貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

8275 フォーバル

東証S
1,443円
前日比
-1
-0.07%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.0 2.29 2.08 0.19
時価総額 400億円
比較される銘柄
エフティ, 
アルファG, 
兼松

銘柄ニュース

戻る
 

フォーバル Research Memo(7):産官学の連携で地方のGDX化を推進するF‐Japan戦略が順調に進行中


■成長戦略・トピック

1. 新戦略として“F-Japan戦略”を推進中、地方を対象に産官学の連携で支援
フォーバル<8275>は、2023年3月期に新戦略として”F-Japan戦略”を掲げ取り組みを開始した。これまで行ってきた中小企業に対するアイコンサービスを発展させ、DX及びGXの支援を融合・進化させ、“GDX”を支援領域とした。この戦略は、政府が推進する「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太方針2021)」における日本の未来を拓く4つの原動力(グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策)に沿った内容であるが、中小企業においては、取り組む必要性の認識が不足していたり、情報・人材・資金力・時間なども不足しているといった課題がある。そこで、長年、中小企業の経営改善に取り組んできた同社では、新たに2031年を見据えたテーマとして「中小企業のGDX化の伴走型アドバイザーとして確固たる地位を確立」することを宣言し、全国的に、地域の自治体や関係企業、団体、個人を巻き込みながら推進することを決定した。同社の主な施策としては、1) GDXアドバイザーの創造、2) 新たな貸出ビジネスの創造、3) 「きづなPARK」の質的・量的拡充、4) 中小企業のスコアリング開始の4点である。これまでの同社のアイコンサービスは、首都圏や大都市圏が中心だったがF-Japan戦略では地方が主戦場となり、民間と民間の関係が主体だったが産官学連携が基本となる点など、大きな戦略転換と言えるだろう。

2. GDX人材の育成
同社では、これまで“中小・小規模企業向けのDXアドバイザーの第一人者”として、アイコンサービスをはじめIT人材教育など多面的な活動を行ってきた。しかし、アイコンサービスの契約先は4万社強であり、全国300万社以上の中小・小規模企業のDX化には、より大きな組織が必要となる。また現状、IT人材だけでも全国で数十万人不足していると言われており、同社とOEM企業だけでは、マンパワー不足である。本構想では、産官学の協力により全国で向こう3年間に1万人のGDXアドバイザーを選定・育成する目論見である。この目標数値は、IT人材が不足する約1,000の自治体ごとに10人のGDXアドバイザーを育成することに相当する。GDXアドバイザーはジュニアクラスからマスタークラスまでの育成が必要となる。DX人材の裾野を広げる取り組みとしては、同社も支援する「DXアドバイザー検定((一社)中小企業個人情報セキュリティ推進協会)」がある。「ITリテラシー」「DXリテラシー」「ビジネスアナリシス」「情報マネジメント(個人情報保護など)」の4領域を網羅した初の検定であり、DX推進に必要な知識を身に着けることができる。既に3,000人規模の合格者を輩出しており、デジタル庁が推進する「デジタル推進委員」制度とも連携予定である。また、複数の大学と連携が既に始まっており、学校法人電子学園、札幌大谷大学社会学部地域社会学科、皇學館大学現代日本社会学部とそれぞれ連携協定を締結し、学生に向けてのDX/GDXの理解促進、DXに関するプログラム(インターンシップを含む)の策定、DXアドバイザー資格の講習実施、などが既に開始されている。このほか10以上の大学・学校と連携を検討中であり今後も若い人材のDX教育は加速しそうである。また、DXを学んだ学生と受け入れる中小企業の橋渡し(就業支援)も将来的に行いたい考えだ。

3. 自治体へのデジタル専門人材の派遣が拡大
GDXアドバイザーによる活動はDX人材の不足する地方から実践が始まり、実績が積み重なってきた。2022年10月以降のプレスリリース事例だけでも、岩手県花巻市、長野県飯山市、富山県滑川市、北海道網走市、群馬県沼田市、札幌市、函館市など多数の自治体との協業実績が挙げられる。同社の役割としては、生産性向上を目指したDXの研修、DX化専門家によるオーダーメイド型の伴走支援、DXやAI・IoT等の先端技術の体験の場の運営、相談業務や相談内容に応じたIT企業とのマッチング、メディア等を用いたDX普及・啓発活動(Webサイト・SNSの運用)など支援業務の幅も拡がっている。なかでも注目されるのがデジタル専門人材の派遣である。マスタークラスの精鋭人材を同社から派遣するスキームであり、自治体のDX推進計画の立案から実施、効果測定までの管理を深く、幅広く実施することが可能となる。より密接に伴走できるGDXアドバイザーとして、さらなる活躍が期待できる。

4. M&Aによる地方拠点の展開
同社では、GDX化人材の補強の一環として、地方のGDX推進役としてのポテンシャルを持つ企業のグループ化も進める。本構想ではその地域のGDX人材がその地域の企業のGDX化を担うことを基本とする。同社では、同社の拠点のない地方の、GDX人材を保有または育成できる企業を優先してグループ化したいと考えている。2022年4月に子会社化した(株)アベヤス(本社:岩手県)、2022年12月に子会社化した(株)奈良事務機(本社:奈良県)、2023年5月に子会社化した(株)三知(本社:山口県)などはいずれも同社の拠点がない地域である。地域で長年営業してきたこれらの企業は、地域のDX人材を保有していることに加え、自治体や地域企業を含めた顧客基盤を持っており、産官学連携で進めるGDX支援の地域における中核となる役割が期待できる。今後も同社の拠点の手薄な地方は多いため、M&A展開は継続する見込みである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均