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2938 オカムラ食品工業

東証S
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始まる9月IPO、バリュー株相場のなか輝き放つ新規上場株を探せ <株探トップ特集>


―AI関連株には依然高い関心集まる、従来の常識覆す新たな評価目線も必要に―

 9月の新規株式公開(IPO)が12日からスタートする。今月は10社が登場する見込みであり、秋のIPOシーズンに向けた動きが本格化する。東京市場は、調整局面が一巡しつつあり、上昇相場に突入する機運が高まっている。ただ、その一方で中小型株の上値は重く、冴えない展開が続く。7~8月のIPOでも複数の銘柄の初値は公開価格割れとなった。果たして、9月IPOの行方はどうなるのか。個人投資家からの人気が高いIPO銘柄の動向は、市場関係者の関心を集めている。

●10社が登場、コンサルティング企業や半導体関連なども

 9月は10社の新規上場が予定されており、昨年に比べ1社の増加となる見込みだ。その内訳は東証グロース市場が6社、東証スタンダード市場が2社、東証スタンダードと名古屋証券取引所メイン市場との重複上場が2社といったものだ。人気の人工知能(AI)関連企業やコンサルティング会社半導体関連企業などが登場する。

 夏場のIPOを振り返ってみると、7月はエコナビスタ <5585> [東証G]やLaboro.AI <5586> [東証G]のように初値が大きく値を飛ばした銘柄がある一方、同月に上場した10社のうち4社の初値は公開価格を割り込んだ。8月も2社のうち1社が公開価格を割り込む結果となった。

 日経平均株価やTOPIX指数が春先以降、大きく値を上げる一方、東証グロース市場は冴えず中小型株は伸び悩む展開が続く。「バリュー株への物色が全盛となるなか、IPOを含む中小型株には厳しい時期がまだ続くかもしれない」と証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は指摘する。

●ライズG、インテグラルの大型IPO2社の動向に関心

 そんななかスタートする9月は、大型IPO2社が最初に登場する。12日のライズ・コンサルティング・グループ <9168> [東証G]は総合コンサルティング事業を手掛けており、戦略策定や業務改革、IT導入などの支援を行っている。同社の資金吸収額は120億円台と大きく、ファンドによる売り出しが目立つ点を警戒する見方も出ている。

 20日にはインテグラル <5842> [東証G]が上場する。同社は著名なプライベートエクイティ(PE)ファンド運営会社で、スカイマーク <9204> [東証G]などに投資したことで知られる。上場発表時点での想定仮条件では資金吸収額は300億円近い規模が見込まれていたが、4日に発表された仮条件は水準が切り下げられたことで、想定される同吸収額は200億円前後に縮小したことが注目されている。この見直しにより、相場の展開次第では買い妙味が出てくる可能性を指摘する声もある。

●ファーストAやAVILEN、JETなど注目

 21日の揚羽 <9330> [東証G]はリクルーティングや企業ブランディングの支援などを展開。想定価格から弾いた資金吸収額は7億円程度だ。

 22日は会計分野に特化したAIソリューション事業(経理AI事業)を展開するファーストアカウンティング <5588> [東証G]が新規上場する。想定されている資金吸収額は7億円程度と小さく、市場からは「初値は飛ぶ展開も」(アナリスト)と期待する声が出ている。同日には印刷の笹徳印刷 <3958> [東証S]も上場する。同吸収金額は14億円程度だ。

 25日には半導体洗浄装置の開発・設計、製造などを手掛けるジェイ・イー・ティ <6228> [東証S]が登場する。同社はTOKYO PRO Marketからの上場となる。半導体関連企業のIPOとしても注目されており、資金吸収額は70億円強が見込まれている。

 26日にはネットスターズ <5590> [東証G]とオートサーバー <5589> [東証S]が上場する。ネットスターはマルチQRコード決済サービス「StarPay」などを展開している。資金吸収額は70億円前後だが、業績は赤字が続いている。オートサーバは中古車オークション代行サービスなどを展開。同吸収額は60億円程度の見込み。

 27日にはAVILEN <5591> [東証G]とオカムラ食品工業 <2938> [東証S]が新規上場する。AVILENは、独自開発した技術コアモジュール「AVILEN AI」を活用したAIソフトウエアの開発などを展開。資金吸収額は30億円強の見込み。ファンドの売り出しが目立つ点が警戒されているが、生成AI関連の事業も行っており市場の注目を集めている。オカムラ食品は、サーモンの養殖、水産品の加工・販売などを手掛ける。資金吸収額は20億円前後の見込みだ。

●PER重視などバリュー株投資の視点も必要に

 9月IPOは、資金吸収額が大きい銘柄が少なくなく、ファンドの売り出しも目立つだけに個別銘柄ごとのパフォーマンスに差がつくことも予想されている。金融商品仲介業者(IFA)である「みんなの証券アドバイザー」のシニア・フィナンシャル・アドバイザーで、中小型株に詳しい藤井知明氏は「足もとのIPOの物色セオリーは変わりつつあると思う。春先までならAIやデジタルトランスフォーメーション(DX)といったテーマに乗り人気化したであろうと思われる銘柄も、7~8月相場では期待したほど値を上げなかった。足もとのIPO銘柄の評価ではPERにも注目するなどバリュー株評価の視点を取り入れるといった対応も必要だと思う」と指摘している。

 同氏は9月IPOでは、半導体関連のJETとAI関連のAVILEN、それにバリュー株の視点からオカムラ食品に注目している、という。また、上場後の株価の動向次第でインテグラルにも投資妙味が出てくる可能性も指摘している。バリュー株相場が全盛となるなか、IPOは輝きを放てるのか。その動向は高い関心を集めている。


■9月IPO 一覧
上場日  コード・上場市場 企業名            主幹事
9月12日  9168・東G ライズ・コンサルティング・グループ 野村
  20日  5842・東G インテグラル            大和、野村
  21日  9330・東G 揚羽                岡三
  22日  5588・東G ファーストアカウンティング     大和
  22日  3958・東S・名M 笹徳印刷           東海東京
  25日  6228・東S ジェイ・イー・ティ         SBI
  26日  5590・東G ネットスターズ           大和、日興
  26日  5589・東S・名M オートサーバー        SBI
  27日  5591・東G AVILEN            大和
  27日  2938・東S オカムラ食品工業          野村
  (注)東Sは東証スタンダード、東Gは東証グロース、名Mは名証メイン

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