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3622 ネットイヤーグループ

東証G
544円
前日比
-1
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.6 1.40 1.10
時価総額 38.1億円

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ネットイヤー Research Memo(7):人材投資による経営基盤の強化に軸足を置きながら増収増益を目指す


■今後の見通し

1. 2024年3月期の業績見通し
ネットイヤーグループ<3622>の2024年3月期の業績は、売上高で前期比4.6%増の4,100百万円、営業利益で同6.7%増の300百万円、経常利益で同6.6%増の299百万円、当期純利益で同4.4%増の209百万円と増収増益となる見通し。同社の事業領域となるCXを起点としたデジタルマーケティング施策の導入や改善に取り組む企業からの引き合いは依然活発な状況が続いているもようで、喫緊の課題は人的リソースの強化が挙げられる。このため、2024年3月期は人材投資による経営基盤の強化に軸足を置きながらも、堅実な収益成長を目指す計画となっている。

売上高については、引き続きNTTデータとの協業案件の増加が見込まれるほか、既存主要顧客の案件を継続していくことで1ケタ台の増収は可能と見られる。前期に伸長したスターバックスコーヒージャパンやモスフードサービスなどで前期並みの売上水準が見込まれており、人的リソースに余裕があればさらなる売上の拡大も期待できる状況となっている。

人材戦略としては、2023年春に8名の新卒社員が入社したほか、2022年3月より人材派遣会社(株)LULLと共同で始動した「若手をIT・デジタル人材にリスキリングするプロジェクト」により、IT業界未経験者の人材をエンジニアとして育成し、社員化する取り組みを進めていく。同スキームでは、まずLULLのIT人材育成カリキュラムを採用し、Web講師とキャリアアドバイザーがスキルとキャリアの両側面をサポートし、あわせて同社からは豊富なナレッジにより設計されたUXに関するカリキュラムを提供している。2022年3月期はLULLを通じて同社の約10件の開発プロジェクトに約20名が参画しており、2023年3月期には5~6名を社員として採用するなど実績が出始めている。キャリア採用はコストも高いことから、今後もこうした未経験者の育成に取り組み、社員として採用を進めていくことにしており、新卒採用と合わせて年率10%程度のペースで人員増強を図っていく方針だ。また、プロジェクトを管理・指揮するプロジェクトマネージャーも不足しており、強化ポイントとなっている。人員の増強が進めば受注能力も拡大し、売上の成長につながっていくだけでなく、内製化率が高まることで収益性の向上も期待される。このため当面は人件費や採用・育成費の増加が続く見込みだが、持続的な成長を実現していくための経営基盤を構築する先行投資と位置付けている。

また、人員増強を進めるためには、離職率の低減も合わせて取り組む必要がある。2023年3月期の離職率は前期並みの12%程度と業界平均並みの水準となったが、これを1ケタ台まで抑えられれば理想的と言える。離職率の低減施策については、人事制度の見直しや多様な働き方が可能となる各種制度や福利厚生の充実などに加えて、コミュニケーションの活性化等によってエンゲージメントを高めていくことが必要と思われる。新規事業である社会インパクト事業の育成は、社員とのエンゲージメントのための取り組みの一環である。

そのほか、同社では競争力をより一段と向上していくため、リアルとデジタルを融合した顧客起点でのUXデザインや実装力の強化に取り組んでおり、全社員にUXの知見を浸透させるためUXデザイン推進タスクフォースを2021年に立ち上げている。UXに関する基礎知識の習得だけでなく、ワークショップで実際にUXデザインも行う6ヶ月間のカリキュラムを受講することで、営業やエンジニアを含めてUXデザイン思考を全社員に根付かせ、「日本一のUXデザイン企業」を目指していく。その一環としてデザイン人材※の育成を目的として、(特非)人間中心設計推進機構(HCD-Net)が実施する「人間中心設計スペシャリスト・専門家」資格の取得支援制度を2023年3月期より開始し、7名が資格を取得している。

※広義には、あるべき未来を構想し、事業課題を創造的に解決できる人材のこと。デザインとビジネス、テクノロジーのスキルが結合した人材。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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