を開発・販売するMaplesoft、Sigmetrix、Noesis、及びアジアの販売子会社3社（中国、台湾、マレーシア）で構成され、ITソリューションサービス事業は同社で展開している。2023年12月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比で見ると、シミュレーションソリューションサービス事業が売上高の77.7%、セグメント利益の82.2%を占める主力事業となっている。また、連結従業員数は2023年6月末時点で583名となっており、このうち約45%がエンジニアで占められている。

(1) ビジネスモデル
ビジネスモデルを簡単に説明すると、国内外の有力ソフトウェアベンダーと販売代理店契約を締結し、ソフトウェア製品（自社グループの開発製品含む）を企業や大学・研究機関などに販売している。また、その際に製品を顧客が上手く使いこなせるよう支援するエンジニアリングサービス※を顧客ニーズに応じて提供しており、顧客から出てきたニーズを開発元ベンダーにフィードバックすることで、製品の品質向上に貢献している。

※ソフトウェア導入支援や技術サポート、受託解析などソフトウェアを顧客が有効利用するためのコンサルティングサービス。


特に、シミュレーションソリューション分野においては国内のパイオニア企業として38年以上にわたる長い経験と技術の蓄積があり、顧客が抱える様々な課題を解決に導くソリューション力を持つことから、顧客との強固な信頼関係が構築されているほか、開発元ベンダーからも高く評価されている。例えば、現在の主力取引先ベンダーであるAnsysからは、2015年から9年連続で「Ansys Elite Channel Partner」※1に認定されており、アジア地域でトップの評価を受けているほか、営業分野では新しいマーケット開拓の成果に対して「2022 Highest New Market Growth」※2、マーケティング分野では「2022 Best Brand Awareness」※3を受賞した。また、中国子会社においても販売実績や顧客サポート力が評価され、「Ansys 2022 Asia Pacific Partner of the Year」を初めて受賞している。

※1 「Ansys Elite Channel Partner」は、「Ansysソフトウェア」の販売活動においてもっとも貢献が認められた組織に授与される称号で、国内代理店では唯一2015年から9年連続で認定された。厳格な認定要件を満たし、最高レベルの顧客満足度を獲得したことが評価されている。
※2 「2022 Highest New Market Growth」は、新規マーケット開拓に貢献した代理店に贈られる賞で、2021年10月より取り扱いを開始した光学製品（Ansys Speos（R）、Ansys Lumerical、Ansys Zemax OpticStudio）を新規顧客に多く導入した実績が評価された。
※3 「2022 Best Brand Awareness」は、様々なマーケティング活動を実施し、Ansysブランド認知度の向上に最も貢献した代理店に贈られる賞。Webやメールマガジンなどを用いた情報発信に加え、大規模なオンラインイベントを1年に1度開催し、Ansysソフトウェアなどのデジタルエンジニアリング製品に関する最新の技術情報を紹介している。


(2) 形態別売上高と地域別売上高
売上高を形態別に分けると、開発元ベンダーの製品を販売する代理店売上、自社開発製品売上、各種ソリューションサービス（エンジニアリングサービス、教育研修サービス等）売上の3つに分けられ、2023年12月期第2四半期累計の連結実績では代理店が69.4%、自社開発製品が19.5%、サービスが11.1%の売上構成となっている。また、地域別の売上構成比では日本が77.4%、アジアが8.8%、北米が9.5%、欧州が4.0%で、国内の販売代理店ビジネスが主力となるが、今後は自社開発製品・サービスやアジアなど海外売上高を拡大することでさらなる成長を目指す戦略を打ち出している。

(3) 契約形態別売上高、業種別売上高
売上高を契約形態別で分けると、ライセンス形態とそれ以外に分けられる。また、ライセンス形態はソフトウェア製品を新規導入する場合の新規契約料（初期導入及び1年間の利用料＋保守料）と、2年目以降の更新契約料（1年間の利用料＋保守料）に分けられ、これに顧客が必要に応じて、各種オプションサービスを追加する格好となる。一方、ライセンス形態以外の売上としては、エンジニアリングサービスや教育研修サービス、ハードウェアなどが含まれる。

2023年12月期第2四半期累計の契約形態別売上構成比（単体）を見ると、ライセンス更新契約が60.8%、ライセンス新規契約が24.9%、その他が14.3%となっており、ライセンス更新契約の比率が最も高く同社の安定収益源となっている。同社の顧客は大企業や大学・研究機関が大半を占めており、主力のCAEソフトウェア製品に関しては一旦導入されれば、継続性の観点からほぼ契約が更新されるためだ。

2023年12月期第2四半期累計の業種別売上構成比（単体）を見ると、電気機器が20.9%と最も高く、次いでその他製造業が18.8%、機械・精密機器が15.3%、輸送用機器が11.3%となり、製造業全体では66.4%を占める。ただ、ここ数年でシミュレーション活用領域が情報・通信やヘルスケア、建築分野など多岐に広がってきており、非製造業分野の売上構成比率が徐々に上昇している（2020年12月期28.1%→2023年12月期2Q累計33.6%）。

（執筆：フィスコ客員アナリスト　佐藤　譲）

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　提供：フィスコ