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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3291 飯田GHD

東証P
2,272.0円
前日比
+35.5
+1.59%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.5 0.65 3.96 0.93
時価総額 6,370億円
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Jトラスト Research Memo(8):3か年計画では、2024年12月期から増益基調を目指す(2)


■Jトラスト<8508>の中長期の成長戦略

(3) 東南アジア金融事業
同社グループ成長のけん引役になると期待されるJトラスト銀行インドネシアでは、貸出金残高の増加に伴う利息収益の増加、調達コストの低下による持続的な収益計上を目指す。2019年以降戦略の転換を行い、ビジネス部門と審査部門の連携を強化し、不良債権リスクの低減を図りつつ積極的に貸出残高増強を図る。現状は貸出の75%程度が信用力のある大企業や国営企業向けであるが、貸出先の多様化により貸出増加の余地は大きいと言える。また、安定的な経営基盤を構築するために調達コストの低減に努め、小口預金獲得に向けた新規口座開設を積極的に推進する。

同行は2021年11月以降、飯田グループホールディングス<3291>、(株)ダックス、阪急阪神不動産(株)、GREED GROUP、三菱商事<8058>グループなどの日系企業傘下にある現地法人と住宅ローンの業務提携を行っており、住宅ローン残高の伸長が期待される。加えて、重機ローンに係る業務提携契約締結も推進しており、2022年7月以降、神戸製鋼所<5406>、日立建機<6305>傘下のインドネシア法人及びPT United Tractors Tbk(小松製作所<6301>の独占販売代理店)と契約を締結しており、重機ローン残高は2023年6月には前四半期比54%増の35億円に急拡大している。インドネシアは資源大国であり、ニッケル掘削などのための重機の需要が高く、重機ローンの拡大が見込まれる。現状では住宅ローンや重機ローンの残高は小さいが、新たな成長分野と言えよう。

インドネシアは年率5~6%の実質GDP成長が継続している(コロナ禍の2020~2021年を除く)。世界銀行によれば、2021年時点の銀行口座保有率は52%にまで上昇してきたが、90%を超えるシンガポール、タイ、マレーシアを大きく下回り、今後も倍近い潜在顧客が存在することになる。ローン対GDP比率も東南アジア諸国のなかでも低く、経済成長に伴いさらなる上昇が予想される。インドネシアの人口は約2億7千万人と世界第4位であり、マーケット規模が大きく、またニッケル、天然ゴム、石炭などの豊かな天然資源を有し、その領域への貸出機会が豊富であることから、インドネシア銀行業界の成長ポテンシャルは高いと言える。そのなかで、Jトラスト銀行インドネシアは、現地に代表取締役副社長が常駐し、スピーディな決済が可能であることから、取引先から高く評価されている。ただ、同行はまだ復調の途上であり、インドネシア商業銀行全体に比べてROAと純金利マージンの上昇余地が大きい。他方、不良債権比率は業界水準を大きく下回る。これは、国営企業や大企業など信用力の高い企業に低金利で融資をしており、優良貸出残高を伸ばすことで不良債権費用を発生させないで利益を確保する戦略をとっているためだ。今後も同行が加速度的に利益を拡大することで、グループの成長ドライバーになると期待される。

インドネシアの債権回収業務では、PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIA及び韓国のサービサーであるTA資産管理(株)子会社のPT TURNAROUND ASSET INDONESIAで買取債権増加による収益機会の拡大及び回収金の最大化を計画している。同社グループによると、インドネシアにおいて回収対象となる不良債権規模は現状2,884兆ルピア(約26兆円)程度と推計される。コロナ禍で不良債権がさらに増加する見込みで、ビジネスチャンスが拡大する見通しである。今後、債権買取回収及び債権回収受託のプレイヤーが増加し債権価格が上昇すると見込まれているが、回収力や資金調達力で実績のある同社グループでは先行者利益が得られると見ている。なお、マルチファイナンス会社PT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCEについては、2023年6月に株式譲渡契約を締結し、インドネシア金融庁の承認得られ次第、譲渡予定である。

カンボジアについては、当面は預金獲得競争の激しさが継続する見込みである。2019年12月期より同社グループに加わったJトラストロイヤル銀行は資産内容の良い優良銀行であるものの、市中預金金利が上昇しているうえ、競合銀行も増加している。今後は、新たな収益機会を獲得するための新規顧客の開拓、融資成長を支えるためのボンド発行やマイクロSME(中小・中堅企業)層との取引など、新たな資金(預金)調達や個人向け流動性預金の獲得を図る。

以上のように、同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保・拡大する一方で、成長可能性が大きい東南アジア金融事業の利益拡大を実現するとともに、新設した不動産事業の貢献により、持続的な成長を目指す。加えて、今後も企業価値を高めるために、Jトラストグローバル証券やミライノベートと同様に、既存の成功事業をさらに成長させることができる事業、既存事業とのシナジーを期待できる事業、金融機関と取り組める事業などへ投資する方針と見られ、同社グループの成長戦略に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《AS》

 提供:フィスコ

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