BS11 Research Memo(1):2023年8月期第2四半期はスポット収入減も、営業利益は堅調に推移
■要約
日本BS放送<9414>は、無料のBSデジタルハイビジョン放送「BS11(ビーエス・イレブン)」を運営する独立系のBS放送局である。キー局系列に属さない独立系であることに加えて、無料放送という2つの特徴を持つ。独立系ならではの強みを生かした全国のテレビ局及び制作会社との自由なコンテンツ制作・展開が可能となっている。
1. 2023年8月期第2四半期の業績概要
2023年8月期第2四半期連結業績は売上高が6,041百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益1,109百万円(同17.7%減)、経常利益1,109百万円(同17.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益755百万円(同16.7%減)となった。タイム収入は前年同期比微増となったが、スポット収入は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)において需要を伸ばしていた通販スポットが一服して減少した。その他は、コンテンツ販売や配信ビジネス等の強化により、収益が拡大した。利益面では開局15周年特別番組、配信オリジナルコンテンツなどの制作費用、ドラマコンテンツなどの購入費用、スタジオ設備の更新に伴う費用などが増加し、各利益とも前年同期比で減少した。
2. 2023年8月期の業績見通し
2023年8月期の連結業績は、売上高12,500百万円(前期比2.0%増)、営業利益1,810百万円(同24.4%減)、経常利益1,810百万円(同24.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,255百万円(同21.5%減)と、期首計画を据え置いた。2023年8月期は、配信ビジネスやイベントの実施といった非放送分野やマルチ展開可能なコンテンツの企画・制作への投資を強化し、放送設備機器の更新投資などを行うため、増収減益を予想している。第2四半期は、計画比で売上高は1.7%未達となったが、営業利益・経常利益はともに13.4%超となっており、通期での利益は堅調に推移しているため、期初予想を据え置いたのは保守的であると弊社は考えている。保守的な予想としたのは、下期に強化したコンテンツを投入するためのコスト増であろう。しかし、これらのコンテンツがセールス強化につながり、また配信などマルチユースによる非放送分野での収益の積み上げに貢献することが予想される。
3. ファンのニーズを幅広く捉えたコンテンツのマルチユースの取り組みを評価
同社は見逃し配信「BS11オンデマンド」を、人気番組のアーカイブやオリジナルコンテンツ、ライブ配信などを視聴できる会員登録制視聴サイト「BS11+(プラス)」へ2022年7月にリニューアルし、一部コンテンツの有料配信もできるプラットフォームを整えた。「BS11」公式YouTubeチャンネルでの広告付き見逃し配信や、Paravi、FOD、U-NEXT等での定額見放題配信も開始した。さらに、番組関連グッズなどが購入できる「BS11」公式通販サイト「BS11SHOP」を開設した。また、2023年3月より「BS11+」の「すべて月額見放題プラン」(税込880円)と「ジャンルごと見放題プラン」(税込550円)の2つの課金プランを「見放題プラン」に統一し、価格も税込880円から税込550円に引き下げて統一した。これにより、会員は無料トライアル期間からスムーズに会員に移行するケースが徐々に増えているようだ。こうした取り組みがBS11のファン増加につながることが期待される。
■Key Points
・2023年8月期第2四半期はスポット収入減も、通期計画に対する営業利益は堅調に推移
・開局15周年特別番組やレギュラー番組のスペシャル拡大版、配信オリジナルコンテンツの制作などとそのマルチユースにより、重点施策である「コンテンツの強化」「コンテンツの有効活用による価値最大化」「非放送分野の拡大」を加速する構え
・コンテンツ販売や配信ビジネス等を強化
・株主還元は、業績に応じた配当による直接的な利益還元に集約し前期比6円増配予定
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《SI》
提供:フィスコ