アップガレG Research Memo(1):2023年3月期は売上高・営業利益が過去最高を更新
■要約
アップガレージグループ<7134>は、1999年に創業した比較的若い企業である。2023年4月に上場企業であった(株)クルーバーが子会社の(株)アップガレージと(株)ネクサスジャパンを吸収合併し、現在の社名に変更した。カー用品・バイク用品の買取・販売をメインとするリユース業態と、新品タイヤ卸売事業の「タイヤ流通センター」、受発注プラットフォーム「NEXLINK(ネクスリンク)」による新品商品の卸売を行う流通卸売業態を展開している。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比7.8%増の11,355百万円、営業利益が同22.9%増の846百万円、経常利益が同25.0%増の874百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同35.5%の559百万円となった。物価高を受けてカー用品・バイク用品の新品価格が上昇するなかで、同社がメインとして扱っている中古パーツ用品への需要が拡大し、過去最高の売上高を達成した。売上の拡大に加えて、DXによる業務の効率化、高収益である取り付けサービスの強化、中古品の買取・販売の強化、などによって収益性も高まった。これにより、営業利益も過去最高を記録するとともに、営業利益率は前期比1.0ポイント増の7.5%まで上昇している。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比10.1%増の12,500百万円、営業利益で同18.1%増の1,000百万円、経常利益で同15.6%増の1,011百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.2%増の583百万円を見込んでいる。自動車保有年数の長期化や物価上昇による新品価格の上昇など、外部環境の追い風が見込まれるなか、リユース業態については、既存店の活性化、新規出店、新業態の成長などにより業績を拡大させる。加えて、新たな収益基盤の確立に向けて新業態の展開にも注力していく。また、米国での事業開始も計画している。トップラインを伸ばしつつ、ITを駆使した生産性の向上や利益率の高いサービス商品の販売強化などによって収益性も高めていく。流通卸売業態に関しては、顧客の受発注業務の効率化を実現する「NEXLINK」の導入企業数の拡大と「タイヤ流通センター」の新規出店の加速に注力していく。
3. 中長期の成長戦略
中長期の成長戦略として同社は、リユース業態と流通卸売業態をさらに拡大させながら、DXのさらなる推進や経営効率の向上によって収益性を高めていくことを計画している。具体的には、リユース業態においては毎年新規出店10~15店舗(直営3~5店舗、フランチャイズ(以下、FC)7~10店舗)を継続しながらメインブランドである「アップガレージ」を将来的には店舗数300店舗に拡大する目標を掲げているほか、海外への進出として2024年3月期中の米国進出を計画している。また、アップガレージ カーズなどの新規ビジネスも将来の収益基盤へと成長させていく計画だ。流通卸売業態に関しては、「タイヤ流通センター」の新規出店ペースを加速していくことに加えて、NEXLINKの導入企業数を拡大していく。これらの施策によって売上の拡大とともに収益性の向上も同時並行で進めることにより、2025年3月期をめどに営業利益率を10%まで高めていく戦略だ。
■Key Points
・カー&バイク用品のリユース市場で店舗数No.1
・2023年3月期は売上高、営業利益が過去最高を更新
・中長期的にはさらなる売上の拡大と収益性の向上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《SI》
提供:フィスコ