ミアヘルサHD Research Memo(1):介護事業の収益改善により2024年3月期は2ケタ営業増益見通し
■要約
ミアヘルサホールディングス<7129>は、医薬(調剤薬局)、介護、保育の主力3事業を首都圏で展開している持株会社で2021年10月に設立された。子会社のミアヘルサ(株)が2020年3月に東京証券取引所JASDAQ市場に株式上場後、持株会社体制へ移行したのを機にミアヘルサに変わって株式上場し、現在はスタンダード市場に上場している。株式上場で得た資金を活用してM&Aも実行し、業容の拡大を図っている。2023年3月末時点における調剤薬局店舗数は42店舗、介護事業所数・施設数は67事業所、保育園・学童クラブ等の運営施設数は74ヶ所(運営受託含む)となっている。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比14.0%増の22,249百万円、営業利益で同2.5%増の191百万円と増収増益となった。2021年10月にグループ会社化したライフサポート(株)の売上高が通年で寄与したことで2ケタ増収となったが、利益面では介護事業の損益が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けて大きく悪化したほか、医薬事業も薬価改定や調剤報酬改定の影響で減益(全国平均薬価改定率が6.69%減であったところを加算獲得等に注力し同社では5.0%減に留めている)となったが、保育事業の増益で吸収した。保育事業ではライフサポートにおいて不採算となっていた認証保育園の閉園や間接コストの削減を実施したことが増益要因となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、新設保育園に係る補助金収入など特別利益が減少したほか、ライフサポートにおけるグループ会社化以前の時間外手当の支払い等の特別損失が膨らんだことで、同28.1%減の209百万円となった。
2. 2024年3月期業績見通し
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比1.1%減の22,000百万円、営業利益で同46.5%増の280百万円となる見通しである。医薬事業は薬価改定の影響で減収、微減益となる見込み。保育事業も不採算園の閉園や一部の学童クラブの業務受託終了(2023年3月末)により減収となるほか、2023年4月に開設した保育園の運営コスト発生並びに学童クラブの業務受託収入減により減益を見込んでいる。一方、介護事業はサービス付き高齢者向け住宅の入居率向上や、ホスピス事業の拡大により増益を見込み、医薬事業と保育事業の減益をカバーする。ホスピスについては2023年8月に3番目の拠点として「ミアヘルサ メディケアオアシス流山運河」を開設する予定で、看護師の確保もできており順調な立ち上がりが見込まれる。
3. 中期経営計画との差異要因と今後の成長戦略
2024年3月期は、2022年3月期からスタートした3ヶ年中期経営計画の最終年度となる。業績目標値については、2022年6月に修正発表した数値(売上高24,352百万円、営業利益628百万円)に対して引き下げており、事業セグメント別でも主力3事業をすべて下方修正した。この要因として、医薬事業では新規開設した門前薬局の処方元である大型病院の患者数が当初想定の5割程度の水準にとどまっていることや、新規出店数が計画を下回っていることなどが挙げられる。また、介護事業ではコロナ禍の影響が長引きサービス付き高齢者向け住宅の営業ができないことから入居率が低下し、デイサービス利用の自粛、不採算部門の閉鎖が続いたことが主因となっている。保育事業については売上高がおおむね目標値に近い水準となりそうだが、ここ数年で保育園の整備や企業の育児休業制度が拡充されたこともあり、新設保育園の収益化までの期間が長期化する傾向となっていることが利益の下振れ要因となっている。全体的にはコロナ禍によるマイナス影響の長期化が、足かせ要因になったと弊社では見ている。今後の成長に向けた基本戦略は従来と変わらず、医薬・介護・保育事業の機能連携を強みに、0歳から終末期の方までが住み慣れた地域で安心して住み続けることができる街づくり(地域包括ケア)の開発を首都圏で推進する方針だ。医薬事業では地域のかかりつけ薬局としての機能強化や医療モール内薬局の展開を進め、介護事業については今後の需要増が見込まれるホスピス事業を育成する。保育事業では新規保育園の開設が難しくなるなかで、既存の公立保育園の民間委託や民営化受託、ライフサポートにおける公設業務委託学童クラブの取り組みを強化する。
■Key Points
・医薬(調剤薬局)事業からスタートし、介護事業、保育事業と社会的ニーズの高い事業を展開
・2023年3月期はM&A効果で過去最高売上を更新、営業利益も増益を確保する
・2024年3月期の営業利益は介護事業の収益改善により2ケタ増益となる見通し
・医薬・介護・保育の機能連携による「地域包括ケア」の展開を進め、持続的成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《AS》
提供:フィスコ