貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6501 日立製作所

東証P
3,805円
前日比
-16
-0.42%
PTS
3,800.9円
12:39 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
29.1 3.17 6.20
時価総額 176,421億円
比較される銘柄
三菱電, 
パナHD, 
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IXナレッジ Research Memo(1):2023年3月期通期業績は過去最高の売上・各利益を達成


■要約

アイエックス・ナレッジ<9753>(IKI)※は、独立系の中堅システムインテグレーターである。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までのシステムのライフサイクルに対応する一貫したサービスを提供する。日立製作所<6501>やNTTデータグループ<9613>などの大手システムインテグレーターやみずほリサーチ&テクノロジーズ(株)などのユーザー系システム会社、KDDI<9433>などのエンドユーザーなどが主要取引先であり業績は安定している。なお、顧客企業上位10社で売上高の約7割を占める。クラウド基盤構築、アジャイル開発、RPA、ブロックチェーンなど先進のIT技術にも積極的に取り組んでいる。

※同社の略称はIKI(IX Knowledge Inc.)で、企業コンセプトのInformation & Knowledge Innovationともリンクしている。


1. 業績動向
2023年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比9.0%増の20,206百万円、営業利益が同26.9%増の1,459百万円、経常利益が同24.4%増の1,533百万円、当期純利益が同21.0%増の1,027百万円と堅調な増収とともに20%を超える増益となった。なお、連結決算への移行のため、前期(2022年3月期)は単体の数値、2023年3月期は連結(シーアンドエーコンピューターの貸借対照表のみ連結、持分法適用会社であるHISホールディングスの投資損益を含む)の数値で比較している。売上高については、システム開発において金融機関や資産運用事業者、総合物流企業などの案件が拡大し増収に貢献した。また、運用サービスにおいては、大手ベンダー経由のシステム運用・保守案件や基盤・環境構築案件が拡大した。エンドユーザー業種別では、主力3業種(産業・サービス、金融・証券、情報・通信)がバランス良く伸長した。内部組織では、事業部間の横の連携が円滑になり、事業機会をタイムリーに捉えることを可能にした。事業環境は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で加速したデジタル化(DX化)による企業のビジネス変革の動きが継続しており、それを支えるIT需要は堅調に推移した。営業利益については、期初の想定を超えて同26.9%と大幅な成長となった。増収による影響に加え、技術者育成(クラウドやRPA、アジャイル等の専門領域の知識を有する人材)による単価の上昇や適正な原価管理により売上高原価率が低下し、売上総利益額が増加した。販管費に関しては、働き方改革(リモートワークの推進による通勤費や出張費の削減)や社内デジタル化への継続的な取り組みにより、販管費の伸びを抑制した。これらの結果、過去最高の営業利益、経常利益、当期純利益となった。

2024年3月期の業績については、売上高で前期比6.8%増の21,570百万円、営業利益で同7.0%増の1,561百万円、経常利益で同6.0%増の1,626百万円、当期純利益で同6.5%増の1,094百万円と増収増益を見込んでいる。受注環境については、コロナ禍で加速したデジタル化(DX化)による企業のビジネス変革の動きは今後も継続し、それを支えるIT投資は堅調に推移すると見込まれる。営業面では、既存案件の拡大とともに、DX・クラウド化案件の受注拡大を目指す。人員の補強がカギとなるが、新卒採用に加えて、中途採用及びパートナーとの連携も強化されており、機会を逃さない体制が整う。育成に関しては、PM育成や新技術習得(AWS(アマゾンウェブサ―ビス)、Azureの認定資格取得など含む)を継続して強化する。前期から売上高の増加額(予想)は1,364百万円、増加率は6.8%であり、M&Aによる土木建設業界向けシステム開発への進出などを加味すれば、やや保守的な予想と言えるだろう。売上高総利益は同11.2%増と堅調に増加する見込みだ。販管費は同13.6%増と増加幅が大きい予想だ。進行期は、人財の処遇の改善を目的に、ベースアップや賞与の上昇などを過去最大規模で行うため人件費の上昇が見込まれる。弊社では、同社の顧客ポートフォリオが多様であり既存顧客からの安定的な受注が見込めること、クラウド化のニーズが顕在化しDX化の動きが活発となっていること、M&Aによる土木建設システム分野への進出、人財投資の充実等から、今期の増収及び増益予想は十分達成可能であると見ている。

2. 成長戦略
同社は、2023年2月に(株)シーアンドエーコンピューター(本社:東京都江東区)の全株式を取得し子会社化した。シーアンドエーコンピューターは、土木建設業界に精通したノウハウを持ち、業界特有の「原価管理」や「CAD」、「配線管理」といった専門的なシステム開発を行い、戸田建設(株)をはじめとするゼネコンや土木コンサルタント会社、コンクリート部材会社などの顧客に提供している。直近の売上高で701百万円(2022年3月期)、営業利益で29百万円(同)と過去から堅実な経営を続ける優良な企業である。

土木建設業界では、労働者の高齢化や慢性的な人材不足といった課題を抱えていることから、ICTやAIなどの先端技術を活用したデジタル化の推進によって、課題解決を図ろうとする動きが加速している。これまで同社(IKI)では、業界の特殊性もあるため土木建設業界でのシステム開発は参入してこなかった。今回、シーアンドエーコンピューターのノウハウと、同社が幅広い分野で培ってきたシステム開発に関わる知識や技術力を融合することで、より付加価値の高いサービスの提供に寄与すると判断した。また、両社の顧客基盤への相互の営業活動においても相乗効果が期待できるだろう。

3. 株主還元
同社では株主還元について、経済環境の変動が激しいことから、安定配当を第一とし、業績や将来の見通し、配当性向、配当利回り等を総合的に勘案し配当を決定する方針である。過去に遡ると、減益となった期もあったものの、1株当たりの配当金は維持または増配を行ってきた。2023年3月期は、期初予想では普通配当20円(前期と同額)、配当性向23.7%としていたが、好調な業績に伴い、普通配当25円(前期比5円増配)、特別配当5円、配当性向27.4%と大幅な増配となった。2024年3月期は、普通配当30円(前期比5円増配)、配当性向25.7%を予想する。

■Key Points
・2023年3月期通期業績は過去最高の売上・各利益を達成。クラウド技術者育成による単価上昇や販管費抑制などにより大幅増益
・2024年3月期は売上高・各利益ともに安定成長を予想。DX・クラウドの進展など受注環境が良好。人財投資を積極化
・土木建設業界に特化してシステム開発を行うシーアンドエーコンピューターを子会社化
・安定配当優先。2023年3月期は大幅増配。普通配当を5円増配し配当金30円(うち5円は特別配当)、配当性向27.4%を実施

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《YI》

 提供:フィスコ

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