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1717 明豊ファシリ

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明豊ファシリ Research Memo(5):2023年3月期はCM事業の好調により2ケタ増収、過去最高益を更新


■業績動向

1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の業績は、売上高で前期比11.8%増の4,761百万円、売上総利益で同11.0%増の2,533百万円、営業利益で同10.8%増の958百万円、経常利益で同11.0%増の960百万円、当期純利益で同7.4%増の651百万円となった。売上高は2期連続増収となり、売上総利益、営業利益、経常利益は2期ぶり、当期純利益は3期ぶりに過去最高を更新し、いずれも期初会社計画を上回る好決算となった。コロナ禍からの経済活動再開によって企業や官公庁の建設プロジェクトが動き始めたほか、建設資材価格の高騰や脱炭素化などプロジェクトの難度が高まるなかで、明豊ファシリティワークス<1717>の高品質なCMサービスに対する期待が高まったことで、受注粗利益についても過去最高を更新した。

売上総利益率は前期の53.6%から53.2%と若干低下したが、これは主にDX支援事業における外注費の増加が要因となっている。また、販管費は人件費の増加を主因として前期比11.2%の増加となり、この結果、営業利益率は前期の20.3%から20.1%に低下した。

分野別受注粗利益の構成比を見ると、オフィスが前期の18%から17%、CREMが16%から14%、鉄道・学校他が32%から25%に低下した一方で、工場・研究所が12%から19%、公共が19%から20%、DX支援が2%から4%にそれぞれ上昇した。特に、工場・研究所の比率が大きく上昇したが、その要因としては大きく2点挙げられる。1つ目は、コロナ禍で様子見していた企業の建設プロジェクトが経済活動再開によって動き始めたこと、2つ目が建設資材の上昇や脱炭素化(CO2排出量削減)といった難度の高いプロジェクトに関して、同社のCMサービスを活用する新規顧客が増えたことによる。特に、最近の新工場・研究所の建設プロジェクトでは脱炭素化の取り組みが必ず盛り込まれており、豊富な実績を持つ同社への相談依頼が増加した。

公共分野についてもコロナ禍以降、予算がコロナ関連に集中するなかで建設プロジェクトの予算執行が後回しになる傾向にあったが、2023年3月期に入って庁舎建替えプロジェクト等の同社が得意とするプロジェクトが動き始めたものと見られる。同社が会社HP上で開示した受注案件だけで見ても21件(うち、庁舎関連プロジェクト5件)と前期の14件(同1件)から1.5倍に増加した。なお、公共分野に関しては基本的にプロポーザル方式の案件のみ入札しており、2023年3月期もその大半を落札できたものと見られる。一方、鉄道・学校他の比率が大きく低下したが、継続案件であるJR東日本の品川開発プロジェクト※の受注が落ち着いたほか、国立大学からの受注についても建設資材上昇によるスライド条項適用の影響もあって減少した。また、CREMについては特定顧客向けのプロジェクトが一巡したことが影響した。

※JR高輪ゲートウェイ駅西側に合計4棟の高層ビルと1棟の文化施設を建設し、新たな街区を開発するプロジェクト(2025年開業予定)で、2020年より着工を開始、予定事業費は約5,800億円と現在進行中の建設プロジェクトで最大規模となり、同社にとっても過去最大級のプロジェクトとなる。


2023年3月期に受注した案件で注目されるのは、外務省のオフィス改革に関するコンサルティング業務が挙げられる。官公庁においても「働き方改革」をテーマにしたオフィスの再構築が進められており、同社は2020年1月に経済産業省のオフィス改革コンサルティング業務を一般公募入札で落札して以来、4年連続で受注し、大臣や事務次官からも高い評価を受けている。今回、外務省でも同様の業務を受注したことで、今後はさらなる広がりが期待される。また、内閣官房内閣人事局からも一般公募入札を経て2022年3月期に受注し、2023年3月期も継続受注している。いずれも現行のオフィス環境について調査・分析を行い、新たなオフィスの在り方についてのコンセプトを提案していくことになる。このため、経済産業省からの受注と同様に、2024年3月期以降も一般公募入札において同社の実績が評価され、継続受注となる可能性が高いと弊社では見ている。

官公庁は民間企業よりもDXが遅れていると言われており、2021年9月に新設されたデジタル庁を司令塔として、行政のDXを推進する方針を打ち出している。このため、今後は他の省庁でも働き方改革を踏まえたオフィス再構築の動きが進むものと見られる。全省庁に影響力のある内閣官房内閣人事局での業務が評価されれば、同社が受注を拡大する可能性も高まるものと弊社では見ている。また、将来的に省庁の大規模移転などがあった場合にも、難度の高い大規模オフィスの竣工時同時入居プロジェクトを多く手掛けてきた同社にとっては、受注獲得の好機となる。

そのほか、SDGsに対する関心が高まるなかで、2021年夏より開始した脱炭素化支援コンストラクション・マネジメントサービスの引き合いも活発化している。2022年5月には千葉市から「新庁舎の脱炭素化に資する電力調達方法に係る調査及び提案業務」を受注したが、今後も新たな建設プロジェクトでは脱炭素化支援が必須要件となるなか、ZEB※1などで豊富な実績※2とノウハウを持ち合わせた専門人材※3を多く抱える同社の活躍余地は大きい。

※1 ZEB(Net Zero Energy Building)の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を指す。
※2 同社は国内初となるZEBを実現した宗教法人生長の家の「“森の中のオフィス”プロジェクト」に基本構想段階からCM事業者として参画した(業務契約期間2010年5月~2014年3月、東京本社の本部の一部を移転・併用開始)。同プロジェクトについては内容が高く評価され、(一社)日本コンストラクション・マネジメント協会が主催する「CM選奨2017」を受賞している。
※3 建物の環境への影響を評価するCASBEE建築評価員が49名、LEED-APが3名在籍している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

 提供:フィスコ

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