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5133 テリロジHD

東証S
284円
前日比
+15
+5.58%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.5 1.86 1.76
時価総額 48.6億円
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テリロジーHD Research Memo(6):企業理念を実践するための事業バリューチェーンを構築(2)


■テリロジーホールディングス<5133>の特色・強み

3. 「目利き力」を示す事例
同社グループの「目利き力」とは、「時代の流れを的確に捉え、事業領域を絞り込んだうえで、海外新興企業の最新技術を発掘し、代理店契約等に結び付ける力」であり、海外新興企業の最新技術を発掘してきた実績には事欠かない。

同社グループの「目利き力」を示す事例として、ブロードバンド領域における米国のWellfleetと米国のInfoblox(BLOX)、セキュリティ分野における米国のTippingPoint(2010年に米国ヒューレット・パッカード(HPQ)が買収、2015年にトレンドマイクロ<4704>が買収)、ベルギーのOneSpan(OSPN、旧Vasco Data Security))、米国のLastline(2020年に米国のVmwara(VMW)が買収)などを紹介する。

テリロジーの企業向けIPネットワーク事業は、1990年に米国のWellfleetと代理店契約を締結し、IPネットワーク構築における主力製品の1つであるルータ(2つ以上の異なるネットワーク間を中継する通信機器)の提供を開始したことに始まる。Wellfleetは今でこそ存在しないものの1984年創業で、世界最大のコンピュータネットワーク機器会社である米国のCisco Systems(CSCO)に対抗するため、業界2番手のカナダのNortelが1998年に買収に踏み切った企業であり、1990年時点でWellfleetを見出したことは同社グループの「目利き力」を示す好例である。

ブロードバンド領域では、1999年にADSL接続ソフトウェアの提供を開始し、その後1,000万超のユーザーに展開するヒット製品に育ち、大手通信会社向けビジネスの橋頭堡となった。また、1999年には米国Redback Networksとの代理店契約も締結し、ブロードバンドアクセスサーバーなどの導入を通じて電力各社のFTTH網構築にも貢献した。またモバイル関連としては、2003年に日本初の代理店契約を締結した米国Infoblox製のDNS/DHCPアプライアンス(必要に応じてIPアドレスを発行する機器)や、ネットワークをモニタリングするテリロジーグループ開発ソリューションがスマートフォン普及に伴って主要プロダクトに成長した。米国Infoblox製のDNS/DHCPアプライアンスは、現在では国内の多くのIT企業が取り扱うデファクトスタンダード(事実上の標準)の地位を占めている。いち早く米国のInfobloxを発掘した同社グループを評価できる好例だろう。

セキュリティ分野への取り組みは、2004年に当時独立系であった米国のTippingPointと日本国内総販売代理店契約を締結したことを皮切りに、2007年にベルギーのOneSpan(旧Vasco Data Security)、2012年に米国のLastline、2015年に米国RedSeal、2016年に米国Tempered NetworksとイスラエルKELA、2018年に米国Nozomi Networksと販売代理店契約(米国Tempered Networksとは国内独占販売契約)を締結し、幅広いソリューションの提供を実現している。米国のTippingPointはIPS(不正侵入防止システム)を得意とする企業で、2015年にトレンドマイクロが買収したが、テリロジーはその11年前の2004年にTippingPointと日本国内総販売代理店契約を結び、実績を積み上げてきたことから、現在もトレンドマイクロから頼りにされる存在であり続けている。またベルギーのOneSpanについては、2007年にテリロジーが日本で初めてOneSpanのワンタイムパスワード技術の取り扱いを開始し、日本のメガバンクに揃って採用されるなど、インターネットバンキングに不可欠な技術となっている。さらに米国のLastlineの標的攻撃対策クラウドサービスも、近年の標的型メール攻撃の増加を見越した同社グループが持つ「先見の明」を示す好例である。

こうした事例は、同社グループが事業領域を的確に絞り込むことで注目すべき技術トレンド・最先端技術を明確に捉え、「先見の明」を持って「目利き力」を発揮してきたことを端的に示すものだろう。

4. 事業パートナーから評価される「市場対応力」
同社グループが海外の新興企業から評価される理由としては、顧客のニーズや満足度を重視する企業理念に裏打ちされた経営戦略を実践することで、創業以来磨き上げてきた「市場対応力」がある。テリロジーは、商材開発(輸入技術と独自技術の組み合わせ)から、保守(テリロジーによる問題の振り分けと業務委託によるメンテナンス作業)や、販売(直販と代理店網の活用)に至るバリューチェーン全体でパートナーリング戦略を積極活用し、有力な顧客に評価され、優れた顧客基盤(大手企業を中心に300社以上、うち約9割が直接取引)を構築してきた。このように、輸入技術と独自技術を組み合わせて顧客満足度が高いソリューションへと発展させる力、アライアンス・M&A戦略も駆使してミッシングパーツを充足させる力を「市場対応力」の源泉としている。

2020年3月にテリロジーは、ネットワーク仮想環境やサイバーセキュリティソリューションの領域でグローバルリーダーの一角を占めるイスラエルのRadware(RDWR)とディストリビューター契約を締結した。日本ラドウェア(株)が発表したプレスリリースには「テリロジーは数多くの海外の最先端技術を日本市場に提供し、日本市場を創造した実績があります。日本市場に実績がない技術、製品においても安定した稼働と運用を実現し、長年にわたり日本のお客様企業から厚い信頼を得ています。Radwareは、テリロジーグループが提供する高いソリューション提案力及びサポート力と、Radwareが業界のリーダーと評価される技術力とのシナジー効果が期待され、日本のお客様企業に主力製品である「クラウドWAFサービス」「Botマネージャー」「クラウドワークロードプロテクション」を含む統合的なソリューションを提供できると判断し、今回のディストリビューター契約締結を行うこととしました。」と記されている。同社グループの「目利き力と市場対応力」が海外のテクノロジー企業から高く評価されていることを示す事例と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《YI》

 提供:フィスコ

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