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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9788 ナック

東証P
580円
前日比
-8
-1.36%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.8 1.13 3.79 4.02
時価総額 270億円
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ナック Research Memo(2):フランチャイズ企業としてスタート。環境衛生など多角化展開を進める


■ナック<9788>の事業概要

1. 会社概要
創業は1971年、東京都町田市においてダスキンのフランチャイズ企業としてスタートした。1984年にはダスキンのフランチャイズ企業として日本一の売上高を達成し、現在もトップクラスの企業として知られる。その後、環境衛生、建築コンサルティングと多角化展開し、1995年に株式店頭公開を果たした。1997年には東京証券取引所(以下、東証)市場第2部に上場し、1999年に市場第1部に指定替えとなった。2022年4月に東証が実施した市場再編においてプライム市場へ移行し、現在に至っている。

現在のセグメントは、クリクラ事業、レンタル事業、建築コンサルティング事業、住宅事業、美容・健康事業の5つで構成されている。クリクラ事業はウォーターサーバーを扱っており、業界の雄として知られている。レンタル事業のダスキン事業でも、ダスキンのフランチャイジーとしては有数の企業となっている。建築コンサルティング事業は地場工務店に特化したニッチな需要を捉えており、多様なサービスメニューを取り揃えることで独自の地位を築いてきた。

事業展開としては、クリクラ事業、レンタル事業など安定した収益基盤を構築し、その収益を建築コンサルティング事業、住宅事業、美容・健康事業など、成長エンジンとなる分野に投資している。コロナ禍は、同社に対しても大きな影響を与えたが、ワクチン職域接種会場の運営や厚生労働省が実施する水際対策の支援事業など新たなビジネスに乗り出すなど、ピンチをチャンスに変えた部分もあった。なお、既存事業を補強する形でM&Aも積極的に行っている。


ストックビジネスとして安定的な収益を計上。オフィスなど法人向けが回復傾向
2. クリクラ事業
(1) 「クリクラ」
クリクラ事業は、ウォーターサーバー事業を直営と加盟店で展開している。「クリクラ」とは、同社における宅配水サービスのブランドである。同社は2002年に宅配水事業に進出後、2004年に自社ブランド「クリスタルクララ」を全国展開し、2009年にブランド名を現在のものに変更した。

「クリクラ」の水は、生産から配達・メンテナンスまですべてを自社で管理している。製造には、宇宙開発の現場などでも利用されている最先端テクノロジーの逆浸透膜(RO膜)システムを使用し、原水に含まれる不純物や雑味を取り除いた、安心安全な水を提供している。ウォーターサーバーは産院でも使用され、赤ちゃんのミルクや離乳食など、乳幼児がいる子育て世帯にとって有用なサービスである。同社はSNS上においても、子育てをしている世帯向けに「安心・安全なお水」を訴求している。

サーバーレンタル料と配送料は無料である。そのうえ環境にもやさしいリターナブルボトルを使用しているため、余計なゴミが出ないことも特長となっている。

水の配送については、自社配達を行っている。水の輸送は重量があるため、外部に委託した場合は多額のコストがかかるが、自社で完結することによってリーズナブルに製品を提供できる。ウォーターサーバーを設置し、水の配達を繰り返すことで売上が発生するために、安定的かつコンスタントに収益を挙げることができるのが、このビジネスの強みである。新サーバー・新サービスの開発にも取り組んでおり、定額制の浄水型ウォーターサーバー「feel free(フィールフリー)」や炭酸水が飲めるマルチサーバー「クリクラShuwa」、電気代を最大55%削減できる「クリクラ省エネサーバー」など、今後はこれらの貢献による成長が期待される。クリクラ事業は、ストックビジネスとして安定的な収益を毎期計上しており、今後も安定した収益源として全体の収益に貢献する。

収益を変動させる要素・リスク要因としては、気候変動が挙げられる。水分補給が最も必要な季節は夏だが、その年が冷夏、あるいは1年を通して高温期が短いと「クリクラ」の消費量が減る可能性がある。一定の気温を超すと販売が増加すると見られるが、気象庁「清涼飲料分野における気候情報を活用した気候リスク管理技術に関する調査報告書」(2018年度)によると、自動販売機におけるミネラルウォーターの販売数について、20℃前後がミネラルウォーターの消費量の境目になると言う。気温と正の相関関係があるだけに、年間の気温について注視する必要がありそうだ。ただ、最近では温暖化によって真夏の猛暑日が全国的に増える傾向にあり、熱中症対策として水分補給が奨励され、夏場の水の消費量は上がるものと思われる。厳しい猛暑の日が多くなれば、「クリクラ」ビジネスに追い風となるだろう。

「クリクラ」ビジネスの最前線となる加盟店については、稼働ベースで販売加盟店が400社超、プラント(製造)加盟店が30社弱となっている。プラント加盟店は、自ら製造工場を持ち、クリクラボトルの製造を行うことができる。「クリクラ」は水道を原水としているため、全国どこでも製造できるのが特徴である。天然水とは異なり地産地消が可能で、輸送に余分なコストがかからない。顧客の割合は、販売本数ベースで家庭向けが7割、法人向けが3割である。ただコロナ禍によって、一時は落ち込む傾向にあったオフィスなど法人向けが回復してきたようだ。

クリクラ事業では宅配水のほか、タブレットやコーヒーなどの副商材も展開している。繁忙期は5~7月となるが、気温が重要な要素になるため夏場の天候によって売上が左右されやすい。

(2) 「ZiACO」
クリクラ事業では、2020年3月期より次亜塩素酸水溶液「ZiACO(ジアコ)」を販売している。「ZiACO」は「クリクラ」から派生した商品で、「クリクラ」の原水(RO膜処理水)を原料として、クリクラの製造工場で作られた低濃度で弱酸性~中性の安心・安全な次亜塩素酸水溶液である。クリクラのボトルやサーバーの洗浄工程で培った独自ノウハウから派生した製品で、“除菌”と“消臭”の2つの効果を発揮するノンアルコールの除菌水である。コロナ禍で引き合いがあり、顧客数が増加したが、コロナ禍が落ち着くとともに、顧客単価が下がっている。

ひと頃に比べると顧客の使用量が落ち着いてきたとはいえ、ウイルス対策以外にも消臭など用途が広いことから、顧客は引き続き増加傾向にあると言う。

収益構造は顧客に商品を供給し安定的に利益を上げる、「クリクラ」と同様の構造である。クリクラ事業では、生活に必要不可欠な「水」に少しずつ付加価値を加えて顧客を増やしていくことがポイントになる。「ZiACO」のような応用製品が出れば、収益カーブが鋭角的になる可能性もある。今後も期待できる分野と言えそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

《SO》

 提供:フィスコ

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