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2931 ユーグレナ

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空の脱炭素化へ待ったなし、再生航空燃料「SAF」関連株はテイクオフ本番 <株探トップ特集>


―政府は石油元売りに供給を義務づける方針、関連企業のビジネス機会拡大へ―

 2050年のカーボンニュートラル 実現に向け、航空分野でも脱炭素化の機運が高まっている。昨年9月27日~10月7日に開催された国際民間航空機関(ICAO)の総会では、国際線が排出する二酸化炭素(CO2)を50年までに実質ゼロとする目標が採択されており、再生航空燃料(SAF)への注目度が高まっている。経済産業省は5月の官民協議会で、30年に石油元売り が国際線に供給する燃料の1割をSAFにすると義務づける案を示していることから関連銘柄に改めて注目してみたい。

●大手航空会社は利用に積極的

 こうしたなか、SAFを積極的に利用しようとする動きが相次いでおり、日本航空 <9201> [東証P]は6月に英シェル<SHEL>の航空燃料部門であるシェル・アビエーションと、25年から米ロサンゼルス国際空港でSAFを調達する契約を締結したことを明らかにした。このSAFは、通常のジェット燃料と比較して75%以上のCO2排出量を削減することが可能だといい、同社のグリーントランスフォーメーション(GX)戦略の目標の一つである「25年度に全燃料搭載量の1%をSAFに置き換え」を達成する見込みだという。

 また、ANAホールディングス <9202> [東証P]は5月に30年度までの中期環境目標を更新し、同年度までに国内・国際の合計の実質CO2排出量を19年度比で10%以上減らすとした。SAFの活用を中核とする4つの戦略的アプローチ(運航上の改善・航空機などの技術革新、SAFの活用など航空燃料の低炭素化、排出権取引制度の活用、ネガティブエミッション技術の活用)を組み合わせ、50年カーボンニュートラルの実現につなげたい考えだ。

 日本郵船 <9101> [東証P]子会社の郵船ロジスティクスはこのほど、豊田通商 <8015> [東証P]とSAFを利用した航空貨物輸送サービス「Yusen Book-and-Claim」の利用契約を締結した。このサービスは、顧客が同社とSAF利用契約を結ぶことで、同社が保有するSAF割当量を使用することができるもの。顧客にはCO2排出削減量証明書の提供も可能で、このスキームの構築は日系フォワーダーとして国内初の試みだとしている。

●市場の発展を支える企業群

 SAF市場を形成・発展させていくためには、必要十分な製造能力や原料のサプライチェーン(供給網)を確保し、国際競争力のある価格で安定的に供給できる体制を構築するとともに、需要側においてSAFを安定的に調達する環境を整備することが重要となる。

 そこで、注目したいのが三井E&S <7003> [東証P]だ。同社はこのほど、日揮ホールディングス <1963> [東証P]やコスモエネルギーホールディングス <5021> [東証P]傘下のコスモ石油などが取り組んでいる国内初となる廃食用油を原料とした国産SAFの大規模生産実証設備向けに、圧縮機2台を受注した。この圧縮機はSAF製造設備の主要機器として使用される予定で、今後はSAF製造プラントや水素ステーション、グリーン水素製造プラント向けなどへの圧縮機供給に注力する構えだ。

 大阪油化工業 <4124> [東証S]は精密蒸留に関する総合的なサービスを展開しており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のバイオジェット燃料生産プロジェクトで、同燃料の精製工程の一部で同社の精密蒸留精製が活用された実績がある。このプロジェクトは30年ごろまでに商用化が見込まれるSAFの製造プロセスを確立することが目的で、事業期間は17~24年度となっている。

 ユーグレナ <2931> [東証P]は国産SAF「サステオ」を製造・販売している。これは、原料に使用済みの食用油と微細藻類ユーグレナから抽出されたユーグレナ油脂などを使用して製造する純バイオジェット燃料。3月には調布飛行場で「サステオ」を使用した定期旅客便が運航されたほか、6月には航空自衛隊岐阜基地に所属の戦闘機F-2、F-15の2機体に使用されたことを明らかにした。

 東洋エンジニアリング <6330> [東証P]は、日揮HDの国内EPC(設計、機材調達、建設工事)事業会社である日揮と、国内のSAF製造プラントの基本設計及びEPCプロジェクト受注・遂行に関するアライアンス契約を締結している。両社は今回のアライアンスを通じて、SAF製造プラントの設計・建設に関し、営業活動及び案件遂行を共同で推進することで顧客の投資計画を実現するという。

 このほかでは、藤森工業 <7917> [東証P]も要マークだ。同社はちとせグループ(川崎市高津区)が推進している石油産業に代わる藻類基点の新産業を構築するプロジェクト「MATSURI」に参画している。ちとせグループがマレーシアに建設した世界最大規模の藻類生産設備では、隣接する火力発電所から出る排ガス中のCO2を活用してSAFなどの製造に向けた長期大規模藻類生産の実証試験を行っており、今後の動向から目が離せない。

●木村化、GEIなどにも注目

 これ以外の関連銘柄としては、日揮HDなどと廃食用油の提供で基本合意しているFOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]、国産SAFの商用化及び普及・拡大に取り組む「ACT FOR SKY」に加盟しているGreen Earth Institute <9212> [東証G]、定款にSAFをはじめとする新燃料の開発・製造・販売事業を追加したレノバ <9519> [東証P]など。

 直近では木村化工機 <6378> [東証S]がSAFの原料用バイオエタノールを蒸留する際のCO2排出をゼロにする「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」の販売を開始すると発表。この装置はボイラー蒸気が不要で、電力のみで蒸留を行い、ヒートポンプが装置から排出される低温レベルの熱を回収し、有効エネルギーとして再利用。独自のシステムにより高レベルの省エネを実現するとしている。

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