ランドコンピュ Research Memo(6):パッケージベースSI・サービスが売上高の3分の1を占める
■ランドコンピュータ<3924>の業績動向
2. サービスライン別動向
サービスライン別の売上高は、システムインテグレーション・サービスが前期比13.0%増の6,345百万円、インフラソリューション・サービスが同3.2%増の1,354百万円、パッケージベースSI・サービスが同45.3%増の3,879百万円であった。3つのサービスラインがいずれも成長したが、とりわけ積極的にM&Aを行っているパッケージベースSI・サービスの成長が著しく、売上高構成比が33.5%と3分の1を占めるまでに拡大した。
(1) システムインテグレーション・サービス
システムインテグレーション・サービスの業種別売上高は、構成比が最も高い金融分野が前期比4.0%増の2,725百万円であった。うち、銀行は大規模開発プロジェクトの収束の影響があり同2.8%の小幅増加になった。保険・証券が同19.7%減少した。クレジットカードは、統合案件があり、同13.5%増加した。産業・流通向けは同23.9%増の2,668百万円と好調だった。前期から続く産業・流通分野における通信業向けシステム開発案件、エネルギー分野向け受託開発案件、流通分野向け基幹システム構築案件等の売上が増加した。公共分野は、前期に受注した大型プロジェクト案件が寄与し同53.0%増となった。医療向けは、コロナ禍の影響もあり同4.7%減少した。
(2) インフラソリューション・サービス
クラウド開発案件の受注が増加したことに加え、半導体不足の影響が徐々に緩和されてきており、基盤構築・導入案件の受注が増加した。
(3) パッケージベースSI・サービス
パッケージベースSI・サービスの売上高構成比は前期の27.8%から33.5%へ上昇し、売上高の3分の1を占めるまでに成長した。全社的な取り組みを推進するSalesforce関連ビジネスの売上高は1,822百万円、前期比27.1%増加した。SAPの売上高は同38.0%増の667百万円となった。前期はインフリーの連結化が寄与したが、2年目はグループシナジーを発揮して高成長を維持した。SuperStreamを含む会計パッケージは、2022年4月に子会社化したテクニゲートの売上が加わったことにより、同183.8%増の837百万円となった。
会計パッケージのSuperStreamでは、一昨年の「SuperStream Partner Award 2021」における「Certified Consultant Award」の受賞に続き、2022年度は「Cloud Business Award」を受賞した。前回は、SuperStream-NX技術者認定試験において最も実績を上げたパートナーとして表彰された。今回は、クラウドファーストの流れが一層進む中、多くの業種や規模でのクラウド案件の開拓、及びライセンス売上実績が評価された。なお、昨年は子会社のテクニゲートも「Sales Award」を受賞した。
3. 財務状況と経営指標とキャッシュ・フロー計算書
(1) 連結貸借対照表と経営指標
2023年3月期末の資産合計は、前期末比1,002百万円増加し7,502百万円となった。流動資産は同316百万円増の6,139百万円、固定資産は同686百万円増の1,362百万円であった。現金及び預金が156百万円増加し、売掛金及び契約資産が221百万円増えた。テクニゲートの子会社化に伴い無形固定資産ののれんが230百万円増加し345百万円となった。同社は無借金経営であり、流動比率は304.9%、自己資本比率は64.7%と財務の安全性は極めて高い。潤沢な手元流動性があるため、機動的なM&Aが可能だ。総合的経営指標のROE(自己資本当期純利益率)は16.7%、ROA(総資産経常利益率)が17.7%といずれも高水準にある。
(2) 連結キャッシュ・フロー計算書
2023年3月期末の現金及び現金同等物の期末残高は、前期末比50百万円増の2,934百万円であった。営業活動によるキャッシュ・フロー(CF)の入金が981百万円と前期の793百万円から増加した。主要な項目は、税金等調整前当期純利益(+1,238百万円)、減価償却費(+112百万円)であった。一方、売上債券の増加額による出金が141百万円あった。投資活動によるCFの出金は-644百万円であった。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が、前期の161百万円から790百万円に増えた。営業活動によるCFの入金が、投資活動によるCFの出金を上回ったこともあり、財務活動によるCFは、-286百万円の出金であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
《YI》
提供:フィスコ