明日の株式相場に向けて=低PBRのEV関連が株高ロードへ
きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比330円安の3万3422円と反落。前日は先物主導で大跳躍、560円強の上昇でバブル崩壊後の最高値を更新した日経平均だったが、この日は歯車が逆回転するように先物を絡めた売りが噴出し反落となった。以前から言われ続けてきた、ETF分配金捻出を目的とした先物への売り圧力が顕在化したようだが、果たしてどの程度下げに影響したのかは定かではない。もっとも日経平均で330円あまりの下落は率にして1%にも満たず、大幅安の部類には入らない。銀行セクターが買われたこともあり、TOPIXの下げは14.4ポイント安にとどまっている。
これまで物色の中心軸にいた 半導体や人工知能(AI)関連株は売り買い交錯。例えば半導体主力銘柄はレーザーテック<6920>が売りに押された一方、アドバンテスト<6857>やソシオネクスト<6526>は高く引けるなど、やや足並みに乱れが生じている。銀行セクターは三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>に続き、きょうは三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>いずれも年初来高値更新と強さを発揮し、地銀株もこれに追随する動きで値上がり率上位に顔を出す銘柄が多かった。金融株に対して他業種同様に「低PBR」のモノサシは使えないものの、銀行セクターの堅調ぶりがバリュー株物色の源流となっている。
テーマ買いの流れでは久しぶりに電気自動車(EV)関連に注目してみたい。ここ 自動車部品株が買われているが、これは低PBR株の宝庫ということだけではない。各社時流に乗り遅れたら大変とばかりに、自動車メーカーの電動化戦略に対応した経営改革を進めていることが注目ポイントだ。脱炭素への取り組みの一環として世界的にEVに傾斜し過ぎたきらいはあるが、最近は目標とするガソリン車撤廃の時期を後ろ倒しにするなど、アクセルをやや緩めて現実的路線に軌道修正している。しかし、クラッシュしない程度にスピードを減速させても、EVシフトの動きとそれを後押しする政策の方向性自体に変化はない。そうしたなか、米国株市場ではテスラ<TSLA>の株価復権が著しい。前日の米国株市場では短縮取引のなかでも同社株はスタートダッシュを決め、マドを開けて値を飛ばし年初来高値を更新した。同社の4~6月期の世界販売台数が前年同期比8割を超える伸びで46万6000台あまりに達したことが明らかとなり、好感されたものだ。これは米政府の補助金支援による影響が大きかったとはいえ、結構なインパクトを持つ数字である。東京市場でもテスラの足もとの業績はともかく、株価動向にはアンテナが常に張られた状態にある。
まず、自動車部品セクターでは年初来高値を更新したばかりのTBK<7277>。ブレーキ関係を得意とする自動車部品メーカーだが、直近人気化したミクニ<7247>とはEVトラック分野で共同開発契約を結んでいることが注目材料。24年3月期は営業黒字化見通しで10円復配を計画。来期は利益回復も加速する見通しにある。PBRは0.4倍台で今後の株主還元強化も期待されるところ。
また、三協立山<5932>の背中を追う形で、大同メタル工業<7245>は中期視点に立って株価の居どころを大きく変える可能性あり。軸受けメタルの専業メーカーでグローバルニッチトップ銘柄の一角。自動車生産の回復と価格改定効果で来期収益は様変わりが見込める。また、同社が手掛けるEV用アルミダイカストは受注好調を極めており、今後の収益計上に向けて楽しみが多い。更にPBRは0.3倍台と水準訂正余地が際立っている。
機械株ではエンシュウ<6218>が持ち前の瞬発力を発揮しそうなタイミングにある。工作機械の老舗メーカーだが、自動車業界向けで実績が高い。特にEV関連に重心を置いており、自動車メーカーのEV量産に照準を合わせた開発・販売戦略を推進している。今期営業利益は前期比13.3倍の10億5000万円を見込んでいる。このほかでは、EV用充電器の東光高岳<6617>やEV向け電池材料大手の田中化学研究所<4080>などもマーク。
あすのスケジュールでは、7月の日銀当座預金増減要因見込みなど。また、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にブリーチ<9162>が新規上場する。海外では6月の財新・中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、5月の米製造業受注、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(6月13~14日開催分)など。また、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が討議に参加する予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS
