明日の株式相場に向けて=生成AI相場の近未来図
きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比186円高の3万3575円と続伸。前日の欧州株市場はほぼ全面安、3連休明けとなった米国株市場でも一時はNYダウが400ドル安に迫ろうかという下げをみせるなど、リスクオフ一色で東京市場にバトンが渡される格好に。したがって、日経平均も今日は下値を試す展開を余儀なくされ3万3000円大台を巡る攻防となることも予想された。しかし大方のイメージ通りだったのは寄り付きだけで、朝方安く始まった後はスルスルと上値を指向、ほどなくしてプラス圏に転じた。後場取引時間中には270円ほど高い場面もあり、今週予定されるパウエルFRB議長の議会証言など海の向こうの話とばかりに、躊躇することなく買いが流入した。
極めて強い相場というよりない。我々の日常に革命的なインパクトでエントリーしてきた 生成AIだが、これを起点に株式市場ではAI関連株そしてAI用半導体関連などに物色の炎が燃え広がり、仮にバブルとしてもこの炎が鎮火されるまでには相当な時間を要する、そういう状況となってきた。生成AIはその実態が見えているようで実はおぼろげにしか見えていない。その点でITバブルの初動でクローズアップされたインターネットの存在と類似している。近未来図がまだ見えない、正体不明の今が旬ともいえる。実際、強烈な吸引力で有無を言わさず投資マネーを引きずり込んでいる。
半導体周辺銘柄は十把ひとからげに同じセクターとして括ることはできない。株価に明らかに跛行色が見られる。人気の中心軸にあるのは、「スマートフォン向けなど情報端末に組み込まれる半導体ではなく、(生成AI特需によって)増設ラッシュにあるデータセンター向けの半導体」(ネット証券アナリスト)という。今のAI革命はクラウド革命でもあり、そのインフラ基盤を担うデータセンターが半導体を呑み込んでいくという構図。スマホの高性能化には限界があるが、クラウドから処理されたデータを受け取る箱と考えれば、これから先のAI全盛時代にそれほどのハイスペックは必要としないという考え方もある。
東京市場で言えば米アップル<AAPL>のトップサプライヤーである村田製作所<6981>の株価が変調で、直近に来てあたかも資金が逃避しているような動きがみられる。これは「何がしかの銘柄とセットでロング・ショート戦略が影響しているケースも考えられる」(同)という。つまり、スマートフォン向けで一世を風靡した同社株にとって今の風向きは逆風。データセンター向けで有卦に入っている銘柄と株価のカイ離が広がっていく過程を目敏(めざと)く捉えたトレードが行われている可能性を指摘している。半導体周辺は一様に買いというわけではなく、選別眼が求められる状況にある。
きょうの東京市場では、午前中に株主総会が行われたソフトバンクグループ<9984>が面目躍如、レーザーテック<6920>を凌いで久々に売買代金トップの座を占めた。株価も新値圏を走っており、生成AI関連の雄として存在感をアピールした。このほか、ソシオネクスト<6526>、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>は半導体“勝ち組御三家”として今後も目が離せない。米株市場でエヌビディア<NVDA>株人気を代弁するGPUの成長性が生成AIの市場拡大と見事に合致しており、「(この3社はエヌビディアと)同じステージで商機を獲得しているという認識が海外機関投資家に浸透している」(同)という。
このほか、AI関連の中小型株では、チャットGPTなどの生成AI活用支援ビジネスに本腰を入れ始めた都築電気<8157>。システムの受託開発を手掛け、メタバースや生成AI分野の開発に力を入れるテックファームホールディングス<3625>。九州大と協働で量子AIを用いた大規模言語モデル構築に向けた研究をスタートさせたBlueMeme<4069>などをマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、5月の食品スーパー売上高、5月の全国スーパー売上高、6月の月例経済報告など。また、午前中に5年物国債の入札も予定される。IPOが2社予定されており、アイデミー<5577>とリアルゲイト<5532>がいずれも東証グロース市場に新規上場する。海外ではフィリピン中銀、インドネシア中銀、トルコ中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を発表するほか、英中銀も金融政策委員会の結果と議事録を開示する。米国では週間の新規失業保険申請件数、5月の中古住宅販売件数、5月の景気先行指数などが発表される。また、パウエルFRB議長が米上院で議会証言を行う予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS
