巴川紙 Research Memo(6):財務状況は2023年3月期末も改善、ただし引き続き体質強化が必要
■業績動向
3. 財務状況
巴川製紙所<3878>は、事業転換を図るなかで事業の統廃合やこれに伴うリストラ費用の発生や構造改革の進展や子会社化による収益基盤強化などもあり、設備投資を抑制しつつキャッシュ・フローのプラスを維持した。
2023年3月期末には自己資本比率が32.7%と、前期末比1.8ポイント向上し3期連続で向上している。ただし、同社ができるだけ早期の実施をしたいとしている優先株式の残り部分の償還1,000百万円にも備えるために財務体質の強化がさらに必要であるとしている。さらに新製品を生み出して持続・成長を続けてきた同社にとっての生命線である開発投資を継続的に実施し、また今後検討課題となるであるインオーガニックな成長戦略を実行していくためにも、利益のさらなる積み増しと同社グループとの補完により、今後いかに資産効率を上げるか、また収益性の高い事業比率を上げるかが財務改善のポイントとなろう。
キャッシュ・フローについては2007年3月期に集中的に10,926百万円(2007年3月期総額は12,515百万円)の大型設備投資を行って以降は、基本的に設備投資を抑制しており、投資活動によるキャッシュ・フローのマイナスは少ない。2023年3月期は有形固定資産の取得による支出が885百万円あったものの、一方で構造改革に伴う有形固定資産の売却による収入、投資有価証券の売却による収入などもあり、結果として54百万円の支出に留まっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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提供:フィスコ