これまで物色の中心軸にいた 半導体や人工知能(AI)関連株は売り買い交錯。例えば半導体主力銘柄はレーザーテック<6920>が売りに押された一方、アドバンテスト<6857>やソシオネクスト<6526>は高く引けるなど、やや足並みに乱れが生じている。銀行セクターは三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>に続き、きょうは三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>いずれも年初来高値更新と強さを発揮し、地銀株もこれに追随する動きで値上がり率上位に顔を出す銘柄が多かった。金融株に対して他業種同様に「低PBR」のモノサシは使えないものの、銀行セクターの堅調ぶりがバリュー株物色の源流となっている。
テーマ買いの流れでは久しぶりに電気自動車(EV)関連に注目してみたい。ここ 自動車部品株が買われているが、これは低PBR株の宝庫ということだけではない。各社時流に乗り遅れたら大変とばかりに、自動車メーカーの電動化戦略に対応した経営改革を進めていることが注目ポイントだ。脱炭素への取り組みの一環として世界的にEVに傾斜し過ぎたきらいはあるが、最近は目標とするガソリン車撤廃の時期を後ろ倒しにするなど、アクセルをやや緩めて現実的路線に軌道修正している。しかし、クラッシュしない程度にスピードを減速させても、EVシフトの動きとそれを後押しする政策の方向性自体に変化はない。そうしたなか、米国株市場ではテスラ<TSLA>の株価復権が著しい。前日の米国株市場では短縮取引のなかでも同社株はスタートダッシュを決め、マドを開けて値を飛ばし年初来高値を更新した。同社の4~6月期の世界販売台数が前年同期比8割を超える伸びで46万6000台あまりに達したことが明らかとなり、好感されたものだ。これは米政府の補助金支援による影響が大きかったとはいえ、結構なインパクトを持つ数字である。東京市場でもテスラの足もとの業績はともかく、株価動向にはアンテナが常に張られた状態にある。
まず、自動車部品セクターでは年初来高値を更新したばかりのTBK<7277>。ブレーキ関係を得意とする自動車部品メーカーだが、直近人気化したミクニ<7247>とはEVトラック分野で共同開発契約を結んでいることが注目材料。24年3月期は営業黒字化見通しで10円復配を計画。来期は利益回復も加速する見通しにある。PBRは0.4倍台で今後の株主還元強化も期待されるところ。
また、三協立山<5932>の背中を追う形で、大同メタル工業<7245>は中期視点に立って株価の居どころを大きく変える可能性あり。軸受けメタルの専業メーカーでグローバルニッチトップ銘柄の一角。自動車生産の回復と価格改定効果で来期収益は様変わりが見込める。また、同社が手掛けるEV用アルミダイカストは受注好調を極めており、今後の収益計上に向けて楽しみが多い。更にPBRは0.3倍台と水準訂正余地が際立っている。
機械株ではエンシュウ<6218>が持ち前の瞬発力を発揮しそうなタイミングにある。工作機械の老舗メーカーだが、自動車業界向けで実績が高い。特にEV関連に重心を置いており、自動車メーカーのEV量産に照準を合わせた開発・販売戦略を推進している。今期営業利益は前期比13.3倍の10億5000万円を見込んでいる。このほかでは、EV用充電器の東光高岳<6617>やEV向け電池材料大手の田中化学研究所<4080>などもマーク。
あすのスケジュールでは、7月の日銀当座預金増減要因見込みなど。また、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にブリーチ<9162>が新規上場する。海外では6月の財新・中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、5月の米製造業受注、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(6月13~14日開催分)など。また、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が討議に参加する予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS