アップガレG Research Memo(8):既存事業の拡大、新規事業の育成を進めながら、収益性の向上も目指す
■中長期の成長戦略
中長期の成長戦略としてアップガレージグループ<7134>は、リユース業態と流通卸売業態をさらに拡大させながら、DXのさらなる推進や経営効率の向上によって収益性を高めていくことを計画している。加えて、将来の新たな収益基盤の確立に向けて、新規事業の育成・拡大にも注力する方針だ。
(1) リユース業態
継続的な店舗数の拡大とECを通じたリユース品の販売により売上と利益を積み上げていく。出店戦略に関しては、毎年直営店舗3~5店舗、FC店舗7~10店舗のペースで新規出店を継続しながら、2030年頃をめどにメインブランドであるアップガレージの店舗数を300店舗まで拡大する方針だ。同社の店舗ブランドは比較的小規模での出店が可能であることから居抜き物件などを見つけやすく、小規模店舗ということから初期投資が抑えられるため比較的早く黒字化できることなどを考慮すると、今後も直営、FCの店舗はスムーズに増加していくと弊社は見ている。また、店舗数を拡大させながら、DXのさらなる推進による生産性の向上、利益率の高いサービス商品の販売強化、中古品の買取・販売強化などによって利益率も高めていく。
さらに、海外での事業展開も計画中であり、前述のとおり2024年3月期中に米国1号店舗を出店する計画だ。
(2) 流通卸売業態
同事業に関しては、タイヤ流通センターの店舗拡大ペースを毎年30店舗にすること、受発注プラットフォームNEXLINKの導入企業数を拡大することを計画している。具体的には新規開拓チームを新たに設け、大規模チェーンを中心に新規開拓に注力し、効率的に加盟店を増やしていく考えだ。また、既に導入している企業に対してはニーズの把握及び提案営業の積極化により、購入単価と頻度を上げていく。
(3) 新業態、育成
新たな収益基盤の確立に向けては、アップガレージ サイクルズ、アップガレージ カーズの業績拡大に注力していく。2024年3月期において、アップガレージ サイクルズについては新規5店舗の出店を計画しているほか、アップガレージ カーズに関しても、横浜町田総本店の1号店を皮切りに直営、FC店舗を拡大していく。アップガレージ カーズに関しては、特にほかのアップガレージブランドとの相乗効果が期待される。改造車の買取を行うことにより、改造車としての販売だけでなく、買い取ったカスタムパーツを店頭で販売することもできるためだ。
加えて、福利厚生制度・給与制度の改革、リスキリング制度の拡充を始めとした人的資本投資を強化することにより、人材の定着と将来の成長拡大を支える人的基盤を強化していく。
これらの各種施策による増収効果とDXによる生産性の向上などによって、2025年3月期をめどに営業利益率を10%まで高めることを計画している。足元で同社の営業利益率は向上しており(2023年3月期は前期比1.0ポイント増)、2024年3月期おいてもさらなる向上を見込んでいる。DXの促進やリユース品の買取・販売強化によって、今後も収益性が高まっていくものと弊社は見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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提供:フィスコ