極めて強い相場というよりない。我々の日常に革命的なインパクトでエントリーしてきた 生成AIだが、これを起点に株式市場ではAI関連株そしてAI用半導体関連などに物色の炎が燃え広がり、仮にバブルとしてもこの炎が鎮火されるまでには相当な時間を要する、そういう状況となってきた。生成AIはその実態が見えているようで実はおぼろげにしか見えていない。その点でITバブルの初動でクローズアップされたインターネットの存在と類似している。近未来図がまだ見えない、正体不明の今が旬ともいえる。実際、強烈な吸引力で有無を言わさず投資マネーを引きずり込んでいる。
半導体周辺銘柄は十把ひとからげに同じセクターとして括ることはできない。株価に明らかに跛行色が見られる。人気の中心軸にあるのは、「スマートフォン向けなど情報端末に組み込まれる半導体ではなく、(生成AI特需によって)増設ラッシュにあるデータセンター向けの半導体」(ネット証券アナリスト)という。今のAI革命はクラウド革命でもあり、そのインフラ基盤を担うデータセンターが半導体を呑み込んでいくという構図。スマホの高性能化には限界があるが、クラウドから処理されたデータを受け取る箱と考えれば、これから先のAI全盛時代にそれほどのハイスペックは必要としないという考え方もある。
東京市場で言えば米アップル<AAPL>のトップサプライヤーである村田製作所<6981>の株価が変調で、直近に来てあたかも資金が逃避しているような動きがみられる。これは「何がしかの銘柄とセットでロング・ショート戦略が影響しているケースも考えられる」(同)という。つまり、スマートフォン向けで一世を風靡した同社株にとって今の風向きは逆風。データセンター向けで有卦に入っている銘柄と株価のカイ離が広がっていく過程を目敏(めざと)く捉えたトレードが行われている可能性を指摘している。半導体周辺は一様に買いというわけではなく、選別眼が求められる状況にある。
きょうの東京市場では、午前中に株主総会が行われたソフトバンクグループ<9984>が面目躍如、レーザーテック<6920>を凌いで久々に売買代金トップの座を占めた。株価も新値圏を走っており、生成AI関連の雄として存在感をアピールした。このほか、ソシオネクスト<6526>、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>は半導体“勝ち組御三家”として今後も目が離せない。米株市場でエヌビディア<NVDA>株人気を代弁するGPUの成長性が生成AIの市場拡大と見事に合致しており、「(この3社はエヌビディアと)同じステージで商機を獲得しているという認識が海外機関投資家に浸透している」(同)という。
このほか、AI関連の中小型株では、チャットGPTなどの生成AI活用支援ビジネスに本腰を入れ始めた都築電気<8157>。システムの受託開発を手掛け、メタバースや生成AI分野の開発に力を入れるテックファームホールディングス<3625>。九州大と協働で量子AIを用いた大規模言語モデル構築に向けた研究をスタートさせたBlueMeme<4069>などをマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、5月の食品スーパー売上高、5月の全国スーパー売上高、6月の月例経済報告など。また、午前中に5年物国債の入札も予定される。IPOが2社予定されており、アイデミー<5577>とリアルゲイト<5532>がいずれも東証グロース市場に新規上場する。海外ではフィリピン中銀、インドネシア中銀、トルコ中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を発表するほか、英中銀も金融政策委員会の結果と議事録を開示する。米国では週間の新規失業保険申請件数、5月の中古住宅販売件数、5月の景気先行指数などが発表される。また、パウエルFRB議長が米上院で議会証言を行う予定。(銀)
出所:MINKABU PRESS