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3242 アーバネット

東証S
382円
前日比
+2
+0.53%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
7.1 0.85 5.50 45.65
時価総額 125億円
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アーバネット Research Memo(1):2023年6月期は計画を上回る増収増益を実現


■要約

1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売り:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題となっているが、キャッシュ・フローの安定した投資用ワンルームマンションに対する人気は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層、潤沢な資金を確保したファンドやリートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、「ホテル事業」へも参入した。さらには、首都圏初(同社調べ)となるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様マンションの開発にも着手し、2023年2月に完成した。今後もZEH仕様マンションの開発を継続し、脱炭素社会への貢献と新たな事業機会の創出を目指している。

2. 2023年6月期の業績概要
2023年6月期の業績は、売上高が前期比3.4%増の20,264百万円、営業利益が同9.3%増の2,429百万円と計画を上回る増収増益を実現した。主力の「不動産事業」における投資用ワンルームマンションの販売戸数が11棟584戸(前期は11棟658戸)とほぼ計画どおりに着地したことに加え、その一部に都心優良物件が含まれていたことや、適切なタイミングと価格による販売戦略が奏功したことで売上高全体を押し上げた。また、「ホテル事業」についても、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加等により、客室単価・稼働率とも安定的に推移し大幅な増収を確保したほか、足元では単月黒字化を実現しており、通期での黒字化も視野に入ってきた。利益面では、建設資材や工事関連人件費の増加など工事原価の高止まりが続いたものの、ゼネコン各社と協力しながらその抑制に努めるともに、利益率の高いプロジェクトが原価改善に寄与し大幅な営業増益を実現した。また、今後の成長につながる用地仕入れについても積極的に取り組み、一定の積み上げを達成した。

3. 2024年6月期の業績予想
2024年6月期の業績について同社は、売上高を前期比23.4%増の25,000百万円、営業利益を同2.9%増の2,500百万円としている。増収増益基調の継続により売上高、各段階利益ともに過去最高業績を更新する見通しである。引き続き「不動産事業」における販売戸数の拡大が増収に寄与する。前提となる販売戸数は651戸(前期比67戸増)を予定しており、すでにすべてが契約済となっている。また、「ホテル事業」についても、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加等を背景として、年間を通じて客室単価、稼働率ともに安定推移し、売上高の拡大とともに通期での黒字化を想定しているようだ。

4. 今後の方向性
これまでの同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、これまで以上に選別的な用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指す方針であったが、今般、東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を踏まえ、より持続的成長を意識したものと見られる。また、「サステナビリティ基本方針」を制定し、持続可能な社会実現への貢献を企業価値の向上に結び付けていく姿勢を明確に示しており、パートナーとの様々な価値共創にも意欲的である。

※2023年8月24日付で、「第三者割当により発行される第10回新株予約権、第11回新株予約権及び第12回新株予約権の発行並びに行使許可及びコミットメント条項付第三者割当契約の締結に関するお知らせ」を開示し、約25億円の資金調達計画を発表した。調達する資金の具体的な使途は既存事業の土地購入費等や新規事業のM&Aとしており、同社が既存事業のさらなる強化とM&Aを含めた事業領域の拡大を図る方針を明確にしたものである。

■Key Points
・2023年6月期は好調な販売環境を追い風として計画を上回る増収増益を実現
・将来に向けて都心好立地の用地を積極的に購入し、パイプラインの一定の積み上げを達成
・2024年6月期も増収増益基調の継続により、過去最高業績を更新する見通し
・今後も既存事業の拡大を軸としつつ、ZEH仕様マンションの開発など、パートナーとの様々な価値共創やM&Aを含めた事業領域の拡大にも取り組む方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YI》

 提供:フィスコ

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