クオールHD Research Memo(5):2023年3月期は営業利益を除いて連続で過去最高を更新
■業績の動向
1. 2023年3月期の業績概要
クオールホールディングス<3034>の2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.3%増の170,036百万円、営業利益で同3.7%減の9,495百万円、経常利益で同0.04%増の10,098百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.0%増の5,656百万円となり、営業利益を除いて過去最高を2期連続で更新した。会社計画比では売上高、各利益とも未達となったが、この要因としては新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で保険薬局事業におけるM&A案件の成約が遅れたことなどにより処方箋応需枚数が想定を下回ったこと、また薬剤師の感染者が増加し、補充のためのコストが4億円程度嵩んだこと、エネルギー価格の高騰で光熱費が増加したことなどが挙げられる。
事業セグメント別の業績を見ると、保険薬局事業は売上高で前期比1.5%増の155,446百万円、営業利益で同3.1%減の11,499百万円となった。売上高は薬価改定や調剤報酬改定の影響による処方箋単価の下落を店舗数の増加や既存店舗における処方箋応需枚数の増加で吸収したほか、売店及びEC販売等による調剤報酬以外の売上が伸びたことが増収要因となった。利益面では、薬価改定及び調剤報酬改定に伴う技術料単価の低下や、人件費や光熱費など店舗運営コストの増加が減益要因となった。
一方、医療関連事業は売上高で前期比11.3%増の14,993百万円、営業利益で同29.0%増の1,534百万円と2期ぶりに増収増益に転じた。専門性の高いCMRの需要が拡大するなかでCSO事業の増収増益が続いたほか、薬剤師派遣の需要回復等により医療系人材紹介派遣事業も増収増益に転じた。また、医薬品製造販売事業についても薬価改定の影響や原材料コストの上昇で上期は減収減益となっていたが、2022年12月に発売開始した新型コロナウイルス感染症向けの抗原検査キットの貢献により通期では増収増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《AS》
提供:フィスコ