Pウォーター Research Memo(4):2023年3月期は、過去最高売上・利益を更新
■業績動向
1. 2023年3月期通期の業績動向
プレミアムウォーターホールディングス<2588>の2023年3月期の売上収益は76,463百万円(前期比11.7%増)、営業利益7,346百万円(同20.5%増)、税引前利益6,416百万円(同17.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益6,057百万円(同71.0%増)となり、売上収益・各利益ともに順調に成長し、過去最高の実績となった。
売上収益は、新規契約獲得が堅調に推移し保有顧客数が積み上がったことで、2ケタ増収となった。2023年3月末の保有顧客数は154万件と、前期末から11万件の純増となった。市場成長とともにシェアの向上を継続した要因としては、他社の多くが値上げをするなか、同社においては価格を据え置いたことも挙げられる。新規獲得に加えて、継続率も適正に管理できており、過去7年以上にわたり保有顧客が安定して増え続けていることが安定成長の基盤となっている。既存顧客の継続率向上に関しては、顧客からの問い合わせサービスの対応強化など様々な施策を進めている。新規顧客獲得チャネルでは、同社の強みであるデモンストレーション販売において、大規模な家電量販店やショッピングモール等での活動にコロナ禍による一時的な制約があったが、直近では活発に行えているようだ。第2のチャネルであるテレマーケティングでは、パートナー企業との連携も増え顧客獲得が順調に進んだ。同社の売上高は1顧客当たり売上額にも影響を受ける。現在はコロナ禍の巣ごもり需要が一段落したものの、1顧客当たり売上額は微増傾向となっている。
売上総利益は、原材料や資源の価格の高騰の影響はあるものの、各工場設備の稼働率の向上等による製造原価の低減により前期比11.3%増加した。販管費は、物流費の安定化につながる物流網の構築等による各種費用の低減を行い、同10.2%増と相対的に上昇を抑えた。売上高販管費率では、75.0%(前期は76.0%)と1.0ポイント低下した。結果として、営業利益及び営業利益率(9.6%)は、2016年7月企業統合以降の過去最高を更新した。
中期的な目標である自己資本比率20%超えを達成。ROEでは業界他社を引き離し30%超え
2. 財務状況
2023年3月末の資産合計は前期末比13,788百万円増の86,872百万円となった。そのうち流動資産は8,211百万円増であり、現金及び現金同等物の5,415百万円増やその他の流動資産の2,124百万円増が主な要因となった。非流動資産は5,576百万円増の46,310百万円となり、有形固定資産3,493百万円増やその他の金融資産の828百万円増が主な要因となった。新規顧客獲得が順調に進捗していることが財務状況にも表れている。
負債合計は前期末比8,445百万円増の67,232百万円となった。これは、主に新規獲得顧客へ貸与するウォーターサーバーの調達に伴い有利子負債が増加(合計で7,342百万円増)したことが主な要因である。資本合計は5,342百万円増の19,640百万円となった。主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に伴う利益剰余金4,977百万円増である。
経営指標では、流動比率が146.9%と一定の短期的な安全性を維持する。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は22.6%と前期末の19.5%からさらに改善した。現在は利益が拡大するフェーズに入っており、内部留保が蓄積し続けていることから、中期的な目標であった親会社所有者帰属持分比率20%超えを達成し、今後は成長と財務の安全性の両立を図りつつ30%を目指したい考えだ。
同社のROEは35.7%(2023年3月期)となっており、宅配水業界やミネラルウォーター業界と比較すると非常に高い。直近の通期決算において、宅配水他社やミネラルウォーター企業(いずれも飲料大手)のROEは10%前後からそれ以下である。資本が充実するタイミングであったことでROEが高く出ている面もあるが、経営効率や収益性は着実に高まっており、今後も高い水準が期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《SI》
提供:フィスコ