鈴木英之氏【日経平均は調整局面入り? 7月の相場動向を読む】(2) <相場観特集>
―前週後半から荒れモード、不安定な地合いから立ち直れるか―
週明け26日の東京株式市場は朝方こそ売りが先行したものの、押し目買い需要も旺盛だった。日経平均株価は寄り後早々に400円近く下落する場面があったが、その後急速に下げ渋る展開となりプラス圏に浮上する局面もあった。足もとでは世界的な株価調整局面にあり、東京市場も不安定な値動きを強いられているが、ここから立ち直ることができるのか、それとも下値模索の局面に移行するのか。第一線で活躍する市場関係者2人に7月相場の展望を聞いた。
●「いったん調整後、高値試す展開も、循環物色が続く」
鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)
相場の上昇基調が続いている。この背景には米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の日本株に対する強気姿勢や東証の「PBR1倍割れ是正」要請などさまざまな要因があったとみられる。そのなかでも半導体などを中心に世界でサプライチェーンの再構築が進むなか、日本株を見直す動きが強まったことが大きいと思う。これらの要因が海外投資家の買いを呼んだとみられる。
足もとでの急激な上昇により、日経平均株価の次なる節は1989年12月につけた歴史的な最高値3万8915円となる。株価はこの近辺までPERが上昇する形で駆け上がることもできなくはない。しかし、やはり四半期決算を踏まえ、来期に向けての業績基調などを確かめたうえで、上昇していくことが無理がない形になるだろう。
今月末にかけ年金のリバランス売りが予想されるほか、7月の上中旬にはETFの分配金捻出に絡んだ売りも見込まれており上値の重い展開も予想される。当面は過熱感を冷やすタイミングだろう。
こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは3万2000~3万4000円前後を見込んでいる。いったん調整後に高値を試す展開となりそうだ。
個別銘柄では、循環物色の展開が続くだろう。テーマ的には人工知能(AI)関連株、東京エレクトロン <8035> [東証P]などの半導体関連株、JR東日本 <9020> [東証P]などの旅行関連株、それに全固体電池などに絡む電池関連株などに注目している。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
株探ニュース