Jストリーム Research Memo(4):グループ会社で動画企画制作、Web制作・運用・システム開発を展開
■事業内容
(3) 「ライブ配信サービス」
配信技術の進歩やコロナ禍をきっかけに、株主総会・IRイベント、専門セミナー、スポーツ・コンサート、プロモーション、社内情報共有・研修など、インターネットを利用したライブ配信が急速に拡大した。また、モバイル端末の普及により視聴者が情報にアクセスする場所を選ばなくなったことも、ライブ配信の利用を後押ししている。しかし一般企業がライブ配信を行うには、設備や配信システム、スキルなどの面でハードルが高い。そこでJストリーム<4308>は、「ライブ配信サービス」の提供を開始した。インターネット回線をはじめカメラやエンコーダーといった機材、ライブ専門のディレクターやエンジニア、撮影クルー、ネットワーク技術者といったプロの人材、そして安定した配信ネットワークを、ニーズに合わせ最適な構成にカスタマイズし、企画演出やライブイベントの進行などミスのないオペレーションとともにトータルで提供する。また、万が一のトラブルに備えて、インターネット回線や配信サーバーなど核となる設備に冗長化対策を講じている。
さらに、街頭ビジョンやデジタルサイネージからスマートフォンまで、2D、VR(仮想現実)、360度、マルチアングルなど様々な映像形式に対応する機能、イベント実施中のアンケートや掲示板の利用など視聴者とのコミュニケーション機能、視聴者の反応をリアルタイムに可視化する機能、追いかけ再生する機能など、顧客や視聴者にとって便利な機能を数多く備えている。もちろん“撮影のみ”や“配信のみ”といった必要な機能だけを単独で提供することも可能である。“失敗できない生放送”であるライブ配信を確実に成功させるには、現場での対応が重要な要素となるため、同社のノウハウや技術力、現場対応力は他社にない大きな魅力と言える。年間のライブ配信2,400件以上と実績は豊富である。なお、ライブ中継の実施を望むものの絶対に失敗は許されないという顧客には、録画を利用した「疑似ライブ配信サービス」が好評である。また、手軽に双方向コミュニケーションができるWeb会議サービス「双方向ライブ」も、代理販売を通じて提供している。
(4) 制作・開発
同社は動画配信システムを提供するだけでなく、グループ会社と一体になって、動画の企画制作、Webの制作・運用・システム開発なども行っている。動画の企画制作では、顧客のニーズに合わせて動画の企画から制作、運用までをトータルプロデュースしている。Webの制作・運用・システム開発では、Webサイトの企画立案からコンテンツ・素材調達を含めたサイト制作、安定した運用までの制作体制を完備している。また、動画やWebサイトを適切に配信・運用するためのシステム開発部隊と運用部隊も有する。スタジオのレンタルサービスも行っており、六本木の子会社スタジオでは、背景を合成するバーチャルセット、ライブ配信に必要な設備、オペレーターを配備している。また、機材のない場所でもスタジオと同じレベルの動画を制作することができる「リモートバーチャルスタジオ」というサービスも提供している。同社のエンコードチームは常に最新の端末や配信技術、コーデックを取り入れる一方、短納期や大量の依頼といった顧客のニーズにも対応が可能となっている。
(5) その他のサービス
同社は動画配信周辺のサービスも数多く手掛けている。「動画広告」は、動画コンテンツの制作・活用から広告による収益化まで、メディア運営を経験したスタッフがワンストップで提供するメディア支援型のサービスである。主なサービス内容は、デジタルソリューションをフルパッケージで提供する法人営業支援ソリューション、インタラクティブ動画を制作する「Tou#cheee」及び動画と編集記事がセットになったコンテンツページを制作する「Tou#cheee PR」で、動画広告の運用も手掛けている。このほか、商品購入のインセンティブとして限定動画などを配信する「動画配信型マストバイキャンペーン」に必要な機能一式、動画コンテンツの運用を一元管理する動画メタ情報の総合CMS※「J-Stream メタマスタシステム」、クラウドベースの動画制作・編集支援プラットフォーム「Grabyo」、動画の視聴パフォーマンスを確認できるビデオパフォーマンスモニタリングツール「MUX」、動画やライブ配信の販売や限定公開など動画配信サービスを構築できる「ソーシャルキャスト」、プロの翻訳者に匹敵する翻訳精度を誇るAI自動翻訳システム「T-4OO」といった商品・サービスも提供している。
※CMS(Contents Management System):動画・画像・テキストなどWebサイトのコンテンツを一元的に管理するシステム。
こうした様々な事業を周辺で支えているのが、M&Aなどにより子会社化してきたグループ企業である。コンテンツをインターネット上で配信するプラットフォームや会員認証などの各種機能の開発を行う(株)CO3、映像制作やプランニング、プロモーション事業を行うクロスコ(株)、Webサイトの制作・運用支援やデータベース連携プログラムの開発を行う(株)Jクリエイティブワークス、デジタル放送機器の輸入・販売及びエンコードシステムのインテグレーションを行う(株)イノコス、医薬系のデジタルコンテンツ制作やマーケティングソリューションに強みを持つ(株)ビッグエムズワイなどがある。また、2021年10月に放送ビジネスにおける同時再送信の知見吸収のためBSよしもと(株)に、2022年7月には、将来のメタバース領域におけるVRコンテンツの展開を視野に、VR配信やVRギアの制作などを手掛ける(株)VR MODEへの出資を発表するなど資本業務提携も強化している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《AS》
提供:フィスコ