佐藤志樹氏【日経平均反落の週明け、強気相場の行方は?】(2) <相場観特集>
―米株安で目先利食い誘発、ここからの日本株の勘所―
19日の東京株式市場は売り先行の地合いとなり、日経平均株価は反落し3万3000円台前半で売り物をこなす展開となった。日本時間で今晩の米国株市場が祝日に伴う休場ということもあって、一部の海外投資家の実需買いが見込みにくいなか、先物主導で下に振らされた格好となっている。これは絶好の押し目買いチャンスといえるのかどうか。ここからの相場展望について、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。
●「強調地合い変わらず3万5000円目指す展開」
佐藤志樹氏(東洋証券 ストラテジスト)
東京株式市場は足もと日経平均が反落となったが、下値での買い意欲は依然として旺盛であり、基本的に向こう1ヵ月程度は強調地合いが継続するとみている。米国株市場ではS&P500指数がテクニカル的に強気相場入りするなど、リスク選好の流れが鮮明で、景気減速が指摘されていた中国でも足もと経済刺激策への期待が浮上している。東京市場でもこれらを横目に、全体的にリスクを取りにいっても良いというムードが高まっている。
米国株市場では前週に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の引き上げは見送られたが、ドットチャートでターミナルレートが上方シフトしたことで、年内の利上げが残り2回という見方も浮上している。ただ、これはひと頃の年内利下げを期待するムードを牽制する意味合いも感じられ、実際のところは今後に発表される経済指標次第ということで流動的というよりない。
東京市場では向こう1ヵ月の日経平均のレンジとして上値は3万5000円前後を予想する。また、足もとの急ピッチな上昇で反動安も警戒されるところだが、仮に調整局面に移行して深押ししても、下値は3万2000円程度でとどまりそうだ。また、東証グロース市場指数やマザーズ指数の直近の動きをみても分かるように、ここに来て大型主力株だけではなく中小型成長株にも物色の矛先が向いていることは、個人投資家にとってもセンチメント改善につながりやすい。
ここからの物色対象としては、今夏は猛暑が予想されることでサマーストック関連をマークしてみたい。アサヒグループホールディングス <2502> [東証P]やキリンホールディングス <2503> [東証P]といったビール株やダイキン工業 <6367> [東証P]などのエアコン関連は注目できる。また、アドバンテスト <6857> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]など半導体関連の主力銘柄にも引き続き目を配っておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(さとう・しき)
明治大学商学部卒。2013年東洋証券に入社。同年より、9年間個人投資家を中心とした資産アドバイザーを経験し、2022年4月より現職に。
株探ニュース